« 義務教育費の国庫負担:問題はそこではない | Main | 紀宮殿下ご婚約との報に接し »

November 15, 2004

雑誌目次をみる:「月刊 寺門興隆」

普段目にすることのないさまざまな専門雑誌の目次をみる新シリーズ。

第1回は、「月刊 寺門興隆」をとりあげる。

最初にことわっておくが、この雑誌、またはその読者層を揶揄するものでは決してない。このシリーズは、雑誌がその読者層のニーズをふまえて編集されていることを利用し、目次をみることで、ふだん私たちが知らない人々に関する事情などを推し量ろうというものだ。

「月刊 寺門興隆」は前から興味をもっていた雑誌だ。なにしろ「すべての住職・寺族の新しい実用実務情報誌」である。住職の実用・実務とはどんなものなのだろう。「寺族」とは、住職の家族のことだろうか。

それにしても、なんとも力強い誌名だ。次のような雑誌であるという。
●寺院運営、住職活動、寺族の生活に欠かせぬ、さまざまな情報を的確・具体的に掲載します。
●今、寺院の中で何が起きているのか詳しく実地取材します。
●マスコミの寺院批判、宗教偏見、行政官庁の宗教無理解を追及し、寺院の論理、住職の立場を貫きます。

現在発売されている11月号の目次は、次のとおりだ。まずは大きな特集から。
・強制連行された朝鮮人の遺骨が放置されていた事実
・寺が災害に見舞われたら宗派は如何に助けてくれるか
・住職はなぜ特養施設の会計を偽り政治家に融通したか
・檀家の寺院への功績を点数制にした住職の思い切った改革
・住職の社会活動・刑務所の教誨師活動が減らされている
・暴力事件・破門と重戒をうけた住職夫妻の言い分
・宗門大学が宗教を忘れ始めた問題…島田裕巳
・防災情報・寺に最適な火災報知器の選び方
・寺院・住職に提言直言 高橋玄洋 (悟性の復権を) / 呉 智英 (職業人としての僧侶)

「檀家の功績を点数制」にする改革、というのが興味をひく。宗教界における業績主義への流れ、なのだろうか。宗教はきわめて精神的なものだが、宗教施設である寺院の経営はかなりの部分実務だ。合理的な考えをいれなければやっていけない、ということと解釈した。しかしここでいう檀家の「功績」というのがどういうものなのか、興味がある。まさか布施だけではないだろう。新しい檀家候補者を紹介する、などというのもさぞかし高い評価を得るのではないだろうか。点数制にした後も気になる。どんな差がつくのだろうか。戒名とか?墓の位置とか?供養の回数とか?

さらに小さい特集をみる。
・読経が人を引きつける訳
・中世寺院の実像
・仏法を語る者の必須条件
・そもさん玄侑宗久の説教部屋
・仏教超道徳倫理講座
・秘められた祈りの形
・仏門漢字なりたち学
・つっぱり和尚骨山日記
・寺族の言い分ほんねの記
・税金相談
・法律相談

税金・法律相談が気になるが、それについてはバックナンバーをみてみよう。前月、つまり2004年10月号のまずは法律相談から。
・某教団に入り帰ってこない18歳の娘を親が取り返す方法
・遺骨を全て改葬し管理料払わぬ元檀家の墓碑を撤去させるには

最初のほうは、住職の娘なのだろうか。だったらさぞかし世間体が気になるところだろう。この悩みは、住職でなくともありうるものだ。しかしどのように取り返すのだろうか。後のほうはかなり「物騒」な話だ。墓碑を撤去した場合、遺骨はどうなるのだろうか。

税金相談のほうはこうだ。
・住職30年で退職金五千万円は適正額か?その所得税と支給時期
・自治会に無償貸与の寺檀の共有地を寺一つに変更すると

これはすごい。住職にも退職金があったのだ。してみると、住職というのは、いってみれば企業の執行役員のようなものなのか。で、宗教法人の理事とかが取締役と。とすると、寺院のガバナンスというのもけっこうなものなのかもしれない。退職した住職はどうなるのだろうか。悠々自適で隠居するか?あまり聞いたことがない。
しかし5000万円とはなかなかな金額だと思う。

10月号では、他にこんな記事が出ているようだ。
・住職全開 青森県曹洞宗常現寺・高山元延住職のエコロジー活動:塔婆から花ゴミまで完全リサイクルを実践できた住職の志す寺とは
・仏像業界 専門業者・仏壇店・通信販売などその需給の現況:在家用の仏像は売れているのか
・住職のための仏教超道徳倫理講座(22):現世主義を反省し死者との関係を
・通販の戒名料調査
・老僧発明の特許「浄水器」

どれも味わい深い。新時代をリードするエコロジー住職やら、関連業界である仏像業界の分析やら。「通販の戒名料」というのはすごい。戒名を通販で買えるのだろうか。Googleで検索してみたら、なんと、あった!「生前戒名普及会」という。最後の浄水器は、いったいどんな発明なのか気になる。

やはり、予想通りすごい雑誌だった。さすが「実用実務情報誌」だけある。住職でない自分は買いたいと思うインセンティブを持たないが、住職の皆さんには有益な情報なのだろう。いや勉強になった。

|

« 義務教育費の国庫負担:問題はそこではない | Main | 紀宮殿下ご婚約との報に接し »

Comments

いやいや!こんな雑誌があったことも驚きなら、
山口さんの情報収集、分析にも、
脱帽(*_*)/ ̄▽ です。
うちでも、音楽のライブなど、やっておりますが、
演奏者のスケジュール見たりすると、お寺での音楽のライブを、散見いたします。
これも、いつぞやの号で
【檀家や一般市民との接点を持つには・・・】みたいな特集でもあったんでしょうかねえ・・・。

Posted by: yamashita | November 15, 2004 10:02 PM

コメントありがとうございます。
この雑誌は新聞に広告が出ていて、以前から注目していました。たいていのお寺はある種「中小企業」ですからね。けっこうご苦労もあるようです。「プロ」の努力をかいま見た感じがします。

Posted by: 山口 浩 | November 15, 2004 10:17 PM

そそられる題名のオンパレードですね。
やっぱり業界専門誌は濃いです。
雑誌ではありませんが、神道では「神社新報」という新聞があり、「神社本庁VISAカード」というものもあり、みこしから賽銭箱まで買える通販カタログもある、と、とあるマンガにありました。
どんな世界でも業界紙があり、買物が存在し、決済は現金とは限らないということなんですね。

Posted by: くりおね | November 15, 2004 11:57 PM

くりおねさん
次回のネタにしようと思ってたのにぃ~>神社新報
というのは冗談ですが、神社業界は雑誌じゃなくて新聞なんですよね。またこれが旧かな使ひで面白ゐのです。
これはシリーズものにしたいと思っているので、面白いものを見つけたら、ぜひ「こっそりと」教えてください。

Posted by: 山口 浩 | November 16, 2004 12:55 AM

さすが山口さん、「神社新報」をご存じだったんですね。しかも旧かな使ひだということまで。ということは現物もご覧になっているんですね。
ちなみに私のネタ元は成田美名子さんの「Natural」というマンガです。サブキャラに神主一家が出てくるんで、その手の小ネタが多いんです。
というわけで、よさげなものを見つけたら、次回からは「こっそりと」お知らせいたします。失礼いたしました。

Posted by: くりおね | November 16, 2004 09:24 AM

TBさせていただきました。ずっとこの雑誌のことは気になっていましたがまさかもうBLOGでくわしく取り上げている方がいらっしゃるとは。楽しく読ませていただきました。

Posted by: やっしー | May 08, 2005 12:04 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 雑誌目次をみる:「月刊 寺門興隆」:

» 月刊『寺門興隆』 [「すれすれ」なる日記]
おとといの大学書林に続いて朝刊1面下部の書籍の広告のお話寺門興隆は「すべての住職・寺族の新しい実用実務情報誌」らしいです。一般人にとっては何の役にも立ちそうにない雑誌ですが住職の皆様にとっては有益な情報源なのでしょう。五月号の広告からは・住職の特別提言・日本人は寄付するのが嫌い... [Read More]

Tracked on May 07, 2005 11:11 PM

« 義務教育費の国庫負担:問題はそこではない | Main | 紀宮殿下ご婚約との報に接し »