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August 15, 2004

映画「スチームボーイ」

大友克洋監督の待望の新作である。舞台は19世紀半ばのイギリス。世紀の新発明「スチームボール」をめぐる大冒険活劇。断片的な映像だけはずいぶん前から目にしていたが、それからが長かった。資料をみると、94年6月には企画書ができていたらしい。それから製作会社も制作会社も変わって、さらにいったん2003年秋と決まった公開時期が今年7月に変更され、ようやく公開にこぎつけたわけだ。

24億円におよぶ製作費と比べて興行的に大成功、とはいかないようだが、あの「AKIRA」がそうだったように、人々の記憶に長く残る作品になるような気がする。

凡庸なたとえをすれば、大友版「ラピュタ」とでもいおうか。どちらも、科学というものがいかなるものであるか、いかに使われるべきか、という大きなテーマをエンタテインメントの衣にくるんで見せてくれる。科学というものに対して無邪気な信頼、素直な希望があった時代、そこで発生する現代的な対立の構図を描いているが、底流には将来に対する前向きな考え方がある。

産業革命はイギリスで始まった。この時期のイギリスは世界最先端のハイテク国家だったのだ。いかにもイギリス風の田園風景と、そこを走り回り、飛び回る(今からみればレトロな雰囲気満点の)最先端マシン。3代続く発明家の血。告白するが、こういうセッティングは好きだ。ジェンダー論的には問題発言かもしれないが、くだけた言い方をすれば、自分の中の「男の子」が騒ぐ。スチーム城はラピュタ+多脚砲台といった趣だが、あちこち壊れ崩壊していきながらも圧倒的な力を見せつけるさまや、なんともサイバーパンクな操縦方法は、やはり「AKIRA」の遺伝子というべきか。映画で見落としてしまったディテールをもっと見たい。今後海外公開もあるだろうが、DVDの早期発売を望む。

泣かせないエンディングがさわやかでいい。こういうところも「男の子」属性を刺激する(フェミニストの皆さん再びごめんなさい)。パンフレットにあった大友監督インタビューでは、「次回作は『スチームガール』」との発言があった。冗談だろうと思うが、エンドロールのバックに流れる映像はあまりに思わせぶりだ。本作でひっかき回し役だったスカーレットが成長した後に主人公として大活躍するのだろうか。一般論として続編に頼る制作姿勢は好きではないが、あのエンドロールは半端な予告編よりも期待をかきたてる。

どうも本作、少なからぬコアな大友ファンには不満が残るようだ。「AKIRA」パート2を期待したのだろうか。今さら同じことをやってもしかたないと思うのだが。「破壊と暴力」は今現実社会に満ち溢れている。サイバーパンクももはや科学的現実となり始めている。科学と人間の新しい関係、夢見る力、現実と向き合う勇気。今はこういうものが必要だ、と大友監督は考えたのだろう。破壊と暴力のみにカタルシスを感じる皆様は、おそらく大友ワールドの一面しか見ていない。

ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが欧米での配給を担当するようだが、内容からみても映像からみても、英語版のほうがしっくりくるような気がする。これだけ映像にこだわったのだから、ぜひイギリス人の声優で願いたい。ちゃんと社会階級ごとに英語も使い分けてね。人がばんばん死ぬし、PG13ぐらいになるんだろうか。

ちなみに、「DVD映画ポータル」による全国映画ランキングのトップ10(8/7(土)~8/8(日))は次の通り。

今週 先週 作品名 公開日 公開週
1  1  ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
2  3  ポケットモンスター・アドバンスジェネレーション
      裂空の訪問者デオキシス
3  2  スパイダーマン2
4  -  リディック 東芝/松竹
5  -  劇場版 金色のガッシュベル!! 101番目の魔物
6  4  シュレック2
7  -  サンダーバード
8  5  キング・アーサー
9  6  スチームボーイ
10  8  世界の中心で、愛をさけぶ

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