公的年金タスクフォースが進展しているらしい
少し前に「週刊!木村剛」あたりで盛り上がった公的年金問題に関連して、bloggerたちが「公的年金タスクフォース」を立ち上げたという話があちこちで話題になった。マスメディアにもいくつかとりあげられたと思う。その後どうなったのだ、と気にする向きもあるだろう。
詳しくは「公的年金タスクフォース」のblogがあるのでそちらをご覧いただければいいのだが、これがどうもいろいろ進展しているらしいのだ。
とりあえず経緯と現状を整理しておく。そもそもこの問題が盛り上がったのは、「週刊!木村剛」において、木村氏が年金問題をとりあげたことに始まる。大量のトラックバックがあり、関心の高いことが示されたわけで、これがその後、①公的年金に関係する国会議員への公開質問状、および②厚生労働省への情報公開請求へとつながっていく。①については、質問に応じた2名の国会議員、自民党の河野太郎氏と民主党の古川元久氏による公開討論会へとつながり、現在は木村氏の番組で永田町のいろいろについてしゃべる番組「国会動静―太郎とふるげんの場外乱トーク」がスタートするに至った。そして②の結果得られたデータを解析し、われわれが年金制度を考える際に使える試算モデルを作ろうという発想で発足したのが、「公的年金タスクフォース」ということになる。(この一連の議論から派生した、③少子化問題を考えるサイト「ジャンバラヤ」も忘れてはいけない。)
タスクフォースのメンバーは、木村氏と同氏のスタッフ、12人のbloggerたちに加えて、一橋大学高山憲之教授、日本総研西沢和彦主任研究員、企業年金研究所村田純一社長、経済同友会政策調査会篠塚肇マネージャー、朝日新聞辻陽明編集委員、週刊朝日松浦新記者、テレビ東京山本名美ディレクターなどからなる。タスクフォースはこれまで、厚生労働省と数回のミーティングを行って細部に関する詳細な説明を受け、データやプログラムもCD-ROMで改めて提供を受け、それを一般に公開するなど、着実に活動を行ってきた。肝心のプログラム解析についても、その構造を理解(「ミズタマのチチ」より)し、われわれ素人にもわかりやすいかたちで示すための作業が進んでいる。タスクフォースのMcDMaster氏によると、「そろそろ目に見えるモノを出していきます。」という状況になってきているそうだ。
タスクフォースのメンバーになっているbloggerたちは、(私の知る限り)決して特別な人物ではない。それぞれが仕事を持ち、時間をやりくりしながら、無報酬でこの問題に取り組んでいる。何よりいいのは、彼らがこの一連の作業を楽しんでやっているように見えることだ。もちろん作業自体は苦しいもの、難しいものもたくさんあるだろうが、重苦しい責任感や、仰々しい使命感からではない、一種軽やかな印象を受ける。
この動きが年金問題に対してどのようなインパクトを持つのか、まだよくわからない。ただ、今ここで起きていることは、もしかしたらとても大きな変化の兆しなのかもしれない。年金問題に関してだけではなく、国家と個人のあり方、一般市民の政治参加、世代間の資源分配などのような、社会にとってより大きな問題に関する変化だ。自分は関係ない、関心ないという人も、自分の身の回りで、同じように新たな「風」を起こすことはできないか、考えてみるといいと思う。自分ができることは小さくても、それが集まればけっこう大きなものになるかもしれない。
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Comments
山口さん、こんにちは。タスクフォースメンバーのくりおねです。
タスクフォースの現状について取り上げていただき、ありがとうございます。私たちもその後活動についてblogなどで紹介する機会がなかったので、「あれってどうなったの」的に思われているのではないかと危惧していたところでした。どっこい、地道にやってるんですよー。
というわけで、先日私が出席してきた厚生労働省数理課との定例ミーティングについて書いた記事をトラックバックさせていただきます。
Posted by: くりおね | September 20, 2004 09:21 AM
コメント&トラックバックありがとうございます。
以前「一時期のお祭りで終わってはならない」などとえらそうに書いた手前、私自身の関心が一時期のブームのように終わってしまわないように気をつけています。
今起きていることは、将来を大きく左右する可能性があります。それだけ重要な時期ですから、私たちも関心を持って見守って行きたいと思っています。
Posted by: 山口 浩 | September 20, 2004 10:24 AM
やまぐちひろしさん、おはようございます、
>年金問題に関してだけではなく、国家と個人のあり方、一般市民の政治参加、世代間の資源分配などのような、社会にとってより大きな問題に関する変化だ。
本当に同感です。拙文をトラックバックさせていただきました。
今朝、妻と話していて思ったのですが、いまのプロ野球の問題も実は世代間の配分の問題かも知れません。世代間競争というよりも、世代間闘争がはじまったひとつののろしであると、と。年金についてはこれは本質的には論を待たないくらい明確な世代間の配分の問題だと理解しました。
Posted by: ひでき | September 20, 2004 10:53 AM
トラックバックをして頂きまして、有難うございました。
僕らの活動を見守ってくれている方がいるという事実が、
背中を押してくれる力になります。
本当にありがたいことです。
僕のところにコメントくださった方のご意見を検討するうちに、
新しいアイデアが出てまいりました。
これについては来週中にアップいたします。
また、お読みいただけたら幸いです。
Posted by: ミズタマのチチ | September 20, 2004 09:11 PM