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「元気な女性」じゃないのよ問題は

長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件をめぐり、井上喜一防災担当相は4日の閣議後会見で、家裁送致された加害者が女児(11)だったことについて「どこの社会も元気な女性が多くなってきたということですかな」と発言した。(記事はこちら)。

もうあちこちで同様の批判が出ているようなのであえてここで書くまでもないが、やはり一言書いておきたい。この発言は思いっきり的外れだ。

細田博之官房長官のコメントにもあるが、加害者が男性であるか女性であるかは、この事件の深刻さとまったく関係がない。ほとんどの人にとって、最も衝撃的だったのは、加害者の性別ではなく、加害者が(そして被害者も)小学生という子供であったことだったはずだ。発言すべてを知っているわけではないが、この点についてまったく触れていないのだとしたら、ものごとの判断基準が一般常識と大きくかけ離れているといわざるを得ない。

推測だが、おそらくご本人は、かねてより「最近女性が強くなってけしからん」などと考えていたのではないか。そうしたところにこの事件が起こったものだから、ついそれにかこつけて自分の考えを語ってしまったのだろう。しかしどう考えても、この事件と結びつけるべきではなかった。世間では、大人も子供も大きなショックを受けている重大事件なのだ。常識のある人なら、まず被害者の冥福と遺族へのお悔やみから始めるはずだ。加害者について問題意識を述べるなら、まず目を向けるべきは教育や家庭のあり方ではないのか。「元気な女性」などと軽々しく語るのはあまりにも無神経ではないか。フェミニストでなくとも、「おいおいそりゃちがうだろう」とつっこみを入れたくなるはずだ。

別に井上防災相が世間に謝罪すべきとか、辞任すべきとか主張するつもりはない。この発言は、この人の本職、つまり「内閣府特命担当大臣(防災)」の責務とは無関係だからだ。この人の発言が社会を悪くするほどのインパクトを持つわけでもないし、この人が辞めても日本がよくなるというわけではおそらくない。強いていうなら、「こんなことで注目を浴びるのではなく、本職に専念してもらいたい」というところか。本職の防災分野でこういった非常識な判断をされては困るのだ。

ただ、加害者の女児を「元気」というポジティブなニュアンスのことばで表現したことについて、被害者の遺族がどう感じているかは気になる。ひょっとしたら、傷つけられた思いでいるかもしれない。マスコミの皆さんも、どうせ突っ込むなら、女性差別発言としてではなく、こうした面から大臣の見解をただすべきだったのではないか。どちらも、このくらいの想像力は持っていてもらいたいと思う。日本の将来のために。

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Tracked on June 05, 2004 at 01:48 AM

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Tracked on June 06, 2004 at 12:31 AM

Comments

井上氏の発言を擁護するつもりはサラサラないんだけど一言。

>発言すべてを知っているわけではないが
と、ありますが
先日の北鮮拉致被害者家族の発言だけではなく、
森前総理の所謂『神の国』発言の時から思っているんだけど、
メディアによって適当に切り張りされた発言・映像だけを見て脊髄反射的に批判するのはどうかと思いますが。

今回も調べようと思えば、すぐに発言の全容が分かるわけですし。

Posted by: WWWE | June 05, 2004 at 02:47 AM

WWWEさん、コメントありがとうございます。
確かに一瞬の印象だけでものをいうのは適切ではないでしょう。ただ、一般人の私たちにとっては「メディアによって切り張りされた」発言だけがアクセス可能なのでは?今回の件では、一応新聞各紙やら内閣府、各政党などのサイトなどもチェックしてみましたが、会見の全文を載せたものは確認できませんでした(あったら教えてください)。全文を読めばちがった解釈になった可能性はなしとはしませんが、状況からみてさほどちがった結果にはならなかったろうと判断しました。

それに、仮に他の文脈があったとしても、「元気な女性」が正当化される状況ではないと思います。このコメントはまったく的外れであり、たとえそう思う理由を100並べたとしても、合理的な考えからそればその中に含まれることはないはずです。本文で書きましたが、この事件にかこつけて、かねてから思っていたことを語られたとみるのが適切であるように思われます。ご本人も発言後の記者会見で「一般論として申し上げた」といった趣旨のことを言っておられましたし。

というわけで、私は「脊髄反射的」に批判したつもりはありません。記者会見での記者たちの質問内容は、どうも「脊髄反射」っぽい気もしましたが。

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Posted by: 山口 浩 | June 06, 2004 at 09:58 AM

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