Blogを書くということ
新聞で、blogの記載がもとで職を失った人の話が出ていた。
Financial Times2004年6月21日のコラム「A stretch in the virtual stocks for the global village gossip」 (by Patti Waldmeir)は、LAのIT企業に勤めるごく普通のウェブデザイナーであるHeather Hamiltonさんが、自分の会社生活を匿名で書き綴っていたblogの記載のために会社から解雇されてしまった事例を紹介している。身の回りのできごとを書いていたごく普通の内容で、いわばウェブ版「ブリジット・ジョーンズの日記」にすぎなかったにもかかわらず、だ。
一見罪のない一個人の日記なのだが、企業の側からみれば、blogのような気軽なメディアの中で従業員がうっかり企業機密をもらしてしまうおそれがあり、しかも業務時間中ならば就業規則違反となる。また社名や個人名が特定されていないとしても、実質的にわかってしまう場合もあるから、企業イメージが損なわれたり、その中で揶揄された同僚や上司が傷ついたりしてしまうという問題もある、というわけだ。
Hamiltonさんの処分が適切であったのかどうか、実情がわからないのでなんとも言えないのだが、少なくとも、blogを書く者は、本来外部(潜在的には全世界)に対して発言していることを認識しなければならない、ということはいえる。上記のコラム著者は、「しかし実際にはきわめてプライベートなものだとの認識しか持たれていない。このことがblogというものの持つパラドックスだ」と評している。
このあたりは、少し前に木村剛氏のblogで展開された議論と似ているところがあるように思う(これ)。その当時の議論は、自由な言論を引き出すための匿名性の価値と対比される存在としての「書く者の責任」が主な話題だったように記憶している。本稿で紹介したコラムは、blogに書くことが引き起こす可能性のある好ましくない事態に着目した責任論だ。いってみれば前者は「社会に対する責任」で、後者は「自分に対する責任」なのだろう。
正直、あちこちのblogを見ていると、こんなこと書いて大丈夫なのか!?といったものが少なからずある。内容しかり、表現しかり。ひるがえって、自分の書くものにも気をつけなければと本気で思った。皆さんも気をつけましょうね!
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山口浩 [Read More]
Tracked on June 26, 2004 at 01:57 PM



Comments
ほんとうに私も同感です。
私もブログの前はhtmlで普通に日記めいたものを載せていました。ブログに移行してからも同じような気分でしばらく書いていたのですが、山口さんがお書きになったようなことを感じ始めて気をつけるようになりました。
とはいえ、気づいている途中でやらかしてしまっているところもあるかもしれないので、ほんと気をつけようと思いました。
Posted by: Hiroette | June 25, 2004 at 10:53 AM
コメントありがとうございます。
私も以前は匿名で掲示板などに投稿したりしておりましたが、そのころと比べると、今は格段に気をつけるようになってきました。言葉遣い、立場の偏り、機密事項などの暴露。「あちこちに地雷が埋まっている」のを実感します。
昔、「ホテルの廊下を浴衣で歩く」のは公衆道徳に反するなどといわれましたが、今は「blogに不用意にものを書く」ことが批判される時代なのかもしれません。
Posted by: 山口 浩 | June 25, 2004 at 01:18 PM
本当に書き方を考えないと思います。
本日(?昨日)自分でも書いたんですが、会社の調査でWebを検索し、社長名でも調べたら、日記が出てきて読んで行くと、ご本人の経歴、居住地域、住まい、結婚、会社設立の経緯などから考え方まで判るようで、Blogは意見の発表のツールでもあり、自分自身をさらけ出してしまうツールですね。
悪い面もあるので気を付けよう。
Posted by: maida01 | June 25, 2004 at 11:54 PM
先のコメントの送信ボタンを押しながら脇を見ると、DISCLAIMER。素晴らしい。私も実名Blogにした時には参考にさせて頂きます。
Posted by: maida01 | June 25, 2004 at 11:56 PM
maida01さん、コメントありがとうございます。
Disclaimerは、あるアメリカのblogを参考にしたものですが、まだ「お試し」で、だいぶ改良の余地があると思います。法的なチェックを入れてませんし、ちょっと整合的でないところもありますし。このへんも、「素人」さんのblogではまず見かけませんが、もしblogの社会的影響力が増していくのであれば、そのうち必要とされるようになるかもしれませんね。ちなみに、私の見解では、匿名かどうかはあまり関係ないと思います。事後的に調査して「その人」と特定できれば、やはり責任問題は避けられませんから。それにdisclaimerをつければ何でも免責、ということもないでしょうね。やはり、まず内容から気をつけないと、ということだと思います。
Posted by: 山口 浩 | June 26, 2004 at 10:21 AM