電流で脳を活性化(まねしないように)
適切な電流を脳に流すと、脳の活動が活性化する、という研究成果が発表された(記事はこちら)。
あくまで学術的な研究であり、実用化されたものではない。よい子の皆さんは、決してまねしないように。
アメリカのNational Institutes of Healthのグループは、San Diegoで開かれたSociety for Neuroscienceの年次大会で、電源を前頭部につなぎ電流を流すことによって言語機能が高まる、との研究成果を発表した。電流といっても2ミリアンペアのごく弱いもの(デジタルの腕時計を動かす程度)で、それを20分ほど流すのだそうだ。副作用はないとのこと。
被験者は、特定の文字から始まる単語を90秒間に可能な限り多く挙げるよう求められた。当初は大半の被験者が20語前後しか挙げられなかったが、電流を流した後は、それが20%ほど上昇したらしい。もちろん心理的な効果はコントロールしてあって、電流を流すふりだけした場合との比較を行っている。1ミリアンペアに電流を弱めると効果がない由。頭に電流を流すのはさすがにこわいらしく、実験を行ったメリーランド州BethesdaのNational Institute of Neurological Disorders and StrokeのMeenakshi Iyer氏は当初、被験者の説得に苦労したらしい。
原理はまだよくわかっていないが、電流を流すことによって、脳細胞が電気信号をより容易に発することができるようになるからという仮説が立てられている。
研究グループは、もともと磁気を使った治療法を研究していたのだが、磁気を使った場合脳細胞にダメージがあるため、その代替として電流を使うことを思いついたらしい。機器も電流のほうがコンパクトだそうだ。動物実験では1950年代に既に実績があったが、倫理やら何やらの懸念で進展しなかったということらしい。
こういう話を聞くと、人間にはかなり「機械」的な部分があるのだなと思う。こうした「機械」になぜ心などというものが宿るのだろうか。考えれば考えるほど不思議な感じがする。
The comments to this entry are closed.
Comments