アイドルファンドUpdate 04/08/12
㈱ジャパン・デジタルコンテンツが開発し、ジェット証券㈱が販売した「新人グラビア☆アイドルファンド」の現状について報告する。(以前のエントリーについては、「リアルオプション研究会」を参照されたい。この記事とこの記事とこの記事)
このファンドは法的には匿名組合契約に基づくもので、営業者がJDCであり、その「事業」が5人のアイドルのDVDおよび写真集製作・販売ということになる。個人投資家からの資金を集めるために1口5万円と小口に設定されており、調達資金規模はアイドル1人あたり500万円、5人で2,500万円だ。
このファンドの特徴は、最大第4弾までありうるDVD・写真集製作事業において、中途段階の足切り基準が明確に設定されていることにある。第1の関門は、DVDおよび写真集の発売から3ヶ月後の7月20日時点において、売上が一定水準を上回っていることである。DVDは1,000枚、写真集は1,000冊を超えていなければ、次段階に進むことはできない。
7月20日現在の、各アイドルのDVDおよび写真集の販売状況は、次のようになっている。
写真集 DVD
青山愛子 出荷 2,484 返品 1,444 差引売上 1,040冊 1,463枚
(写真集・DVD)
EIREI 出荷 2,498 返品 1,441 差引売上 1,057冊 1,351枚
(写真集・DVD)
神谷怜奈 出荷 2,445 返品 1,547 差引売上 898冊 1,349枚
(写真集・DVD)
島田早希 出荷 2,477 返品 1,527 差引売上 950冊 1,360枚
(写真集・DVD)
武市智子 出荷 2,433 返品 1,543 差引売上 890冊 1,332枚
(写真集・DVD)
当初は5人全員がDVD・写真集双方の足切り基準を上回っていたが、写真集は再販制度があるため返本で実際の販売部数が減少した。DVDは再販制度がないため、販売枚数がその後減少することはない。結果として7月20日時点では、DVDについては5名全員が第2弾の製作に入ることとなったが、写真集については、5名中ネット販売冊数が1,000部を超えた2名のみについて第2弾を製作することとなった。第2弾のDVDおよび写真集の発売は、2004年10月ごろと予定されている。第2弾についても足切りは基準がある。
JDCは最近、「アニメファンド!」も開発する(この記事)など、コンテンツビジネスにおける資金調達のあらたな手法を積極的に開発している。このような明快なスキームに基づいて、個人投資家が適切な範囲のリスクをとることを楽しむことができる投資商品は、今後さらに増えていくだろう。こうした「娯楽としての投資」は、潜在的に、間接金融に強く依存しリスクの存在を個人から隠そうとする日本の金融のあり方に大きな変化をもたらしうるものと思う。その意味でも、5人のアイドルたちのさらなる「健闘」を期待したい。
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Comments
こんにちは。
「アニメファンド!」でもコメントをいたしたものです。
このアイドルファンドの、足切り基準をクリアできるか否かというあたり、「朝ヤン」におけるデビュー前の「モーニング娘。」とダブって見えてきます。
足切り基準にクリアにむけて頑張る過程が露出の増加等によって見えやすくなると、ファンの応援も燃えてくるのでしょうね。
投資家なのにファンとしての熱が上がってしまうと、冷静になれなくなる可能性も有りますが、それもまた楽しそう。
余談ですが、「アニメファンド」はホントにお金を出してみようかな、と前向きに検討しつつあります。
投資して楽しいと思える要素って、大事だと思います。
Posted by: ミズタマのチチ | August 13, 2004 11:57 AM
コメントありがとうございます。
「モーニング娘。」との対比は面白いですね。投資家の中には「そっち系」の方が少なくないようで、「投資家懇談会」なるイベントでは、アイドルとの2ショット写真にでへへ顔で写っている方が多くいました。ああいう方はもはや冷静ではないでしょうね。それはそれでアリ、というところかもしれません。楽しんでるわけですからね。
Posted by: 山口 浩 | August 14, 2004 02:25 PM