« 決済性預金とペイオフ | Main | 映画「イノセンス」 »

April 24, 2004

国民年金、閣僚が未払い

現閣僚の中で経済産業相、総務相、防衛庁長官の3閣僚に、国民年金の未納・未加入期間があることが明らかとなった(ニュースはこちら)。野党側は「国民の年金不信を高めた」と3閣僚の引責辞任を求めたが、3氏は「単純なミスだ」と拒否したという。

国民年金の未納・未加入問題については、これより以前に国民年金CMに出演していたタレントの未加入問題があったのだから、こういうことは先に調べておくのが当然ではないだろうか。どうにもしまらない話だ。CMタレントは降板させて、閣僚は残すというのも、あまりすっきりしないとの批判は免れない。

ただ、この問題は、単に閣僚の進退問題にとどめておくべき問題ではない。政治家といえば最も信頼を必要とする職業であり、国の制度を守るのが当然の立場だ。にもかかわらず現閣僚の中で3人もが国民年金保険料を支払っていなかったとすれば、これは保険料徴収のしくみ自体に問題があるのではないかとみるほうが自然だ。実際、国民の中でも、制度がよくわからないために手続きを忘れたりして、結果として未納期間が発生してしまうケースが多いと聞く。

たしか野党の中には、年金保険料を税金として徴収しようとの意見もあったかと思う。だとすれば今回の一件は絶好のチャンスではないか。閣僚ですら手続きを忘れてしまう制度では困る、税にして徴収を確実にしよう、と主張すべきだ。野党議員の中にも未納者はいるかもしれないし、あまり敵失につけこんで嫌がらせみたいなことをするのはやめた方がよい。未納の問題は、一元化うんぬんの前に、年金が制度として成立し続けられるのかどうかに関わる重要な問題だ。税方式がベストかどうかは議論があるだろうが、未納を少なくするためにどんな手法が考えられるか、与党も真剣に考慮してもらいたい。ただCMで訴えたり、未納者に1人ずつ支払いを説得したりするのでは問題の解決にならない。制度上の手直しが必要だ。

閣僚の進退などというつまらない問題で貴重な国会での議論の時間を消費するのは国家にとって無駄以外の何者でもない。当面の問題の収拾のために、ここは一番、江角マキコをもう一度CMに採用して、3閣僚もいっしょになっていっぺん頭を下げて、そのうえで「みんなで年金保険料を払おう」キャンペーンを展開してはどうか。

|

« 決済性預金とペイオフ | Main | 映画「イノセンス」 »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 国民年金、閣僚が未払い:

» 閣僚の国民年金未加入・滞納問題 [夢の世界で生きる饅頭なんだよ]
中川経産相、麻生総務相、石破防衛庁長官の3閣僚に、国民年金の未加入期間や滞納期間があったことが明らかになった。例によって、野党は審議拒否をちらつかせながら激しい... [Read More]

Tracked on April 24, 2004 10:32 AM

« 決済性預金とペイオフ | Main | 映画「イノセンス」 »