金融界のマーサ・スチュアートとしての「木村剛」
木村剛氏が、10月21日にビジネス・投資情報月刊誌「フィナンシャル・ジャパン」を創刊するらしい。紹介の弁によると、「経営幹部・投資家のための経営・投資・ライフスタイル情報を満載した、ストレートでフェア、オンリー・ワンの月刊誌です。経営者の目線に立った経営情報をご提供するとともに、既存のマネー雑誌に飽き足らない投資家に向けて、実践的な資産運用術をご提案します。さらに、『一流とは何か』を知る大人のために、豊かな人生のあり方、本物の生き方とは何かを追求した記事を展開していきます。」だそうだ。
少し前に「Curated ConsumptionまたはParotting」という文章を書いた。そこでとりあげたのは、社会に対するマスメディアの影響力が弱まり、「身近な目利き」に判断を頼る傾向が強まっている、という話だ。元ネタは「CNET Japan」内の「渡辺聡・情報化社会の航海図」で紹介されていた「curated consumption」という考え方である。価値観の軸が複数の「身近な目利き」に分散化し、かつその軸に収斂していく(それ以外のものが衰退する)ということらしい。
「目利き」としての木村剛氏には以前から注目していた。金融を中心とした経済問題に正面から斬り込んでいく部分もさることながら、それを社会にアピールしていくうまさは出色である。結果として、金融・経済問題に関する判断をするとき、木村氏の意見をよりどころにする者は相当数に上るだろう。
これまで木村氏の意見は、テレビなどでの短い発言のほかは、主に単行本で世に伝えられてきた。(Blogなどインターネットにおける露出についてはここではひとまず措く。)今度創刊される月刊誌は、インターネットに触れることが比較的少ない中高年層、ビジネス界におけるリーダー・中堅層の支持者を広げることに役立つだろう。ライフスタイルにおいて「カリスマ主婦」マーサ・スチュアート氏は、身近で親しみやすいイメージを活かして「今よりちょっといい暮らし」を提案し、多くの追随者、模倣者、信奉者を得た。木村氏がめざしているのは「金融界のマーサ・スチュアート」なのかもしれない。(木村氏自身は「経済情報の伯楽を目指します」と表現している。読者層のリーダー意識をくすぐる意図だろうか。このあたりもうまい。)
ちなみにマーサ・スチュアート氏は、インサイダー取引に関する偽証とかで有罪判決を下されたが、ここでいっているのはそういう意味ではない。誤解なきよう。
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