朝夕の高速料金半額化?
石原伸晃国土交通相は7月3日、横浜市で街頭演説し、高速道路の料金を朝夕の混雑時に半額にするとの考えを表明した(記事はこちら)。石原国交相は、道路公団改革に関連して「朝夕の混雑している時の料金を半分にします。これくらい思い切ったことをやるのが国民への還元だ。必ずこれをやらせていただきます」と述べた。
このニュースだけしか見ていないので、前後の文脈やらはわからないが、いったいどこからこんな考えが出てくるのだろう。
朝夕は高速道路の渋滞が最もひどい時間帯だ。利用者の不満も高まるだろうから、せめて料金を引き下げたい、ということなのだろう。しかしだ。ただでさえ混んでいる時間帯の料金を引き下げたら、その時間の渋滞がもっとひどくなるのは当たり前ではないか。何を考えているのだ、といいたい。
こういう場合通常なら、いわゆるピークロードプライシング、つまり混雑している時間帯の料金をそうでない時間帯に比べて高くすることを考えるのがセオリーだ。これにより交通量の分散を促し、全体としての混雑を軽減することができる。
したがって、もし値下げするなら、深夜の料金を値下げするのがよい。騒音を増長するのではないかなどの問題はあるかもしれないが、交通量の平準化には役立つし、おそらく深夜に多いであろうトラック輸送などに対してコストを引き下げる効果があるだろう。どうせ時間帯によって料金差をつけるなら、朝夕はぜひ値上げを検討すべきだ。
こういうことで人気をとろうという発想なら、いただけない。ちょっと考えればわかると思うのだが。
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Comments
山口浩さん、こんにちわ、
いま確か非接触型の徴収方式(ええと、なんていうんだっけかな?そうそう、ETC)だと、首都高速道路の深夜料金が半額とかやっているはずです。
http://www.mex.go.jp/topics/yakan/index.html
東京湾横断道路の値段も社会実験とかいって大幅値引きしているし、どうしちゃったの?という感じではありますね。をを、それいがいにもっと大胆な「社会実験」が!
http://www.etc-chowari.jp/
石原さんも真っ青な値引き合戦はなぜ生じているのでしょうかね?そんなことより、道路公団にこれ以上税金を投入しないでほしいと思うのは私だけでしょうか?道路が便利になると逆に地方が没落していくというべき乗の法則的な現象が理解されないのはなぜなのでしょうか?
分散していくためには、逆に首都乗り入れを不便にする、たとえば強制的なパーク&ライド方式をなぜすすめられないかな感じます。
Posted by: ひでき | July 04, 2004 11:35 AM
コメントありがとうございます。
知らないというのは、おそろしいものです。いろいろやってるんですねぇ。とんちんかんなことを書いてしまいました。失礼いたしました。もし、もう値下げをやっていて、それがいまいち効果がないのだとすれば、やはりピークロードプライシングをやるしかないですね。「強制的なパーク&ライド」はやや計画経済めいた考え方だと思います。ETCが普及し終われば、かなり細かい調整ができるのではないかと思います。ほら、航空運賃みたいに。消費者余剰の大部分を回収することで、市場メカニズムを働かせるのがいいように思いますが。その意味で、民営化は面白いチャンスかもしれません。
「道路が便利になると地方が没落」というのは、一般的には「ストロー現象」といいますね。2つの場所を「管」でつなぐと、吸引力の強いほうに水が流れていく、ということです。つまり、都会と田舎をつなぐ場合、田舎のほうに「吸引力」がない限り、人は田舎から都会へと流れます。よく道路を地域発展の「起爆剤」に、といった議論を耳にしますが、まずならないでしょうね。
Posted by: 山口 浩 | July 04, 2004 09:45 PM