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January 06, 2005

スマトラ沖地震と津波

2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震とそれに起因する津波による犠牲者は、1月5日時点のニュースでは15万人超を確認、と報道されている。同じく5日時点で、日本人の犠牲者も確認されただけで23人だ。情報が充分に入っていないこともあるため、安否がわからない人もまだかなりいる。

昨日パンダを保護する話を書いた手前、やはり人間の差し迫った危機を取り上げないわけにはいかない。スマトラ沖地震については、極東ブログに注目すべき記事が出ている(たとえばこれとかこれとか)。関心のある向きは必読。

「距離」はむごい。犠牲者15万人超はまちがいなく超特大級の大惨事だ。あえて比較するが、阪神大震災の犠牲者数は6,300人強らしいから、その約24倍だ。今回の日本人の犠牲者数だけをみても、新潟県中越地震の犠牲者である40人に匹敵する規模といっていい。しかしあきらかに、われわれの関心度は阪神や中越のケースよりも低い。

やむをえないことだと思う。われわれは常に憂いを帯びたしかめっ面をしているわけにはいかない。ちょっとした幸福に狂喜乱舞し、身近な理不尽なことに激怒し、くだらない冗談に笑いころげる。世界のできごとより、身の回りの生活に最大の関心を寄せるのが当たり前だ。同じアジアとはいえ、地理的ないし心理的な「距離」は大きい。外国で起きたことに対してはどうしても関心が低くなってしまいがちだ。

それでも、飛行機でわずか数時間の距離(と言い切ってしまおう)にある「楽園だった場所」で起きた大災害のことを考える時間があってもいいと思う。特に気になるのは子どもたちだ。被害者のうち、子どもが50万人を占めるらしい。この機に乗じて人身売買目的で子どもを連れ去る輩もいるという。今の人身売買は、労働力として、あるいは性的搾取のためにというものもあるが、臓器密売のためにも行われる。子どもたちは文字通り「切り売り」されるのだ。

世界のさまざまな機関が援助活動を開始した。日本では、今、救援活動にあたる自衛隊の先遣隊が派遣されている。日本は5億ドル(約510億円)の緊急援助を決めたほか、パリクラブの決定に基づき、800億円の債権につき返済猶予を行う予定だ(今後債務削減の話に進むらしい)。民間でも、多くのNGOが救援活動を展開している。

一般人のわれわれにできることはもとより限られている。当面最も必要なのは、専門家が活動するための資金だと思う。これなら誰にでもできる。ご趣旨に賛同される方は、できる範囲で参加していただきたい。一番手軽なのは、ネット経由でできるものだろう。たとえばユニセフ国境なき医師団のサイトには、インターネット募金のコーナーもある。クレジットカードを使ってネットショッピングを行うのと同じようなやり方で、募金ができるのだ。また「Yahoo!ボランティア」では、壁紙の購入によって募金ができるしくみになっている。

ネットが不安だという方向けは、たとえばイオン㈱の全国の店舗(ジャスコ、マックスバリュ、メガマート)でも募金を受け付けている。小さな子どもがいるご家庭では、㈱ベネッセコーポレーションがやっている、ユニセフ「しまじろう募金」はどうだろう。「0990」で始まるいわゆるダイヤルQ2で、電話して1回しまじろうの声を聞けば、100円が寄付される。

わずかばかりの寄付など偽善だと考える向きもあるかもしれないが、私はそれでもいいと思う。何もしないよりはるかにましだ。できる範囲の寄付をして、少しだけでもいい気分になる。暴論めいているが、おいしいものを食べることも、ちょっとした人助けをすることも、いい気分を消費するという意味では同じではないか。誰もが慈善活動に身を投ずるわけにはいかないのだ。一般人のわれわれは、眉間にしわ寄せるよりも、不謹慎だとは思うが楽しむぐらいのつもりでいいと思う。

テレビドラマ「冬のソナタ」主演によって日本でも人気の高い俳優のペ・ヨンジュン氏は、スマトラ沖地震被災者救援のために3億ウォン(約3,000万円)を寄付したそうだ。確かこの人は、新潟県中越地震のときも同じ金額を寄付していたと思う。人気商売だからという要素もあるかもしれないが、とりあえずありがたい話ではないか。ファンの皆さんは、寄付すれば「ヨン様と一緒」、の気分になれるかもしれない。こんなところからスタートするのも、悪くない。

※2004年1月5日追記(09:20)
今朝の新聞を見ていたら、いくつか上記を修正すべき内容、補強する内容があった。まず、国境なき医師団は、必要な活動資金が集まったとして、この地震での救援活動向けの募金受入を停止した由。地震発生後募金が殺到したらしい。ユニセフはまだ募金を行っているし、この他にも資金を必要としている団体はあろう。「ありがとう、他に回してくれ」というところか。それから、ペ・ヨンジュン氏の寄付に関連して、日本女性からの寄付が急増しているとのこと。いずれもありがたいことではある。

※追記2
募金受付先は他にもいろいろあるらしい。「くりおね あくえりあむ」さんのところや「お金について考えたこと」さんのところにリストされている。しかしこうもたくさんあると、どこに寄付すればいいのか迷ってしまう人もいるかも。

※追記3
1月26日、スリランカで、少数派タミル人武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」が、少年兵などに徴用するため、津波で被災した子どもを誘拐したケースを「40件確認した」と発表した。子供は「兵器」にもなるというわけだ。もっとおぞましい想像をすると、自爆テロ要員などにもされてしまうかもしれない。人間は、考えつく限りの悪行をするものだ、と思う。

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Comments

むごいな・・・

Posted by: レン | January 20, 2005 10:30 AM

むごいですね…。

Posted by: 山口 浩 | January 23, 2005 09:30 AM

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