『聲の形』は「障害者映画」ではない

映画『聲の形』。9月17日に劇場公開されて、気になってはいたが、なんとか間に合った。いい映画だったと思うが、まわりの評価などもちらほらと目に入ってきたので、併せて少し考えたことを手短に。以下ややネタばれあり。既に見た人向け。

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『シン・ゴジラ』に見る日本人のアメリカ観 ( Japanese people's views of America in "Shin Godzilla")

人気怪獣映画「ゴジラ」シリーズの新作『シン・ゴジラ』の北米での劇場公開が10月に迫っている。日本では去る7月に劇場公開されて以降大ヒットとなっており、少なくとも実写映画では今年トップの興行収入となるだろう。

米国でも人気の高い「ゴジラ」シリーズであることに加え、あの「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野監督の作品であるということで、北米でも多くの映画メディアで話題となっている。日本向けに特化しすぎているとの声もあるようだが、日本以外のゴジラファンにも楽しんでもらえるといいと思う。

米国の観客は、『シン・ゴジラ』のストーリーにおいて、「米国」が重要な役割を果たしていることに興味を持つかもしれない。それは単に、主要登場人物の1人は米国人であるからというだけではない。本作における米国の存在感は、日本で作られた他のゴジラ映画と比べてはるかに大きい。

で、思ったわけだ。『シン・ゴジラ』における米国の描かれ方の中に、日本人のアメリカ観がある程度は表れているのではないか、と。

せっかくなので文末に、なんちゃって英訳をつけてみた。正確な対訳でもないし、そもそも適当に書いてるので文法ガーとかあんまりいわないでいただけるとありがたい。

以下ネタばれ全開注意。

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親に謝らせるという発想について

若手男性俳優が性犯罪の容疑で逮捕された件。

俳優・高畑裕太、40代女性に性的暴行加え逮捕」(東洋経済ONLINE2016年08月23日)

報道されている情報をみる限りでは卑劣な犯罪としかいいようがなく、その後の報道のされ方もひどいものがあった。被害者の苦痛や悲嘆は想像するに余りある。慎んでお見舞い申し上げる。

容疑者が芸能人ということもあって、この件ではそうでない場合と比べてはるかに多くの報道がなされているように思う。「元から嫌な奴だった」みたいないわずもがな的な話も多くて若干萎えるが、有名人の持つ社会的影響力を考えればむべなるかなというところもある程度はあろう。とはいえ、それにしても、と気になる部分がある。この俳優の母親である女優の「謝罪」会見と、それへの反応だ。

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「物の怪」としてのゴジラ

今各所で話題の「シン・ゴジラ」を見てきた。なかなかよかった。レビューとかはあちこちで書かれているし、さまざまな読み解きものもいろいろな角度で出ていてそれぞれ面白いが、それを後追いしてもつまらないので、世の中の評価やら作者の意図やらとは一切無関係に、一観客としての個人的な感想を手短に書くことにする。以下ネタばれありなので観た人向け。

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ペンの力を信じないジャーナリストなんて

本件、既にあちこちで火の手が上がっててすっかり乗り遅れてしまったのだが。

ペンの力って今、ダメじゃん。だから選挙で訴えた」鳥越俊太郎氏、惨敗の都知事選を振り返る【独占インタビュー】
(The Huffington Post 2016年08月11日)

もう言い尽くされてる感はあるが、ごく手短に。

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原爆投下は必要だったのか問題について

先週の土曜日、つまり原爆の日に放映されたNHKスペシャル「決断なき原爆投下 ~米大統領 71年目の真実~」はなかなか見応えがあった。簡単にいえば、これまで考えられてきたのとはちがい、「原爆投下を巡る決断は、終始、軍の主導で進められ、トルーマン大統領は、それに追随していく他な」く、広島・長崎が「市街地」であることに気付いていなかっただけでなく、投下の指示自体明確には行われなかった、という内容だったと思う。

毎年、夏になると「原爆投下は必要だったか」は話題になる。何か新しい発見に基づくものもあれば(上記のNHKスペシャルはそれだ)、これまでの論点を整理したり同じ主張を繰り返したりするものもある。原爆の被害の大きさ、悲惨さに注目する人々が「必要ではなかったのではないか」という主張をさまざまな論点や検証をもとに論じるのに対し、アメリカを初めとするかつての戦勝国の人々を中心に「戦争を終わらせるために原爆投下は必要だった」という意見が出され、対立したまま終わる。そしてまた翌年繰り返される。そういった流れだろうか。今年は特に、米オバマ大統領が広島を訪問したことで、この話題はふだんよりさらに関心が集まったように思う。

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男性用マタニティマークがあったらいい

マタニティマークというのがある。いろいろな種類があるようだが典型的なのは下↓にあるようなものだろう。これはアマゾンで売ってるものだが、駅などで配布してるところもあるらしい。これを持ってる人には電車などで配慮してあげよう、席を譲ってあげよう、といった趣旨かと思う。

妊婦がこれをつけるべきかどうかという論争があるらしい。で、ちょっとした思いつきなのだが。

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「反対」と「抑圧」の差

こんな記事を見かけた。

ヘイトデモ中止は「寝た子を起こす」論に反論する」(WebRonza2016年06月08日)

ヘイトスピーチに関する議論がいろいろ起きてることは承知していたが、これまでまじめに追っかけてきたわけでもなかった。「反対と騒ぐことが差別者を刺激してエスカレートさせる」「そっとしておけば誰も気づかないうちに終わるはず」という「寝た子を起こすな理論」がこの問題に関してあるとは寡聞にして知らなかったがどこかにあるのだろうか。ぐぐってみたものの、探し方が悪かったのか、それらしいものは(少なくとも影響力のありそうなサイトでは)見つからなかった。

まあどこかにはあるんだろうから、それはおいとくとして、上の記事でちょっと気になったことがある。ヘイトスピーチに関する「反対」と「抑圧」をいっしょくたにしてるようにみえることだ。

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LGBTと同性婚は別問題らしい

自民党の稲田朋美政調会長が連休中に開かれるLGBTのイベント「東京レインボープライド」に出席してあいさつする、というニュースが流れて、一部で話題になっている。

自民・稲田政調会長、LGBTの大会出席へ 自民党3役の出席は初」(Yahoo!ニュース2016年5月3日)
自民党では、LGBTが抱える問題を検討する特命委員会が、4月27日、党として初めて対策案を取りまとめている。 自民党は、伝統的な家族観を重んじる議員も多く、従来、慎重な姿勢だったが、夏の参院選に向けて、幅広い層から支持を得ようと、この問題を重視する姿勢を示す狙いもあるとみられる。
LGBTの大会に自民党3役が出席するのは初めてだそうだが、党の性格やら歴史やらを考えれば不思議はない。今回の出席も、記事にある通り、参院選対策というのが主たる目的だろう。お得意のソーシャルリスニングとやらで、自党の弱みであるこの領域への対策が、当座の選挙をしのぐためには必要と判断したのではないか。

とはいえ、与党がこうした姿勢を示したこと自体は悪くない。当該大会でそういう場が設けられるかどうか知らないが、いい機会だから可能なら議論したらいいと思う。

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折り鶴を迷惑にしない3つの方法

熊本地震に関連して、被災地に折り鶴を送るなという話がある。不足してるのは生活に必要な物資だし忙しいのに使えないものを送られても処理に困るしというわけで、要は送られると迷惑という話だ。他にも古着や生鮮食品などは対処に困るらしい。気持ちはありがたいが、ということだろう。

「千羽鶴・古着・生鮮食品は要りません」 被災地が困る「ありがた迷惑」な物とは」(J-CASTニュース2016年4月18日)
千羽鶴や応援メッセージ、汚れた古着や使用済みの毛布など、被災地に届いても「処分」するしかない品々もある。95年の阪神淡路大震災の際には、こうした「使用できない救援物資」の処分で、被災した自治体が2800万円の費用を投じたケースもある。

この種の話は東日本大震災以降、ひんぱんに聞くようになったように思う。なかなか言いづらい話ではあるが、大きな災害を機に、実際に役立つ支援とは何かを真剣に考える人が増えてきたのだろう。それ自体は悪いことではない。

とはいえ、せめてもの気持ちをと鶴を折ってきた人にとっては、つらい話ではあろうと思う。被災地の方にとっても、非常時でなければありがたいと思う部分もあるのではないか。というわけで、せっかくの折り鶴が相手の迷惑にならない方法はないものか、3分ほど考えてみたので手短に書く。

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奇貨居くべからず

熊本の地震は、時間がたつにつれ、また大きな地震が繰り返されるにつれ、どんどん被害が拡大してきている。これを書いている時点で死者41人、負傷者は1000人を超えた。熊本、大分で24万人に避難指示が出ているという。交通網やライフライン、熊本城を含む文化財も大きなダメージを受けた。震源地は熊本だけではなく、いわゆる中央構造線に沿うように、九州を横断するかたちで分布していて、阿蘇山も小さく噴火するなど、素人目にはなんとも不気味だ。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災した方々には心よりお見舞い申し上げたい。どうか早くふだんの生活が取り戻せますように。

東日本大震災からまだ5年しかたっていないせいか、今回の地震に関しては、政府も民間も、あのときと比べて総じて対応が速く、諸方面への配慮もよくなっている部分が少なくないように思う。もしそうなら、経験が活きているということだろう。結構なことだ。

ただ、気になることはやはりある。最近出てきたというより以前からあったものだとは思うが、他の部分で5年前の経験が活きているのになぜここは、という想いがあるので、手短に書いてみる。

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資材置き場で野球場を占拠するとは

開いた口がふさがらないということばがあるが、この件はそれにふさわしいような気がする。

神宮球場、2020年は使えない? 5~11月 五輪組織委、借用を要望」(朝日新聞2016年4月6日)
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は5日、主会場の新国立競技場に隣接する神宮球場(東京都新宿区)が大会の準備や運営に必要になるとして、同年に同球場を長期間にわたって借りる交渉を始めたことを明らかにした。関係者によると、期間は20年5月1日から11月末までの7カ月間。その間、同球場を本拠とするプロ野球のヤクルトのほか、東京六大学野球や東都大学野球、高校野球などの試合ができなくなる可能性がある。

そういう必要があるなら当初から明らかにしておくべきだろう。何を今さらというしかない。

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花見の場所取りはいつから批判されるようになったのか

桜が咲いて花見のシーズンであるわけだが、こんな記事を見かけた。

花見の場所、500平方mの社名シートで占拠 ネット炎上に日揮は?」(withnews2016年03月31日)
花見シーズン到来中。花見と言えば、頭を悩ませるのが「場所取り」です。会社での花見において、場所取りは「新入社員にとっての初仕事」と言われることも。そんな中、プラント建設大手「日揮」(横浜市)の社員が行った場所取りがツイッター上で「非常識だ」と炎上する騒ぎに。日揮は「非常識と言われても仕方ない行為を社員がしてしまい、世間をお騒がせして誠に申し訳ない」と平謝りです。

花見の場所取りはもちろん今に始まったことではないが、苦情に対して企業が「平謝り」という対応をしたというのは新しいかも?と思ったので、例によって大学で契約している朝日新聞の記事データベースで少し調べてみた。

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厚生労働省が「保育」について意見募集してるんだかしてないんだか

ソーシャルメディアで回覧されてきて知ったのだが、厚生労働省が「保育」について意見募集してるらしい。

「保育」について あなたの声を お聞かせください

「厚生労働省では、「保育制度の改善について国民の皆様がどのようなことを望んでいるのか」また、「保育園等の利用を希望する保護者がどのような「保活」を行っているのか、「保活」についてどのようなことを望んでいるのか」を把握し、保育施策の充実や待機児童の解消のために活用したいと考えております」だそうで、へええと思ったのだが、どうもあんまりやる気がなさそうなのだね。

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5年

東日本大震災から今日で5年。被災地でも、そうでない場所でも、震災にちなんださまざまなイベントが開かれている。毎年この日はめぐってくるわけだが、やはり5年というと、特別な思いを抱く人は少なくないだろう。

この間、さまざまなものが変わり、そして変わらなかった。復興が進んだなあと思う人も、全然進んでないじゃないかと思う人もいると思う。

一方、震災の記憶が風化してしまうと危惧する人たちも増えてきた。メディアではさかんに取り上げてるようにも思うが、どうもおざなりというか、はっきりいえば、一定の図式にあてこんで問題視してみせるだけのものや、「今年も桜が満開です」と同じような季節ネタにされちゃってるものが少なくない。ああいうのばかり見せられてるとさすがに飽きるので、ああ「風化」というのはこういうことなのかというのを実感する。伝えないから風化する場合だけではなく、変に伝えすぎるから風化する場合もあるのだ。

よかれと思ってすることが、期待とは逆方向の効果をもってしまうことというのはよくある。よいとされるものと悪いとされるものが、実は同じものの両側面であることは珍しくない。そんなことを思いながら、5年めの今日を過ごしている。

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