« 合併交渉はおおっぴらに | Main | 最近のお気に入りblog集 »

August 05, 2004

パ・リーグよPacific Leagueをめざせ

プロ野球界再編問題はますます混迷の度を深めている。とうとう国会議員まで首を突っ込んできていて、政治問題にすらなりそうな気配だ(もっと他にやることがあるだろうに)。私個人としてはプロ野球界に興味はないのだが、最近、面白い意見を聞いたのでご紹介する。パ・リーグの活路を開く新提案、といったところだろうか。実現に向けた障害は若干大きそうだが、この案を出した人はまじめに考えていたようなので、以前書いたような不真面目な案ではない。

パ・リーグの問題とは、あらっぽくいえば、収入とコストのインバランスによる球団収支の赤字構造に親会社が耐えきれなくなっていて、球団の合併によってしのごうとすると球団数が減少してリーグを維持できない、といったところだろう。1リーグになれば、なんといっても人気の高い巨人との試合が期待できるから、収支も改善すると期待しているわけだ。対するセ・リーグの巨人以外の球団にとっては,リーグ内のチーム数が増えることは巨人戦の回数が減るので容認できないということになる。いってみれば、どちらのリーグでも、巨人だけが頼り、というわけだ。

私が聞いた案は、パ・リーグを改組して、アジアの他国と共同のリーグを作ってはどうか、というものである。以下、そのときの話を自分なりにふくらませてみる。Googleで調べたところ、プロ野球を持つ国は世界に6つあるそうだ。日本、アメリカのほか、韓国、オーストラリア、メキシコ、台湾だ。アメリカやメキシコはさすがに遠いが、韓国、台湾なら飛行機で数時間の距離、時差もせいぜい1、2時間だ。アメリカの大リーグ球団が全米に広がっていることを考えてほしい。同じリーグとして運営することは充分可能なはずだ。少しがんばれば、オーストラリアだって含めてもいい。

韓国のプロ野球は8球団、台湾のプロ野球リーグ(「中華職業棒球聯盟」(Chinese Professional Baseball Leaugeというらしい)は6球団ある。(オーストラリアについてはちょっと調べた範囲ではわからなかった。知っている人いたらご教示願いたい)仮にパ・リーグが4球団に減ったとして、韓国と台湾を併せれば18球団になる。たとえばこれを1部、2部リーグのように強い順に階層化する、なんていうのはどうだろうか。18球団を6球団ずつに分ければ3段階になる。シーズンごとに入れ替え戦をやっていくことも考えられよう。

このような「国際リーグ」は、今までのプロ野球とちがい、多くが国際試合となる。日本全体が「地元」となるわけだから、今までよりファン層は広がるのではないか。もちろん球場への来場者数がどうなるかについては多少不安があるだろう。大阪から東京まで応援のためにやってくるファンの数より、日本から台湾まで応援に行くファンの数は少ないだろうと予想されるからだ。しかしテレビの放映権などについては、これまでより期待できるかもしれない。さらに、球団オーナーも、自国企業に限る必要はなくなる。韓国、台湾、さらには中国企業でもオーナーに迎え入れればいい。プロ野球球団を持つことの効果に期待し、赤字を甘んじて受け入れるアジア企業は必ずあると思う。

中国・重慶でのサッカーのように、偏狭なナショナリズムを煽る効果があるとすれば、注意は必要だろう。選手の交流が効果的なのではないかと思う。今のような「外国人枠」などというつまらないものは撤廃してしまえばいい。日本の選手が台湾の球団で、韓国の選手が日本の球団で、といったかたちで交流していけば、自国のみを応援する狭量さはなくなるかもしれない。ぜひ中国からも選手を受け入れたい。中国人選手が日本、韓国、台湾といった国の球団で活躍すれば、中国人にも野球が広まっていく。プロ野球球団もできるかもしれない。

こうした東アジア連合リーグ(オーストラリアも入れればアジア・大洋州とでも呼ぶか)は、パ・リーグの正式名称である「Pacific League」を地で行くものだ。計画的に選手育成をはかり、将来的にアメリカ大リーグの優勝チームと試合できるようになったら、まさに真のワールド・シリーズとなる。縮小均衡をめざす議論ばかりが目立つが、こういった大きな構想を抱く球団はあらわれないのだろうか。


※2004年10月26日追記
野球「アジアカップ」構想、前向き検討で合意(読売新聞)
野球振興策として、また日本野球機構(日本プロフェッショナル野球組織=NPB)の財政基盤を強化する策として、2005年の日本シリーズ後に、日本と韓国、台湾、中国のプロ野球のチャンピオン同士が集まり、アジア一を争う「アジアカップ」の構想が、プロ野球実行委員会でコミッショナー事務局から示され、実施に向けて前向きに検討していくことで合意した。2年に1度開催する方針で、今後、3か国・地域に打診し、詳細を詰める。

|

« 合併交渉はおおっぴらに | Main | 最近のお気に入りblog集 »

Comments

8月9日、ダイエーがロッテに対し、経営統合の申し出を断ったとの報道がありました。ダイエーの考えはわかりませんが、ロッテとしては困ったところでしょう。韓国の球団との統合とか、考えられないですかね。ロッテだったら韓国の人たちにもなじみがある企業だし、人気も出るかも、などと思うのは甘いでしょうか。

Posted by: 山口 浩 | August 10, 2004 09:34 AM

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference パ・リーグよPacific Leagueをめざせ:

» 近鉄、オリックスの合併問題について [若輩者の独り言]
近鉄とオリックスが、合併合意書に調印したとのこと。 企業としては明らかに財務体質が悪い(2社ともに公表していないので詳細は不明だが)だろうし、1リーグになった... [Read More]

Tracked on August 12, 2004 07:09 PM

« 合併交渉はおおっぴらに | Main | 最近のお気に入りblog集 »