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November 11, 2004

「公的年金タスクフォース」がさらに進展しているらしい

Bloggerによる公的年金試算モデルの開発をめざして発足し、「新しい市民の政治参加のかたち」や「政治のオープンソース化」の好例として注目され、最近ではマスコミにもとりあげられるようになった「公的年金タスクフォース」だが、世間的な評価だけでなく、実質的にもかなりの進展があるらしい。

かなりすごいことだと思う。

もともとこのタスクフォースは、木村剛氏が社会保険庁に対して公的年金のプログラムに関する資料の公開請求を行い、それを解析して自分たちの手で試算モデルを作ろうと「週刊!木村剛」にトラックバックしていたbloggerたちが手弁当で集まったものだ。日本総研の西沢氏などの専門家が参加して作業を進めているところまでは、以前このblogでも書いた

タスクフォースの回りには、多くの協力者たちがいる。木村氏の交渉によって、データが紙だけでなくCD-ROMで提供され、解析作業に三菱総研の協力が得られただけでなく、匿名のスポンサーが現れたおかげで200万円の活動費が用意され、さらに国会議員有志などが参加した「公的年金モデル諮問会議」なるものも発足する(こちらをご参照)など、周囲はどんどん盛り上がってきている。テレビや新聞、雑誌などのマスコミにも何度か取り上げられた。

しかしこのタスクフォースの最大のキモは、集まったbloggerたちの努力と能力だ。特に現在開発中のユーザーインターフェースなど、素人の域を完全に超えている。これまでいろいろあった年金試算モデルとは趣旨がちがうので直接比較はできないにしても、これまでのものと比べて遜色ないどころか、より容易に、制度の構造や意味を自分なりに理解することができそうな気がする(ちなみに、ユーザーインターフェースにおいて、デザインの段階から「モデルの評価をユーザーから寄せてもらう」しくみをトラックバックのかたちで組み込もうという発想は面白い。さすがbloggerというところだ。年金専門家ではとうてい思いつかないだろう)。また、表立っては見えないが、この種のプロジェクトをこうした「ゆるい」組織でうまく回しているということは、リーダー役のMcDMasterさんはじめ、各メンバーも相当な力の持ち主だと思う。

こうなってくると俄然期待してしまうのが野次馬の悲しい性分だが、彼らはあくまで手弁当でやっていることを忘れてはならない。勝手に過大な期待をかけたあげくに落胆してみせたりする輩が出てきそうな気がするのであらかじめ書いておくが、もとより筋違いだ。専門家がすべきことは専門家がすればいい。タスクフォースは、市民レベルでの議論の材料を提供することを目標とするものだと思う。

見たところ、彼らは今の状況を楽しんでやっている。悲壮感のないところは今ふうといえようか。楽しみに見守りたい。

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