Blog時代のネチケット
「ネチケット」ということばがある。説明するまでもないだろうが、「ネット」と「エチケット」を組み合わせたものだ。ネットにおけるエチケットという意味に解釈してよいだろう。インターネットが一般に普及し始めた90年代に初めてこのことばを聞いた。もっと前からあったのかもしれないが、とりあえず、90年代ごろからよく使われるようになったといってもおかしくないだろう。
Blog時代に入った今、ネチケットの基準は見直されるべきだろうか?あるいは変化したのだろうか?
90年代のネチケットについて、さほど詳しいわけではないのだが、「ネチケットガイドライン」なるものがあるらしい(私訳のようなので利用の際は注意)。原文は1995年にインテルの人が書いたものだそうだ。用語は古いが、この中でblogはどこにあたるかを考えると「4.0情報サービス」(WWWなど)ぐらいだろうか。コメントやトラックバックを通じた意見のやり取りの部分は、ひょっとすると「3.0一対多の通信」(メーリングリストやネットニュースなど)に関するものも有益かもしれない。また、メールに関する部分も役立つことは多いと思う。
「4.0情報サービス」(WWWなど)をみると、「断わりなく、他のサイトへのポインタを設けてはいけません。」というのがある。リンクを張るときには承諾をとれ、ということだろう。ここにはないが、リンクする場合は原則としてトップページに、というのも一般的なルールだったと記憶する。この点、blogではどうだろうか。私のblogを含め、blogでは、他人のサイト、それもトップページ以外にリンクを張ることが日常的に行われている。特段の承諾を求めることなしに。ネチケットは変わったのだろうか。それともblogでだけ許されるローカルルールなのだろうか。だとすれば、blogで一般サイトをリンクした場合の扱いは?一般サイトがblogをリンクする際の扱いは?どうもよくわからなくない。
リンクのルールについては、知らないうちに別のサイトに移動してしまうリスク(たとえばあやしげな利殖のサイトに銀行サイトへのリンクを張ることで、銀行と関係があるかのような誤解を招く)などが考慮されていたのだという話を聞いたことがある。それが「簡素化」されたのだとすれば、以前に比べて、リンクという行為に対して人々が慣れてきたせいなのだろうか。
「3.0一対多の通信」(メーリングリストやネットニュースなど)のところでは、こんなものがある。
返答を投稿する前に、進行中の議論のすべて(スレッド(糸)と呼びます)に目を通しましょう。前の投稿に賛成だということに限定された内容の「Me Too(私も)」メッセージを投稿することは避けましょう。フォローアップ記事は、引用された内容を発展させたものでなければいけません。
これは、blogというものの根幹に関わるのではないだろうか。Blogでは他人の書いた記事などをリンクとともに紹介することを主な内容としたものがたくさんある。それらはこの基準からいえば、「引用された内容を発展」させたものではないとしてルール違反にされてしまうかもしれない。また、先出の議論を読んでおけというのはなかなか手厳しい。Bloggerの皆さんも、トラックバックの際にはそれ以前の議論の流れをふまえるよう気をつけよ、ただの引用はやめよ、などの教訓になろうか。
リンクを張る際に、リンク先のサイト名を表示するというのはマナーだろうか。アメリカのblogなどでは「see this」のようなかたちでリンクされることがよくある(私もされたことがある)。少し前にこの件で抗議を受けたことがあった。日本独自のルールというのができているのかもしれない。
メールに関しては、こんなのもある。
一般に、インターネットを使うほとんどの人々には、インターネットやその働きについての一般的な質問に答えている暇がありません。RFCやメーリングリストで名前を見かけた人に、頼まれてもいないメールを送って情報を求めるようなことをしてはいけません。
このへんは、今でもよくある。忙しいかどうか別として、いきなり相手に情報や意見を求めるのはやはり筋ちがいだと思う。インターネットは基本的に互恵性のシステムだからだ。
ただ、ネットにはいろいろな人が集まってきている。さまざまな背景、さまざまなネット経験、さまざまな考え。必ずしもそれらが一致するとは限らない。ネチケットは共通な部分も多いだろうが、完全な一致はやはり不可能だ。他人のネチケットがあまりよくないとしても、あまりひどいやり方で排除したりするのは避けるべきだと思う。それは私たちの実社会においても同じことだ。ただあまりお付き合いはしたくないが。
最後に、他人のサイトを見る人に関するこの部分を引用しておく。自分への戒めとして。
インターネットは地球を渡り歩くものですから、情報サービスはあなたの属する社会とは著しく異なった文化や生活様式を反映するかもしれないことを覚えておきましょう。あなたにとって不快な文書を見つけたとしても、実はそれが許容されている地域から発信されたものかもしれません。いつも寛大な心を保ちましょう。
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Comments
コメントをいただいたお礼に伺ったのですが、
何気なく自分のサイトで修正をかけていたのが、
とんでもないトラックバック・スパムになって
いたことを、今頃知りました。
大変、失礼いたしました。
Posted by: minori | September 13, 2004 09:39 PM
いえいえ、お気遣いなく。
私にも経験があります(もっとはでなやつ)。ただ、もしこのまま残されたくないということであれば、1つだけ残して削除しますが、いかがしましょうか?
Posted by: 山口 浩 | September 13, 2004 10:24 PM
お心遣い、ありがとうございます。
お手数でなければ、12日付の "11:18 PM" を残して、あとはざっくりと。
サイトいらっしゃる方々にも目障りかと思いますので。
いただいたご質問について、私見をまとめましたので、
今度は、1度だけトラックバックします。
Posted by: minori | September 14, 2004 12:25 AM