Do They Know It's Christmas?
Band Aid 20 (2004), "Do They Know Its Christmas?" Universal International.
伝説のチャリティ・プロジェクト「Band Aid」が20年ぶりに復活! U2のボノを筆頭に集まったアーティストたちによって新たにレコーディングされた「Do They Know It’s Christmas?」2004年バージョンと、1984年のオリジナル・バージョンの2曲を収録。
だそうだ(以上、アマゾンの紹介文より)。
前回はエチオピア飢餓の救援資金を募るために1984年にボブ・ゲルドフが呼びかけたものだったが、今回はスーダンのダルフール州における人道的危機に対する救済基金を呼びかけるために、U2のボノらが呼びかけたものだ。別に私のアフィリエイトにご協力いただかなくてもいいが、趣旨に共鳴する方はぜひお求めいただきたい。
今回のバージョンの、音楽としての出来については批判があるらしい。目的はともあれ、プロの仕事にはちがいないわけで、質が悪ければ文句が出るのはやむを得まい。一部には「CDを買って壊そう」という運動をしている人すらいる。ただ、少なくともこれを作り、我々のもとに届けるためにたくさんの人たちが努力した。それを聞かずに壊そうなどというのはあんまりというものだろう。言っちゃなんだが、モノに対して敬意を払わない奴はきらいだ。
「Do They Know It's Christmas?」というタイトルや、その歌詞についても、傲慢だとかいろいろいう人がいる。キリスト教徒でない人について「Do They Know It's Christmas?」もないものだとか、アフリカの大地に雪など降るわけないではないかとか。私は、1984年に初めて聞いたとき、「 . . . tonight, thank god it's them instead of you」に衝撃を受けた記憶がある。
私は批判するつもりはない。20年前も今年も、演奏した人たちは、自分たちにできることでアフリカの人々のためになろうとしたのだ。南北問題に内在する矛盾とか援助を食い物にする企業などに対する批判を彼らにぶつけても意味がない。中には売名などよからぬ意図を持っていた人もいたのかもしれないが、私は基本的に、何もしないよりは偽善の方がましと考える。上記のリンク先のAmazonのページには試聴用サンプルもあるから、とりあえず聞いてみてほしい。
聞くことで、私たちと「彼ら」との間にある、絶望的なまでの「距離」を思い起こそう。ダルフール危機については、UNICEFによる情報、アムネスティによる情報のほか、「極東ブログ」のfinalvent氏がWikiを立ち上げているのでこちらも参照されたい。クリスマスイブの今夜、境遇はさまざまでも、ほとんどの日本人には帰るべき家、飢えない程度の食べ物、安心して眠れる場所がある。自らを幸せと感じない人も少なくないだろうが、銃弾、爆弾、飢餓、疫病、それにあらゆる種類の暴力などのすべてが身に迫ったものとして感じられるような境遇の人はまずいないはずだ。「彼ら」はちがう。「彼ら」の側に身を置きたいと思う者がいたら代わってやってもらいたい。
キリスト教徒でなくても、私たちが自分たちの境遇を「感謝」すべきであることは自明だ。この状況は、私たち自身の能力や努力で獲得したものではない。たまたま「こちら側」に生まれついただけなのだ。私たちにできることで、感謝をあらわそう。といっても、別にスーダンに飛んでいく必要はない。それは能力と準備と覚悟を備えたプロに任せよう。私たちにとりあえずできるのは、資金面での貢献だ。無理をする必要はないし、無理をしても始まらない。問題は大きく深刻だ。私たち1人1人がじたばたしてどうなるものでもない。議論しているうちにも状況はどんどん悪化していく。とりあえず今できることを、今できる範囲でしよう。イギリスのアーティストたちが歌でやったように。抜本的な議論は、それからでいい。
これはキリスト教徒でなくてもできるはずだ。
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