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June 30, 2004

米大統領選市場:共和党リードを広げる

アイオワ大学が非営利で運営する「米大統領選先物市場」の最近の動向をお伝えする。前回、6月7日の記事で、今後情勢が「大きく動く可能性がある」と書いたが、その時点での予想通り、共和党のリードが広がりつつある。(2004年初頭から6月27日時点までのチャートはこちら

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June 29, 2004

年金問題:だいなしにする人々

6月28日発売の「週刊現代」の巻頭特集は「このままでは年金はパーになる」というセンセーショナルなタイトルで、森永卓郎、金子勝両氏の対談を掲載していた。このタイトルでは何も期待できないだろうとは思いつつ、一応立ち読みしてみた。

この国には言論の自由があるから、特に政府や政治家に対しては、相当のことを言っても法的には問題にはならない。それはわかるのだが、これはあんまりだ。法的に責任はなくとも、マスコミの社会的責任という観点からいうと、かなり深刻な問題だと思う。(ことわっておくが、この記事はいかなる政治的立場に加担も批判もするつもりはない。)

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June 28, 2004

映画「Big Fish」

かねてより見たいと思っていた映画だが、飛行機の中で見ることができた。知らなかったが原作があり、ベストセラーなのだそうだ。

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June 27, 2004

原価はいくら?転じて年金問題

よくテレビや雑誌などで、「○○の原価はいくら」といった話が出る。すしネタの仕入れ値はとか、高級レストランの食事の材料費はいくらとかいった具合だ。コスト構造をきちんと説明していても(たとえばこんなの)、原材料以外の要素を軽くみるような書き方のものが少なくない。どうも、「本当は安いのにふっかけている」「だまされるな」とでもいいたげだ。こういうものを見るたびに、ため息とともに「あのねえ」といいたくなる。

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June 25, 2004

情報をおごる

たまたま出くわしたblogに面白い表現があった。

「情報をおごる」

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June 24, 2004

Blogを書くということ

新聞で、blogの記載がもとで職を失った人の話が出ていた。

Financial Times2004年6月21日のコラム「A stretch in the virtual stocks for the global village gossip」 (by Patti Waldmeir)は、LAのIT企業に勤めるごく普通のウェブデザイナーであるHeather Hamiltonさんが、自分の会社生活を匿名で書き綴っていたblogの記載のために会社から解雇されてしまった事例を紹介している。身の回りのできごとを書いていたごく普通の内容で、いわばウェブ版「ブリジット・ジョーンズの日記」にすぎなかったにもかかわらず、だ。

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June 23, 2004

映画「Harry Potter and the Prizoner of Azkaban」

来る6月26日から日本で公開される映画「Harry Potter and the Prizoner of Azkaban」を、一足先に公開された米国で見てきた。米国では6月上旬に公開されたが、調子のいいスタートを切ったと思われたものの、意外に伸び悩んでいる。

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June 22, 2004

「ワクワクに投資する」に1票!

たまたま見かけたblogだが、気に入った記事があったのでリンクしておく。

「目的」や「機能」で商品を選ぶのではなく、それがもたらす「可能性」、ワクワク感を求めて商品に金を出す。すべからく投資というものは、将来の可能性のために行われるが、必ずしもそれが必要であるからではない。その商品がもたらす新しい生活、新しい自分。そうしたものの前では、他のモデルのほうが1,000円安いとか、そういった「合理性」は無意味だ。現代の消費の少なからぬ部分は、こうした「ワクワクへの投資」なのだろう。ブランド品がいっこうに衰えを見せないのも、低価格商品より高級品が売れたりするのも、そういう事情があるからだと思う。

今、「娯楽」に注目している。娯楽としての投資、娯楽としての政治、娯楽としての勉強。娯楽とはいいかげんに聞こえるかもしれないが、人間はそもそも「homo ludens」だ。自由な立場から真剣に取り組む「遊び」は、これからの社会のキーワードの1つになると思う。そのことを、この記事ではより軽やかに「ワクワク感」と表現しているのがいい。

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年金タスクフォース:過大な期待は禁物

木村剛氏の請求により厚生労働省が公的年金関連の文書を開示すると決定したことから、関連の専門家、およびこの動きを支持する人々の動きが活発化している。木村氏のblogでは、「公的年金タスクフォース発足!」とぶちあげ、賛同者からのトラックバックが相次いでいる。

別に水を差すつもりはまったくないのだが(全文をお読みいただければわかるはずだ)、過大な期待をしている人々が少なくないのではないか、とやや危惧している。

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June 19, 2004

政治のオープンソース化:「プロ」でないことの強み

木村剛氏が、厚生労働省に対して年金関係のデータ開示を請求していたが、このほど開示するとの通知を受けたとblogで書いていた。A4版で4991枚もの量だそうだ。木村氏の呼びかけに応えて、一橋大学の高山憲之教授と日本総研の西沢和彦氏がこのデータの分析を行うことになっているという。

この一連の流れは、木村氏の活動によって始まったものであるが、木村氏は政治家ではない。木村氏はこれまで金融分野で政策形成に大きな影響を与えてきているが、年金に関して発言し始めたのは、知る限り比較的最近だ。KFiという企業の活動内容は詳しく知らないが、おそらくコンサルティング関係なのだろう。それにしても、年金制度に関する議論が本業であるとは思えない。協力を申し出た高山氏や西沢氏は、年金問題のエキスパートではあるが、この活動自体が本業とはいいがたいだろう。

ここで書きたいのは、こうしたいわゆるオープンソース的な活動が、実際の政治を動かす力を持つようになる可能性についてである。

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June 18, 2004

The Obesity Myth: Why America's Obsession With Weight Is Hazardous To Your Health

Paul Campos (2004). "The Obesity Myth: Why America's Obsession With Weight Is Hazardous To Your Health." Gotham Books. ISBN: 1-592-40066-3

ワシントンDCのダレス空港で半日足止めを食ったため、ひまつぶしに買った本だ。ちょうど本blogでアメリカ人の肥満について書いたところだったので関心をもった。空港の本屋で売っているぐらいだから売れているのだろうが、いや、これは驚くべき本だ。しかし、どうも似た趣旨の本は他にもいくつかあるらしい。

本書の主張を一言でいうと、「アメリカ人の肥満はさしたる問題ではない」ということだ。肥満が病気の原因になるという考えは事実を歪曲・誇張したもので、むしろダイエットやその後のリバウンドのほうが体に対して悪影響を及ぼすという。現在のダイエットブームは、それによって巨額の利益をあげる「ダイエット産業」に踊らされている、と主張するのだ。

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June 17, 2004

方法の問題ではない:「デブの国」より

昨日までアメリカにいた(いまカナダでこれを書いているが、状況は似たり寄ったりのようだ)。来るたびに思うのだが、この国を一言で表現するとすれば、私はまず「デブの国」と呼びたい(差別的表現を意図したものではない。一言で表現する際に「肥満者」よりも語呂がいいという理由からこちらを使った。全文をお読みいただければ意図がおわかりいただけるものと信じるが、気を悪くされた方がいたとすれば申し訳なく思う。以下では「肥満者」で統一するのでご勘弁願いたい)。

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成田空港にて

昔は、成田空港といえば、出国審査の行列が有名だった。出国審査場いっぱいに人がすし詰め状態になり、行列だったはずがどの列に並んでいるのかわからなくなってしまうほどだったが、最近はかなりスムーズだ。検査官の数は増えたのだろうか。少なくとも、出入国カードにハンコを押すなどの手間がなくなった分は確実に短縮されているわけだ。

その代わりといっては何だが、航空会社カウンターでの搭乗手続きに、これまで以上の時間がかかるようになった。テロ対策のための荷物検査に時間がかかるから、というふれこみなのだろうだが、見ているとどうもそればかりではないような気もする。

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June 16, 2004

プロ野球を考える ③職業としてのプロ野球選手

「プロ野球を考える」シリーズの第3弾は、球団経営の重荷となっているらしいプロ野球選手の高給について考えたい。一般にプロ野球選手というと、破格の高給をとる選手が話題になるが、どうもプロ野球選手全体を考えると、当然ながらそれほど高給の選手ばかりではない。インターネット検索で最初にヒットした1999年のデータでみると、プロ野球選手(外人選手を除く)の平均年俸は3,218万円、一軍選手の平均で5,654万円だそうだ。全体平均をみる限り、一般サラリーマンの数倍程度といったところか。

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June 15, 2004

プロ野球を考える ②経営学的にみた球団合併問題

プロ野球球団を企業と考えれば(多くの場合実際企業形態をとっているはずだ)、球団の経営統合は企業の合併と同様に考えることができるだろう。そうした観点からみたとき、今回の近鉄-オリックスの経営統合は価値のあることなのだろうか。

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June 14, 2004

プロ野球を考える ①「公共財」としてのプロ野球

近鉄-オリックスが経営統合するとのニュースが流れた。報道などをみていると、この動きに対し、「地元の球団を守れ」とか「企業エゴだ」など、批判的な論調が少なくないようだ。

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June 12, 2004

会計士は(少しは)変わった。今度は監査役

週刊!木村剛」で、カネボウと三菱自動車の問題に関連して、まず監査役の責任を問うべきだと主張していた。

そうだった。忘れちゃいけない。監査役がいたんだった。

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June 10, 2004

年金改革:出生率低下はチャンス

厚生労働省がまとめた2003年の人口動態統計で、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)が過去最低の1.29となることが明らかになった。先進国の中でも最低水準だそうだ(記事はこちら)。

事態はゆゆしきことだが、このニュースそのものは、こと年金改革に関する限り、制度見直しのきっかけと考えることができるのではないか。

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June 07, 2004

米大統領選市場:動き始めたか?

アイオワ大学が非営利で運営する「米大統領選先物市場」の動向からみると、米大統領選挙情勢が再び動き始めたようだ。代表的な「予測市場」として知られるこの市場では、各候補を先物の銘柄と考え、大統領選における得票率が最終的な価格となる。たとえばケリー候補が45%の票を獲得すれば、「ケリー」の価格は$0.45となる。したがってこの先物の現在の価値は、現時点で予測される当該候補の得票率である。2004年初頭から6月5日時点までのチャートはこのようになっている。

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June 06, 2004

年金問題:本題はこれから

年金改革関連法が、5日午前の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数によって可決・成立した(記事はこちら)。衆議院での強行採決の後、参議院では野党の牛歩戦術や長時間の演説などの抵抗があったが、結局野党欠席(共産党は出席)での採決となった。

なんだかもう終わったような論調が少なくないように思うのだが、ちょっと待ってほしい。本題はむしろこれからではないのか。

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June 05, 2004

Hotelさんの人生

近所にマンションが建った。新聞によく折り込み広告が入ってくるのだが、そのキャッチフレーズが「Hotel's Life」という。コンセプトは「ホテルのように、家具も備え付けで、おしゃれな雰囲気のマンション」ということらしいので、このキャッチフレーズは、「ホテルの暮らし」を訳したつもりなのだろう。

だけどさ、これはどうみたって「Hotelさんの人生」とか「Hotelさんの生活」としか読めないと思う。別にどうでもいいことなのだが、自由に使えるならともかく、よく知らないのに無理に英語を使おうとするのは、もうやめたらどうだろうか。

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「元気な女性」じゃないのよ問題は

長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件をめぐり、井上喜一防災担当相は4日の閣議後会見で、家裁送致された加害者が女児(11)だったことについて「どこの社会も元気な女性が多くなってきたということですかな」と発言した。(記事はこちら)。

もうあちこちで同様の批判が出ているようなのであえてここで書くまでもないが、やはり一言書いておきたい。この発言は思いっきり的外れだ。

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June 04, 2004

The Wisdom of Crowds: Why the Many Are Smarter Than the Few and How Collective Wisdom Shapes Business,Economies, Societies and Nations

James Surowiecki (2004). "The Wisdom of Crowds: Why the Many Are Smarter Than the Few and How Collective Wisdom Shapes Business,Economies, Societies and Nations." Bantam Dell Pub Group.

著者はNew Yorker誌のコラムニストだそうだ。「Collective Intelligence」は、「集団知」とでも訳すのだろうか。本書の主張は、ひとことでいえば、「適切な状況の下では、人々の集団は、その中で最も優れた個人よりも優れた判断を下すことができる」ということである。適切な条件とは、
(1) 意見の多様性
(2) 各メンバーの独立性
(3) 分散化
(4) 意見集約のための優れたシステム
であり、これらが満たされれば、個々のメンバーが正解を知っていなくても、また合理的では必ずしもなかったとしても、グループのほうがよいという。
(Economist誌の書評はこちら。ただし有料)

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June 03, 2004

Fun-Based Economyの時代

「Fun-Based Economy」は私の造語だ。「楽しみ」の追求を大きな価値基準として考える経済、とでも定義しようか。私たちの社会は、既に世界最高の生活水準に達しており、欲しいものの大半はそれなりの対価で入手できる。「モノ離れ」と形容されて久しい状況だ。こうした中で、私たちが価値あると考えるものは、たとえば「貴重な経験」であったり、「ゆったりした時間」であったり、「自分にあった生活」であったりする。少なくとも、これまで経済学が前提としていた、「財やサービスの消費量」だけでは測りにくいものになってきていることは確かだ。また、バブル崩壊とその後の不況を経験した私たちは、物的な豊かさだけでは満たされないことも学んでいる。これらをつなぐキーワードとして、「fun(楽しみ)」という基準と取り入れ、社会や経済に関しての考え方を少し修正してみてはどうか、というのが私の意見である。

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