最初のテレビ版「ドラえもん」から著作権を考えた
テレビアニメ「ドラえもん」の主要キャラクターの声を演じていた声優が交代することになったと報じられた(ニュースはこちら)。ドラえもんの声を担当していた大山のぶ代さんもだ。一部には衝撃が走っているらしい。
「ドラえもん」というといつも思い出すのが、今も続くテレビ朝日の「ドラえもん」シリーズが始まるずっと前、半年間日本テレビ系で放映された最初のテレビ版「ドラえもん」だ。最近、この初代「ドラえもん」に関するサイト「幻のドラえもんをたずねて・・・」があることを知った。
もともと「ドラえもん」は、小学館の学習雑誌に連載されたマンガだった(Wikipediaによる解説はこちら)。連載開始は1969年。私が小学校に入ってこうした学習雑誌を読むようになったころにはすでに人気マンガだった。
初めてテレビアニメ化されたのは1973年だ。藤子ファンだった私は初回からほとんど見ていたのだが、人気マンガだったはずなのに、周囲ではあまり見ている人はいなかったと思う。案の定、半年で番組は打ち切られた。とても残念に思ったことを覚えている。その後1978年にテレビ朝日系で再度アニメ化され、今度は人気が出て、その後は皆が知っている通りだ。そのころには私は「ドラえもん」を卒業していたから、私にとっての「ドラえもん」はこの初代「ドラえもん」だ。
改めてみると、初代「ドラえもん」は、当初のマンガの雰囲気を色濃く残している。現在の「ドラえもん」しか知らない人には、やや古めかしい印象を与えるだろうが、私にとっては懐かしく、またしっくりくる。主題歌も、今のものより当時のもののほうが「ドラえもん」らしいと思ったりもする。
「ドラえもん」のような作品は、ディズニーのミッキーマウスなどと同じように、「クラシック」になったといっていいだろう。ミッキーマウスの場合、その最初期のアニメーション作品も含めて未だに商品価値を保ち、また実際に収益を稼ぎ出している。しかし「ドラえもん」の場合、マンガの著作権はともかく、アニメの権利はテレビ局に握られてしまっているだろう。そのテレビ局が「ドラえもん」の価値を意識していなければ、保存も活用もされない。日本テレビでその後これが放映されたとはついぞ聞かないが、この初代「ドラえもん」をどう扱っているのだろうか。
こうしてみると、やはり作品の権利は、原作者や制作プロダクションなど、「作り手」に近い人たちのところにおいておくのがよいと思う。こういったものの価値は、今売っていくらになる、といった計算だけでは決まらない。日本テレビを悪くいうつもりはないが、やはり彼らにとっては「たくさんあるうちの1つ」だし、まして「ドラえもん」は日テレにとっては「失敗作」でしかなかっただろう。コンテンツの価値は、それを最も愛する人々が扱ってこそ、と思う。
(ちなみに、上記のサイトの権利関係は若干気になるが、もしこれが法的に少々問題があるとしても、これ以外に目にする機会もなかったわけだし、権利者の皆さんはぜひ大目にみてもらいたい。)
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