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官僚は桃太郎侍ではない

以前に書いた「官僚を擁護してみる」に対し、面白いトラックバックをいただいた。官僚の融通の利かなさに対してなぜ私たちが不満を持つのかに対し、企業において担当者が融通の利くサービスをしてくれるのと対比してしまうからではないか、という分析だ。なるほど、と納得させられる。たまたま昨日「踊る大捜査線2」をビデオで見たのだが、よく似た感想をもったのを思い出した。

官僚の行動様式については、利益を目的とせず年功序列の人事システムをとっているために気を利かせるインセンティブが働かないという、一種のエージェンシー問題であるとみるのが一般的かもしれない。確かにその通りだと思うのだが、上記の「Ne.'s BLOG 「酔月庵」」氏のように、官僚に対して不満を抱く私たち自身に目を転じてみる必要もあると思う。

ひょっとしたら私たちは、官僚に「桃太郎侍」的な役割を期待しているふしがあるのではないか。つまり、一段上の立場から私たちを見ていて、何かあったらしゃしゃり出てきて、悪者をばったばったとやっつけてくれる正義の味方だ。桃太郎侍は将軍家のご落胤だかなんだかで治外法権だから、自分の判断でルールを決め、それを執行し、従わない者を斬り捨て、反省した者を許すことができる。

官僚がこのようであったら、住みやすい世の中になるだろうか。ルールを臨機応変に変え、箸の上げ下ろしまでていねいに指導し、従わない者を一刀両断に裁いてくれる官僚たちを、私たちは望むのだろうか。大蔵省が銀行を護送船団方式で守り、行政指導でこと細かに指導していたのを、不透明だとして非難したことと矛盾しないか?

そもそも私たちの社会はなぜ、ルールを決めたのだろうか。Aさんにとって都合のいいことは、BさんにとってもCさんにとっても都合のいいことなのだろうか。人の利害は必ずしも一致しない。だから調整をはかる必要がある。強い権力を持つ官僚に勝手にやられたのではかなわない。だからあらかじめルールを決めておく。私たちの社会は、そうやって成り立っているのではないだろうか。

もちろん、程度問題はある。杓子定規が絶対というつもりはない。そこは常識の世界だ。常識的に許せる幅の裁量やら配慮やらは、きかせてもらいたい。その点で今の官僚の対応は、必ずしも満点とはいえないだろう。唯一の身寄りを頼って日本にやってきた子供を本国に追い返そうとしたケースがあったが、あれなどは典型的な例といえる。それから判断すべきところを判断せずに先送りしたりするのも困る。税制の解釈などで、事前に見解を示さず、後で文句をいうことがよくあるが、あれはぜひ改善してもらいたい。他にもいろいろあるはずだ。

ただ、やはり私たちは、官僚が桃太郎侍になってほしいなどとは思うべきではないと思う。私たち(の代表たる政治家たち)が必要なルールは決め、変えるべきルールは変え、それを執行してもらう組織であってほしい。それが民主主義というものではないか。「常識程度の融通」については、私たち自身が声をあげることがけっこう有効なのではないかと推察する。官僚は、桃太郎侍とちがって、世間の評価をけっこう気にしているからだ。よくないと思う対応を批判する、よいと思う対応は賞賛する(こっちはあまり行われないからかなり有効だと思う)、私たちが声をあげ続けることによって、世の中が少しでもいい方向に動けばいいと思う。

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Comments

山口浩さん、こんばんわ、

うーん、なやましいですね。ただ、現在の問題は田中角栄以後(いや、もしかすると吉田茂以降)、官僚がルールを作る側にまわってしまっていて、政治家がそれにべったりと頼ってしまっている政治と官僚の癒着構造が問題なのではないかと感じております。これに、産業界がくっつき、マスコミがくっついて「鉄のレクトアンギュラー(四角)」を作っているのが現在の閉塞間あふれる日本の源かと思うのですがいかがでしょうか?

あ、ただ、日本人が官僚に桃太郎侍を期待してしまっているというは、ほんとうに賛成です。この「鉄のレクトアンギュラー」を作ってしまったのは、間違いなく官僚や政治家に期待しすぎな我々なのだと最近自覚しました。だから、きっと日本を変えようと思えば、まずは自分たちから変らなければならないと感じます。

Posted by: ひでき | July 12, 2004 at 06:23 PM

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