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予測市場はGoogleをどうみるか?

GoogleのIPO申請について、さまざまな議論が出ている。CNET Japanの「梅田望夫・英語で読むITトレンド」で、梅田氏は、上場によってGoogleの資本構成が権利の異なる2種類の普通株式をもつものとなり、創業者2人が他の株主より強い議決権を持つことに異議を唱えている(記事はこちら)。一方、これはこれでいいのではないかという意見もある(記事はこちら)。
この件に関しては意見があるが、ここではとりあえず是非論には入らず、Google株の価値に関する市場の期待について、予測市場からの情報をご紹介する。

「予測市場」とは、市場メカニズムを通じて将来の事象に関する人々の「総体的」な期待、いいかえれば集団的な予測を抽出する手法である。手法自体は実験経済学で古くから行われてきた仮想市場、人工市場によって確立されたもので、参加者を募って仮想市場における仮想先物の取引を行う。実験経済学では市場構造や投資家行動の分析のためにこれを行うのに対し、予測市場はそこから得られる情報に着目するものである。

予測市場は、アメリカを中心にいくつかの実験がなされているが、今回ご紹介するのは、MITが行っている、技術関連の将来予測を市場メカニズムによって抽出しようする「Innovation Futures」である。このサービスは、NewsFutures社の技術をアウトソースしたものである。

Googleに関しては、現在、次のような2つの「予測先物」が取引されている。
「①GoogleのIPO終了時の株式時価総額はどのくらいか?(What will be Google's market capitalization be at the end of the day of its IPO?)
②「GoogleのIPO終了時の株式時価総額はYahoo!を上回るか?(Will Google have a bigger market capitalization than Yahoo! at the end of the day of its IPO?)

①の予測先物の、日本時間5月6日午前11時現在の状況は、次のとおりである。各銘柄は、Googleの株式時価総額が指定された範囲になれば、「100」となり、そうでなければ「0」となる。つまり、事象が確定する前のこの予測先物の価値の期待値は、それが実現する確率を百分率であらわしたものとみることができる。 

  銘柄      価格
400億ドル超    10
350-400億ドル  10
300-350億ドル  19
250-300億ドル  35
200-250億ドル  22
200億ドル未満  10
IPOしない  1
(「IPOしない」は、正確には2004年12月31日までにはIPOは実現しない」)

市場の予測を金額の順に並べてみると、ちょうど確率分布のようにみることができるのがわかるだろう。この時点では、株式時価総額が250-300億ドルを中心としてその周辺に広がる分布となっていることがわかる。


また、②のほうは次のとおりである。これも、各銘柄は指定された事象が起きれば「100」、起きなければ「0」の価値となる。

銘柄   価格
はい  31
いいえ  69
IPOしない  1

現時点では、当面のところYahoo!の価値を上回ることはないとみる向きが有力ということになる。

さて、結果はどうなるか。この予測市場には誰でも参加できるが、市場運営者や予測対象の性質上、「投資家」層の少なからぬ割合は、技術やIT産業に関してもそこそこ詳しい人々なのではないだろうか。とすれば、この市場の予測は「単なる遊び」と片付けることはできないものを持っているはずだ。

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Comments

CNET Japanのニュースでは、IPO時のPERを他企業と比べてGoogleの時価総額を予測しています。それによると、Yahooを基準とすれば510億ドル、eBayを基準とすれば380億ドルだそうです。それと比べると、この評価はずいぶん低いですね。

Posted by: Chihiro | May 08, 2004 05:15 PM

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