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提携「ケータイ」の時代が来る?

The Economist誌2004年7月10日号で、「仮想携帯電話網会社(MVNO: Mobile Virtual Network Operator)」についての記事を見かけた。自前の携帯電話網を持たず、既存の携帯電話会社から借りて事業を営むかたちの会社だ。記事が主に取り上げていたのはヴァージン・グループVirgin Mobileだ。10代の若者を主なターゲットとして既に400万人もの契約者を持ち、事業はイギリスだけでなくアメリカオーストラリアにも広がっている。資金調達のためイギリスでの株式上場をねらっているという。

ここ数年でMVNOがさかんになってきたのは、第3世代携帯電話の普及が大きなきっかけとなっている。コストのかかる電話網設備への投資を回収するため、既存携帯電話会社が、あまった回線余力のリセールを容認するようになってきたのだ。これに、携帯電話というデバイスを安価に手に入れたい企業が飛びついた。なんらかのかたちで潜在利用者にアクセスできるチャンネルを持っている企業だ。

MVNOは、いくつかのタイプに分かれるようだ。Virginなどは、若者に対するブランド価値があり、独自のマーケティングツールを展開するためにも携帯電話事業を行うメリットが大きい。7-ElevenTescoなどの大手小売業者も似た理由から参入している。また、さまざまな人種が入り乱れるアメリカでは、特定のエスニックグループに特化した携帯電話会社が存在しうる。たとえばヒスパニック層をターゲットとするTracFoneは1996年の設立以降200万人を超える契約者を集めているし、一方DBS Communicationsは黒人層を惹きつけている。

もう1つ、忘れてはならないのが、コンテンツ関連の企業だ。記事によれば、DisneyもMVNOへの参入を検討しているらしい。携帯電話の性能は急速に向上しており、コンテンツ配信のデバイスとして注目されてきている。日本や韓国とちがってアメリカではまだテレビ付き携帯電話は開発されていないが、どこにいてもコンテンツを高速でダウンロードできて、それをそのまま楽しめるとしたら、これは相当便利なのではないかと思う。

よく考えてみると、こうした傾向は、クレジットカード業界でよく見られた提携カードに似ている。クレジットカードという機能部分をアウトソースして、自社カードを安価に立ち上げ、自社製品の販売などの特典を売り物にして会員数を増やす。カード会社も、自社だけではアクセスできない顧客層を獲得できるわけだから大歓迎だ。MVNOは、これを携帯電話でやろうとしていると考えればわかりやすいかもしれない。

とすれば、携帯電話は今後、マーケティングツールとして使われるようになるかもしれない。Economistの記事は、ファッションブランドなどが携帯電話をこうした目的に使うようになるかも、という予想をしている。その携帯電話を使って広告を配信し、買い物をすればポイントがたまり、といった具合だ。今、財布の中にクレジットカードが何枚も入っている人は少なくないだろう。ひょっとしたら今後、かばんの中に携帯電話がいくつもごろごろしているような人が出てくるかもしれない。もちろん、携帯電話の料金の心配はしなくてはいけないだろうが、今後IP携帯電話なども出てきそうだから、それほどとんちんかんな話ではないのではないか、と思ったりする。

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Comments

自社の商品を買った分に応じて、通話料を無料にするというMVNO携帯電話がでてきたら面白いですね。
小売店などが手がけていたら、無料通話分を増やすために、その小売店を積極的に利用しそうです。
コンテンツ利用をすると、料金がとてもかさむので。

Posted by: ミズタマのチチ | July 14, 2004 at 02:04 PM

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