大阪:外国人観光客の増加と「綾小路麗華」の気遣い
今回大阪に来て気づいたのは、以前に比べて外国人観光客の姿がめだって増えてきているということだ。欧米系と思われる白人も、英語を話す人々ばかりではないようだし、アジア系、ことに中国系と思われる人々の増加が目立つ。中国語には詳しくないが、話をしているのを横から聞いている限りでは、北京語ばかりではないようにも思う。駅などでは、路線図を前に、それぞれの母国語らしいガイドブックを手にした観光客が立ちつくしているさまを(以前より)よく見かけた。ホテル従業員に聞くと、正確な割合はわからないが、最近は宿泊客に占める中国からの団体旅行客の割合が増えているとのことであった。
ここまでだと単なる印象でしかないのだが、以下はその傍証といえるのではないか。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のアトラクション「ターミネーター2:3-D」に、「アヤノコウジレイカ」(漢字表記はわからないが、とりあえず「綾小路麗華」とでもしておく)という人物が登場することをご存知だろうか。真っ赤なスーツを着て、来場客を小馬鹿にするあの女性キャラクターである。3Dスクリーンの部屋に入る前、綾小路は、数人の来場客を指名してどこから来たかを答えさせ、それを「ど田舎」とか「中途半端に遠い」だとかおちょくる。「渋谷」とでも言えば、「まあ自慢げに」とこれもやはり茶化される。後でこの人は悪者ターミネーターに殺されてしまうので、いわば嫌われ役を演じているわけだ。
そこでなのだが、最近、この綾小路が指す数人の中に中国人が混じる可能性が高くなってきている。数人は、遠くから来た人に手を挙げさせて指名するのだが、どうも中国人らしい客を選んでさしているふしもなくはないから、外国人観光客の正確な比率はむろんわからない。しかし毎回必ず誰かしら外国人がいるとすれば、それはやはりそこそこの人数がいる、ということにはなるはずだ。
ちなみに、綾小路はこれら外国人観光客をけなすことはしない。「まあ遠くから。皆さん拍手!」などとはやすだけである。さすがの敵役キャラもやはり国際関係に配慮、ということだろうか。けっこう気配りのある人だったりするのだ。見直したぞ、綾小路。
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Comments
トラックバックさせていただきました。USJについては何も知りませんが・・・
>話をしているのを横から聞いている限りでは、北京語ばかりではないようにも思う
この発言にやっぱり山口さんの言語執着系能力が表れていると思いました。そうなんですよ、北京語じゃないっていうのは分かるんですけど、じゃあ、なんなの?というのまで判別するのは難しいですよね。
Posted by: Hiroette | July 31, 2004 11:53 AM
コメントありがとうございます。
少なくとも、広東語と北京語がけっこうちがって聞こえることはわかります。広東語のほうがちょっと「けんか腰」みたいに聞こえますよね。個人的な印象では、東京のことばと関西のことばの関係に少し近いかも、などと思うですが偏見でしょうか。ただ、広東語でもそれが香港の方なのかどうかとか、本当に広東語なのか(別の方言かも)とか、そういったところはほとんどわかりません。
Posted by: 山口 浩 | July 31, 2004 02:24 PM
トラックバック&コメントありがとうございました。ご存じの記事かと思いますが、調子に乗ってもう一つトラックバックさせていただきました。
山口さん!
広東語を関西弁だなんて、もうその感性の鋭さがすごい!(笑)
そういう話題になるとどうしようもなく食いついてしまう私です。広東語は香港と、広州などでイントネーションが違うのかとかは分かりませんが、基本的に同じはずです。
私は広東語の方が北京語より分かるので、この二つの言語はばっちり判別できますが、台湾人の人が「台湾語は広東語と北京語の間くらいな感じ」などと言っていました。これはちょっと手がかりになるかも知れません。候孝賢(ホウ・シャオシェン)の映画などを見るとなんとなく比較ができるかも知れませんね。
Posted by: Hiroette | July 31, 2004 06:22 PM
感性がどうなのかわかりませんが、大阪≒香港説は、かねてから思っていたことでした。ことばだけではなくて、街の看板も、香港と大阪では少し似た要素があるように思います。どちらも「商都」ですから、類似点を指摘されるのは、お互いにとって誇りなのではないかと。
広東語は北京語に比べて若干ことばの輪郭が崩れたような感じだと思いますが、そのへんが「…でおまんがな」的印象を与えるかな、と。ただ、友人に上海出身の人がいて、Shanghai dialectというものがあると言っていたので、それが北京語・広東語とどのような関係にあるか、わからずにいます。台湾のことばは福建省のことばに近いのでしたっけ。
Posted by: 山口 浩 | August 01, 2004 12:02 AM
こんなん見つけました。
↓
USJ・綾小路麗華のblog
http://tienoki.cocolog-nifty.com/tienoki_blog/2004/08/blog.html
Posted by: くりおね | August 17, 2004 05:47 PM
くりおねさん、
ありがとうございました!いやーあの綾小路麗華もblogをやってるとは!でも期間限定みたいです。ちょっと残念。皆さん今のうちですから見てくださいね。
Posted by: 山口 浩 | August 17, 2004 06:48 PM
トラックバックして頂き、有り難うございます。大阪:外国人観光客の増加と「綾小路麗華」の気遣い、読ませていただきました。
しかし、人のブログ名を「ここ」と軽く書いて済ましているのはどういうことか説明して頂けますか?「ここ」とあるのを読み、トラックバックしてくれた喜びも半減しました。
対応如何では、残念ながら山口さんのトラックバックを削除させて頂きます。
Posted by: 知恵の樹 | August 20, 2004 12:50 AM
知恵の樹さま、
たいへん失礼いたしました。まったく他意はありませんでしたが、敬意を欠いた取り扱いであったことを認め、お詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。本文は謹んで訂正させていただきます。
Posted by: 山口 浩 | August 20, 2004 07:08 AM
「ターミネーター」は何度か行きましたが、外国人の観光客がいたことはなくて、山口さんのブログを読んでびっくりしました。トラックバックもさせていただきました!ところで、最近は難しいですね。私だったらリンクを張ってもらえたら「ここ」でも何でも嬉しいものですが。めげないでがんばってくださいね!
Posted by: dahlia | August 25, 2004 03:09 AM
dahliaさん、コメントとトラックバックありがとうございます。
私も、中国からの観光客があれほどいるとは最近まで気づきませんでした。統計情報として聞いてはいても、ああやって目の当たりにすると、実感がわきますね。
別にめげてはおりません。お気遣いありがとうございます。むしろ勉強になったと思っています。アメリカのblogでは「this」とか「here」とかでリンクされることがよくあったので別に気にしていなかったのですが、日本独自のblog文化ができつつあるのかな、などと興味深く見守っております。そういえば、トラックバックとかコメントにいちいち「ありがとうございます」って返すのも、ひょっとしたら日本独自かも?
Posted by: 山口 浩 | August 25, 2004 09:08 AM
地域名 増加数
大阪府 181030
東京都 112460
神奈川県 47260
愛知県 44120
長野県 32190
静岡県 29540
沖縄県 23590
熊本県 21340
福岡県 17070
大分県 16940
石川県 15270
京都府 14960
山梨県 13890
兵庫県 13440
長崎県 13150
和歌山県 13010
宮城県 9360
富山県 7980
鹿児島県 7840
愛媛県 7090
千葉県 5110
滋賀県 4900
福井県 4890
福島県 4680
徳島県 4680
岡山県 4490
岩手県 4030
茨城県 3130
栃木県 2960
三重県 2920
秋田県 2870
香川県 2420
広島県 1810
新潟県 1240
宮崎県 1140
山口県 980
奈良県 910
島根県 580
山形県 190
佐賀県 -40
高知県 -90
鳥取県 -1370
埼玉県 -1700
群馬県 -2070
岐阜県 -2280
青森県 -6400
北海道 -7150
Posted by: 奈良を愛する県民より) | January 03, 2008 05:27 AM
奈良を愛する県民よりさん
ええと、いったいこれは何なんでしょうか?
Posted by: 山口 浩 | January 04, 2008 12:53 AM
失礼いたしました 書き込むときに 前半をとばしていました。
年末に国が発表した 外国人の宿泊統計をJ研究所(多分 JTB)が分析した資料が ネットにでていまして
2007年7-9 と2006年7-9 の三ヶ月間で外国人宿泊者数の増加数の全国順位です
実は今奈良は宿泊者がこの統計結果で全国最低になりまして 大騒ぎです。
奈良県民としては悔しいのですが大阪は以外に全国一位です。うらやましい限り 増加の要因は韓国・中国の方が増加していることとJ研究所では分析しています。
Posted by: 奈良を愛する県民 | January 12, 2008 07:29 PM
奈良を愛する県民さん、コメントありがとうございます。
おそらく元データは国交省の「宿泊旅行統計調査報告」かと。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanko/pdf/
shukuhakutoukei_19_07-09.pdf
ぱらぱらと見たんですが、奈良県は同じ時期に外国人旅行者の宿泊数が対前年比で伸びてますね。日本人が減っているようです。奈良県は「泊まるところが少ない」という印象が強くありますが、実際、宿泊施設数はそう多くないようですね。県外宿泊者が県内宿泊者の数倍います。もともと大阪とかに近いせいもあるのでしょうが、観光という面でいうなら、あまりうまくやっているという印象はありません。土地柄からいうと、大きなホテルもさることながら、小さな民宿みたいなところがもっと点在してるといいのにな、と個人的には思ったりします。観光資源からいえば申し分ないはずなのに、ちょっともったいないですね。修学旅行に頼りすぎたツケなんでしょうか。奈良を愛する都民の私としては、奮起を期待したいところです。
Posted by: 山口 浩 | January 12, 2008 08:27 PM