英国でもネット心中増加
イギリスでもネット心中が増加しているらしい。12月3日付のIndependent紙の記事だ。
ネット心中のことを、この記事では「cybersuicide」と表記していた。ちなみに心中は「suicide pact」だ。英国では月に1件の割合で心中事件が起きているが、そのほとんどはもともと互いをよく知っている者同士、たとえば子どものない夫婦などだ。しかし9月に130マイルも離れて住んでいた14歳と13歳の2人の女子学生がチャットルームで仲良くなった後で、一緒に睡眠薬を大量に服用し、1人は一命をとりとめたがもう1人は亡くなったという。こうしたケースは他にもあるらしい。2人は離れたくなかったという遺書を残していたそうだ。亡くなった女子学生の両親は、後で、彼女が学校でいじめを受けていたことについて書いた手紙を公開した。
英国の専門家は、インターネットが出会いの場として一般的になったこと、自殺方法を教えるウェブサイトが増えていること、などが影響しているものと考えている。さらに、最近日本で連続して起きているネット心中事件が英国にも影響を及ぼしているらしい。日本の場合はもともと心中の多かった国だが、まったく知らない者同士がネットで知り合って一緒に死ぬという点で新しい現象だ、とコメントしている。(日本でのネット心中に関する記事はこちらやこちらなど)
また、自殺が抗議の意味を帯びている場合もある。自らの死をよりドラマチックにしたいという考えから、誰か他の人といっしょに死ぬことを選ぶ(心中ならより大きく取り上げられる)可能性もある、と書いている。大きく取り上げられたくて心中するという発想は、日本ではちょっとちがう気がする。日本と比べて心中が珍しいからだろうか。
おそらく、ネット心中に向かう心理というのは、日本でも英国でも、あまり変わらないのではないかと思う。近くにいる家族や友人ではなく、どこにいるかわからない「誰か」への共感。あるいは「この世から消え去りたい」という、一般的には受け入れられない希望を共有できる相手を得たことからくる「安心感」かもしれない。
しかし、死んではいけない。たとえこの世に何の望みもなかったとしても。「いっしょに死のう」という仲間しかいなかったとしても。命は、自分だけのものではない。自分だけの都合で断つべきものではない。
人間、どうせ数十年以内に死ぬのだ。今でなくていい。もう少しだけ、生きてみよう。
The comments to this entry are closed.
Comments
そうなんですね。イギリスでも増えているのですね。
しかし、方法が薬を大量に飲むというのはちょっと一体感が少なそうですね。
練炭で二酸化炭素中毒なんていかにも日本なんでしょうか。イギリスに練炭ってないんでしょうかね。こっちの方がどちらかというと一体感がありますよね。
確かに日本での心中は知らしめるという要素は少なそうですね。抗議の自殺はありそうですが。
なんてちょっと危ないことを書いてしまいました。
Posted by: Hiroette | December 09, 2004 08:08 PM
「心中における一体感」が方法によってどう異なるのか、ちょっと想像がつきませんね。練炭はイギリスではあまり聞かないように思います。やはり排ガスでしょうか。
Posted by: 山口 浩 | December 09, 2004 09:36 PM