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September 21, 2004

熱いぞパラリンピック

9月17日からアテネでパラリンピックが始まっている。当たり前だ、今さら何をという向きもあろうが、オリンピックの際の熱狂とは打って変わったメディアの冷淡ぶりはどうだろう。テレビではNHKしか放映していないではないか。スポンサーがつかないから、という理由はわからなくもないが、こう手のひらを返したようなあからさまな対応をされると、どうにかならないものかと思う。最近NHKは旗色が悪いが、こういうところは公共放送のいいところだと素直に評価したい。この点インターネットはまだましだ。(Yahoo!のパラリンピック特集はこちら

…などとこぼしている場合ではない。けっこう熱いのだ、パラリンピックは。

テレビを見逃した方は、まずはインターネットで状況をチェックしていただきたい。記事には選手たちの障害についてふれているものも少なくない。それ自体ドラマなのだが、そういった先入観で見ていると、本質を見失う。これはスポーツの大会なのだ。初めて見る競技も多いだろうが、何しろ136カ国から3,840人が集まって世界最高を競う大会だ。車いすマラソンの男子世界記録保持者はなんと1時間20分で42kmを「走る」。ここでは道具が障害を乗り越えるためだけでなく、人間本来の能力を拡張するためにも使われている。「攻殻機動隊」のTVシリーズで、義体使用者の元パラリンピックチャンピオンが出てきたのを思い出した。そのほかにも、射撃など、障害の有無とさして関わりないものもあるし、障害者向けの工夫をこらしたものもある。純粋にスポーツとして見て面白いのだ。世界最高を競う以上、きれいごとばかりではすまない。ちゃんとドーピング検査だってある。真剣勝負の世界なのだ。

日本は136人の選手を送り込んだ。「車椅子の花嫁」として有名になった元ミス・インターナショナル準代表の鈴木ひとみさんもライフル射撃の代表として出場している。視覚障害者のスポーツであるゴールボールの代表の直井由香・直井由紀両選手は双子の姉妹だ。日本の金メダル第1号は、視覚障害者柔道の男子66キロ級、藤本聡選手だった。なんと3連覇。同60キロ級の広瀬誠選手も銀メダルを獲得した。もちろん、メダル獲得がすべてではないのはオリンピックと同じだ。すべての選手が自分なりの戦いを繰り広げている。

とはいえ、メダル獲得数は気になるところだろう。マスコミも騒いでいないことだし、ここで少しとりあげてみてもばちはあたるまい。9月21日(日本時間)時点の日本のメダル獲得状況は金×4、銀×4、銅×2、合計 10個となっている。各国のメダル獲得状況一覧はこちら。 金メダル獲得数のトップは中国で16個。金・銀・銅を合わせたメダル獲得総数によるベスト12は次のとおり。( )内の数字は、アテネオリンピックにおけるメダル獲得総数のランキング順位を示す。

1位 34 中国(2)
2位 26 オーストラリア(4)
3位 24 ドイツ(6)
4位 22 英国(10)
5位 21 スペイン(20)
6位 18 フランス(7)
7位 17 アメリカ(1)
8位 16 ウクライナ(12)
9位 11 香港(0)、チェコ(42)、ポーランド(23)
12位 10 日本(5)

アテネオリンピックのメダル獲得ランキングとはかなり異なるのがおわかりいただけるだろう。以前、アテネオリンピックのメダル獲得数と1人あたりGDPとの関係を調べたことがあったが、パラリンピックについても、最終結果が確定したらまた何らか調べて取り上げたい。

大会は28日まで続く。正直な話、権謀術数渦巻く某プロスポーツのどろどろした場外乱闘より、パラリンピックのほうがよほど面白い。メディアの皆さんも、「悪代官」やら「越後屋」やらにまとわりつくより、アテネにもう一度注目してはいかがか。

ともあれ、がんばれニッポン!

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