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December 20, 2004

雑誌目次をみる:「月刊 丸」

一部に好評の「雑誌目次をみる」シリーズ。ふだんなかなか目にしない専門雑誌の目次をみてみようというものだ。今回は「月刊 丸」。

長い伝統のある雑誌だ。11月27日発売の月刊「丸」 2005年1月号で通巻705号。1年で12号とすると50年以上になる計算だ。発行部数は知らないが、旧軍人、旧軍国少年の皆さんから現代の軍事オタクや軍事マニアの皆さんまで、根強い固定ファンがいる。「丸」はやはり「日の丸」の「丸」なのだろうか。

雑誌の内容は、大きく分けて、第2次大戦関連とそれ以降の現代ものとがある。この2つのジャンルの読者層は微妙にずれているはずだが、おおまかには重なっているのかもしれない。さっそく 2005年1月号の目次をみる。あまり詳しくないが、表紙はどうもアメリカの空母のようだ。

特集●不沈艦伝説 重装甲空母
・「浮かぶ航空基地」空母の第一の任務は搭載機の運用にあるが、長大な飛行甲板が最大の弱点となっており、ここに重装甲をほどこして不沈性を与えることに列強海軍は腐心、経空脅威に対抗するタフな空母が誕生した!

「列強」という表現がやや時代がかった印象を与える。第2次大戦時の空母に関する記事だろうか。詳しくないのだが、空母にとっては「不沈性」よりも飛行甲板をいかに離着艦可能な状態に保つかのほうが重要であるような気がする。沈没しなくても、飛行甲板が破壊されて離着艦不可能になれば、航空母艦としての攻撃力・防御力はほとんどなくなってしまうからだ。そういう意味では、装甲を増して攻撃にいかに耐えるかより、いかに攻撃を受けないかを考えるべきでは、と思うのだが?

カラー&モノクロ
・カラースペシャル 異国で甦った零戦
・PSIエクササイズ 容疑船を“臨検”せよ
・北鎮2004 「機甲部隊」原野を走る
・蒼穹のページェント F-5タイガーII
・フネを見にゆく インド艦隊親善訪問
・戦跡ウォーカー エバン・エマール要塞の今
・岐阜航空祭 名物「ダイアモンド」編隊
・カメラ・レポート 『亡国のイージス』撮影日誌

こちらは現代ものが多い。「容疑船を“臨検”」は、どちらかというと軍やら自衛隊やらよりは海上保安庁関連のような気がするが、このへんはフレキシブル、ということだろうか。広い意味での「国防」だからいいのか。「エバン・エマール要塞」は、第2次大戦時に永世中立国だったベルギーがドイツ国境近辺に構築したものだ。ドイツ空挺部隊の活躍であっという間に陥落してしまったらしい。旧ドイツ軍好きにはたまらない話だろう。ちなみに、Googleで検索していたら、要塞の人気投票なるサイトを見つけた。エバン・エマール要塞は堂々第12位に入っている。ちなみに第1位は「セヴァストポリ要塞(クリミア半島)」だそうだ。世の中知らないことはたくさんあるものだ、と思う。要塞好きの方は参加されてはいかが。

グラビア
・平成16年度観閲式 行進はマーチに乗って
・カメラ・ルポ 電撃戦を語りつぐ要塞の旅
・勝田駐屯地 輝く“工兵”の伝説
・空白50周年記念 入間基地航空祭
・ナニワの記念塗装機 “トラ縞”OH-6見参

こちらはグラビアページだが、さすがに「丸」は硬派で、同じオタク系でもグラビアアイドルだのネコ耳だのとは無縁のようだ。「輝く“工兵”の伝説」とはいったい何だろう。「OH-6」はアメリカ製の小型ヘリコプターだ(卵みたいな丸っこいやつ)。トラ縞塗装のものがあるのだろうか。何のために?甲子園球場に隠しておくための迷彩とか!?

現代の焦点
・『安保・防衛懇』報告に読む“多様能的”防衛大綱

だんだん「核心」に入ってきた感がある。この問題に関する「丸」読者の見解は、新聞やテレビで一般に報道されるものとはかなりちがっているにちがいない。

緊急読物
・イラク『日本人人質殺害』テログループを追う

軍事好きの方々の、この事件に対する考えというのには少し興味がある。日本人の安全、という意味からは関心が高いのかもしれない。ただ、このタイプの人々の中には「自分の身は自分で守る」といった考えが強いようにも思われるし、いわゆる「自己責任論」に賛同する向きも少なくないかもしれない。

戦史再発掘
・真珠湾攻撃「甲標的」搭載魚雷は何処にあったのか

「甲標的」はいわゆる奇襲用の特殊潜航艇だ。真珠湾攻撃の際、真珠湾内に侵入したらしい(写真はこちらを参照)。

短期集中連載(3)
・海洋型『韓国海軍』 知られざる戦力レポート

…海軍が「海洋型」なのは当然ではないか、という気もするのだが、果たしてこれはいったい?

ワイド・イラスト 全32ページ
・1939-45世界の『中立国』空軍カバランス(2)
・イラストリー Nobさんの『飛行機グラフィティ』
・現代ミリタリーグッズ “地獄”の戦士たちの愛用品
・艦艇学入門講座 上空写真で軍艦を読む
・ワールド・ウ工ポン百科 陸に揚がった艦載高角砲
・ニューウエポン・クローズアップ イタリア海軍空母カヴール

・・・なんだかだんだん圧倒されてきた。怒涛のごとき軍事情報の嵐。これが毎月なのだ。なんとも「濃い」。

連載
・新・秘めたる戦記 終戦前後
・彼らはなぜ「人間魚雷」で出撃したか(13) 特攻「回天」群像
・サムライたちの真珠湾 第31章
・太平洋航空戦史 軍艦瑞鶴の生涯 勇者の海[24]
・連載(16)世界の『水上機母艦』発達史 海軍航空の基礎をきずいた軍艦
・歴史紀行「満鉄路線」の旅 第9回-満鉄本線・金州
・戦場における失敗の研究(8)
・連載64/タンクバトル キロヴォグラードの戦い

長編読物
・予科練出身対空機銃員が体験した熾烈な戦闘 忘れざる台湾沖航空戦

…ふぅ。
満腹感のあるラインアップだ。

ここでデザート。になるかどうかわからないが。
この雑誌を発行しているのは光人社という会社なのだが、この会社の単行本ラインアップもなかなか味わい深い。

「犬と猫のための手作り食 」
「日本海海戦100年目の真実:バルチック艦隊かくて敗れたり」
「遥かなるノモンハン」
「名作戦記17巻 遺書配達人」
「福蛙 カエル・ポストカード」
「福亀 カメ・ポストカード」
「復刻版:日本海軍進水絵はがき第4巻」
「商船戦記:世界の戦時商船23の戦い」
「八月十五日の天気図:沖縄戦海軍気象士官の手記」
「戦車隊よもやま物語:部隊創設から実戦まで」
「航空テクノロジーの戦い:『海軍空技廠』技術者とその周辺の人々の物語」
「丸11月別冊:航空自衛隊記念塗装大図鑑」
「戦争を仕掛けた国、仕掛けられた国」
「鉄砲」撃って100!」
「台湾沖航空戦 T攻撃部隊 陸海軍雷撃隊の死闘」
「特攻総決算 なぜ特攻隊だったのか」
「出でよ、神様! ゴシンタイ・ポストカード」
「ドイツ戦闘機開発者の戦いメッサーシュミットとハインケル、タンクの航跡」
「拳銃王 全47モデル射撃マニュアル」
「25歳の艦長海戦記 駆逐艦「天津風」かく戦えり」
「『雪風ハ沈マズ』強運駆逐艦 栄光の生涯」
「秘めたる空戦 三式戦「飛燕」の死闘」

軍事系以外の内容もあるのがなかなか面白い。このあたり、読者層に関連があるのだろうか。軍事ファンは犬猫好きとか、カエルとカメが好きとか。やはり注目は「ゴシンタイ・ポストカード」ではないだろうか。いったいどんなものなのだろうか。見てみたい気持ちが猛然とわきあがってくる。

内容をみると、どうもアメリカ軍に関するものが少ないようだ。一方ドイツやイタリアに関する情報は入っているわけで、その意味で第2次大戦関連のファンが多いということなのだろう。その当時はアメリカは敵だったわけだが、この読者層はアメリカに対してあまりいい意識をもっていないのかもしれない。

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Comments

 コメントありがとうございました。そうですね。XMLで書けば目次を自動的に収集できるとは。
なるほどと感心しました。

 キーワードで集めることはできるんでしょうか。はてなのアンテナみたいなものだとURLの登録になりますね。

 目次のキーワードで集められるとよいのですが。

Posted by: bizmagno1 | December 24, 2004 12:16 AM

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