The O. Henry Effect: The Impact of Relational Norms on Negotiation Outcomes
Curhan, Jared R., Margaret A. Neale, Lee D. Ross, and Jesse Rosencranz-Engelmann (2004). "The O. Henry Effect: The Impact of Relational Norms on Negotiation Outcomes. "MIT Sloan Working Paper No. 4509-04; AoM Conflict Management Division 2002 Mtgs. No. 14092.
「The O. Henry Effect」という表現が面白い。組織の中での関係が密接になると、価値最大化を指向した行動がとりにくくなる、という仮説に関する3つの実験結果の分析であるという。つまり、「賢者の贈り物」(The Gift of the Magi)だ。著者らはこう表現する。「 . . . main characters (中略) engage in a poignantly inefficient exchange of Christmas presents. 」 「Inefficient」と言い切るところがある意味潔い。3つの実験結果はいずれも仮説を支持したが、そのうち2つの実験では、O・ヘンリーの物語と同様、価値最大化を犠牲にしたにもかかわらず、当事者はより高い満足を得たという結果が出ている。この傾向にはある程度の性差がみられ、また「馴れ合いによる利害調整の意義」についても分析されている。
要するに、仲良し組織には馴れ合いが生じやすいという、きわめて当たり前のことを、きちんと検証したわけだ。結果自体はあまり面白くないが、これはこれで意義がある。性差についてはフェミニストの皆さんから非難されそうなのであまり突っ込まないが、性によって「情に動かされやすい傾向があるかどうか」が違うということ自体は、少なくとも日常生活レベルでは納得感がある。
O・ヘンリー効果の国際比較は面白そうだ。日本はきっとアメリカよりはっきりと出るのではないだろうか。著者らが指摘した傾向は、よく「日本的」と形容されるものと酷似している。それとも最近は変わってきているだろうか。世代別に変化をみてみるのもよいかもしれない。
さらにいうと、同一国内でも、業界間・企業間で比較したらもっと面白そうだ。公務員の世界はどうだろう。土木・建設業界は、農林水産業は、金融業界は。成功した会社は、倒産した会社は。うまく指数化できたらいいと思う。「O・ヘンリー指数」みたいな感じで。指数が高すぎる組織は改善命令を出して外部人材登用を義務づけるとか。コンサルティング業界の皆さん、飯の種になるかも。
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