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May 02, 2004

国民年金 免除幅を拡大:だから?

厚生労働省は、国民年金保険料の未納者対策として、低所得者向けの国民年金保険料の免除期間を広げる方針を固めたそうだ(記事はこちら)。だから何なのだ?という感じを受ける。

現在は申請した日の前月から免除期間が始まるが、来年7月から、それを最長1年前までさかのぼれるようにする。「救済」期間を広げることで、未納者が社会保険事務所の窓口に足を運びやすくするのが狙い、だそうだ。

役所としては、やるべきことをやっただけだということなのだろうが、全体としてみると、「何を今さら」というか「何で今ごろ」というか、どうにも間が悪い印象を禁じえない。こういうのをある意味典型的な「お役所仕事」というのだろう。

与党の閣僚にも未納者がたくさんいたようだが、彼らはこの新制度があったら「救済」されていたのか?問題の所在は、免除期間を11ヶ月延長するかどうかという問題ではない。そもそも制度が複数あることや、年金制度の先行きに不安があることなど、根本的な問題もあるが、それをおくにしても、制度間の受け渡しがうまくいっていないために「漏れ」が発生しているという技術的なポイントが問題なのではないか。

閣僚やら国会議員やらの国民年金保険料未納問題で、保険料納付が「国民の義務」だ、けしからんという主張が多いが、それはそうとして、もしそうならそれなりに納付を確実にさせるためのしくみを整えるべきだ。「社会保険事務所の窓口に足を運びやすく」することより、社会保険事務所に足を運ばなくてもすむしくみを考えなければ。税の分野では、企業勤めの大半は税務署に足を運ばなくてもすむしくみが作られている。性質がちがうのは承知のうえだが、社会保険の分野でも工夫の余地はあるはずだ。

プロに任せておくと、小さなまちがいはないのだろうが、どうしても視野が狭くなり、全体のバランスからみて大きなまちがいが発生しうるのではないか、という気がする。政治のリーダーシップを期待したい。

マスコミの皆さんも、誰が保険料を払っていたかとかそういうちまちましたことより、物事の本質はどこにあるのかを見極めて建設的に議論してほしい。「あいつらばかりうまい汁を吸って」といった「嫉妬の論理」に与してはならない。

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