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June 12, 2004

会計士は(少しは)変わった。今度は監査役

週刊!木村剛」で、カネボウと三菱自動車の問題に関連して、まず監査役の責任を問うべきだと主張していた。

そうだった。忘れちゃいけない。監査役がいたんだった。

木村氏の主張はまさにごもっとも。もちろん今回の問題の責任は(会社ぐるみであるなら)一義的には代表取締役とそれを監視すべき取締役、それに違法行為を実行した職員の責任なのだが、当然監査役も独立して責任を負うはずだ。

「マスコミが指摘しない」は、好意的にとらえれば、まだそこまで関心がいっていない、つまり今は取締役陣の責任追及で手いっぱい、ということなのかもしれない。三菱自動車の場合、問題は高度に技術的なものであり、監査役が知りうる立場にあったかどうかはよくわからない。にしても、監査役が無罪放免、ということはないはずだ。

そういえば、と思い出したのは、公認会計士の役割だ。今回のカネボウなどのケースで公認会計士がどう関わったのか、ニュースをチェックしていないが、少なくとも一般的には、企業に対する公認会計士の態度は明らかに変わってきている。かつては不明朗な会計処理があっても、取引関係を維持したいために目をつぶるのが事実上通例となっていたようだが、今は、そうした会計処理は認めないとするケースをよくきく。

(一般的な傾向として)公認会計士が変わってきたのだとすれば、それは、公認会計士に対する責任追及がきちんと行われるようになり、それが抑止力として働きはじめたからだ。とすれば、次は監査役の番だ。責務をまっとうしない監査役に対して、法が想定する責任をきちんと追及する、それが一般的になれば、状況は少しは変わるかもしれない。

ただし、公認会計士とちがって、日本企業の監査役の多くは社員からの持ち上がりで、「取締役になれなかった者」のポストとしての色合いが濃いことを忘れてはならない。社長によって「監査役にしていただいた」監査役の場合、その社長に弓を引くのはかなり「勇気」のいることだろう。社外監査役がより一般的になるのを待つしかないのか。社外監査役などは、弁護士の副業としてけっこうおいしいものではないかと思ったりするのだが。

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