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May 29, 2004

生保の財務改善:これは「健全」なのか?

主要生命保険会社の2004年3月期決算が出そろった。ソルベンシーマージンは全社とも向上したようだ(記事は こちら)。財務内容が改善し、経営の健全性が増した、という論調だ。その通りなんだろうが、どうも今ひとつ腑に落ちない。

ソルベンシーマージン向上の主因は、株価上昇による保有株式の含み益増加によるものだという。9社合計で、2003年3月末には3800億円の含み損だったものが、2004年3月末には5兆700億円にふくらんだのだそうだ。しかし保有契約高は前期末比5.6%減だった。経費削減努力や第三分野(医療・傷害・介護など)への注力によって、本業での利潤を示す基礎利益は対前年比3.6%増の2兆600億円ではあったのだが、収益力が回復したとまではいいがたい。

確かにこの1年の株価上昇幅はかなりのものであり、影響が大きかったのはわかる。だが今回のソルベンシーマージン向上は、生保各社の努力によって得られた部分よりも、株価上昇という外部要因による部分のほうがはるかに大きいのだ。ソルベンシーマージンの定義によることではあるのだが、経営上これほど重要な指標があえていえば「運任せ」であるという状態は、果たして「健全」と呼んでいいものなのか。

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