「最も妙な注意書き」コンテスト
いつも笑かしてもらっている「アメリカン・バカ・コメディ(ABC)振興会」に、アメリカの団体が実施した「最も妙な注意書きコンテスト」の結果、なるニュースが出ていた。
私は午前2時に自宅で爆笑した。職場で読むのはやめたほうがいい。ただし、ひとしきり笑った後にはいろいろと考え込んでしまったりもする。
この団体はMichigan Lawsuit Abuse Watch(略してM-LAW、だそうだ)という、訴訟の濫用を監視する団体だ。「最も妙な注意書きコンテスト」(WACKY WARNING LABEL CONTEST)は今年で8回目になる。おわかりだと思うが、アメリカでは製造物責任の追及が厳しいので、注意書きは日本よりはるかに念を入れている。で、中にはちょっと行き過ぎたというか、はきちがえたというか、面白いものがある。そういうものを見つけ出し、応募してもらうことによって、「こんな注意書きをしなければならないのは訴訟が濫用されるからだ」と訴えるのが目的というわけだ。
今年大賞に輝いたのは「トイレ用ブラシ」の注意書きだ。曰く、
「人間の身体を洗うために使わないでください」
だそうだ。応募した男性には500ドル(約5万円)の賞金が贈られた。
以下、第5位まで。
2位 子供向けキックボード
「乗ると動きます」
3位 デジタル体温計
「肛門で使用した後に、口内で検温しないでください。」
第4位 電動ハンドミキサー
「刃が動作している最中に、刃についた食品を取り除かないでください」
第5位 30センチ×10センチ大の梱包用エアバッグ
「子どものおもちゃ、枕、救命道具として使用しないでください」
今年の注意書きコンテストで一番気に入ったのは、第2位のやつだ。商品の機能そのものが注意書きになっているのがなんともおかしい。以前のものにも爆笑ものがある。過去のコンテストから選りすぐりのものをご紹介。
◎ベビーカー 「折りたたむ前に赤ちゃんを取り除いてください」
◎針のついた真鍮製のルアー 「飲み込むと危険」
◎家庭用アイロン 「着ている服の上からかけないでください」
◎ヘアドライヤー 「睡眠中に使わないでください」
◎木工用電動ドリル 「歯科医療には使えません」
◎パイプ洗浄剤 「この注意書きが理解できない場合または読めない場合、この製品を使わないでください」
◎煙感知器 「緊急時はサイレント機能を使わないでください。火を消すことはできません」
◎マッサージチェア 「裸で使用しないでください・・・動作中の背もたれ部分に体の一部を押し込まないでください」
◎自動車ダッシュボード設置用日よけ 「日よけをしたまま運転しないでください」
◎暖炉用のライター 「火のそばで使用しないでください」
◎手持ちマッサージ器 「睡眠中または意識のないときには使用しないでください」
◎CD整理棚 「はしごとして使わないでください」
◎レーザープリンタ用トナーカートリッジ 「食べられません」
◎13インチの手押し車 「高速道路は通れません」
◎護身用コショウスプレー 「目に炎症を起こすことがあります」
◎自転車用すね当て 「カバーしていない部分は保護されません」
◎除雪車 「屋根の上では使えません」
◎食器洗い機 「子供が中で遊ばないようにしてください」
◎暖炉「火に注意」
◎バースデーケーキ用キャンドル 「耳栓にしたり、体のその他の部分の中に入れたりしないでください」
ちなみにこの団体は、このほか「ばかげた訴訟」の事例も収集していて、サイトには「売れない商品をわざと燃やして火災保険金を受け取ろうとしたが延焼で隣の店まで被害を受けたため隣の店の損害は事故であるとしてその分まで保険金を受け取ろうと保険会社を訴えたケース」だとか、「コーヒーが熱すぎて服にこぼしたためコーヒーメーカーとマグカップの製造会社ととともにコーヒーメーカーを設置した高速道路の休憩所を訴えたケース」だとか、いろいろ「面白い」事例が載っている。
変な訴訟については、これまで「いったいこの国は」と思っていたのだが、さすがにアメリカ国内にも同じようなことを考える人はいたわけだ。この団体もがんばっているのだろうが、最近もハンバーガーを食べ過ぎて太ったからといってマクドナルドを訴えたケースがあったし、まだ道半ば、といったところか。ただし、個々の訴訟の中には、詳しく事情をみると、必ずしもばかげているとはいえないものも含まれているらしい。不確かな情報であれこれいうのは、あまり適切ではないとも思う。
注意書きについては、ご苦労様というしかない。これが必要なら、他の商品でももっといろいろ必要だろう。ちょっと考えてみた。「こんな注意書きがあったら笑える」シリーズ。
◎自動車 「ガソリンが切れると止まります」
◎殺虫剤スプレー 「髪のセットには使えません」
◎包丁 「柄の方を持ってください」
◎百円ライター 「火にさわるとやけどします」
◎コーヒースプーン 「耳かきには使えません」
他にもいろいろ考えられそうだが、このへんでやめておく。何か思いついた方は教えていただけるとありがたい。
M-LAWサイトで紹介されていた関連書籍をいくつか挙げておく。
Catherine Crier著「The Case Against Lawyers」
Philip K. Howard著「The Collapse of the Common Good」
Walter K. Olson著「The Rule of Lawyers」
Laura B. Benko and Attila Benko著「Buy This Book...Or We’ll Sue You!」
Philip K. Howard, Warner Books (著)「The Death of Common Sense」
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Comments
大学教授「このゼミは就職に関係ありません」
Posted by: 読み人知ってる? | January 12, 2005 01:54 AM
コメントありがとうございます。
私がその昔卒業した大学のゼミも、就職にはまったく関係ありませんでした。私はそれが当然と思っていたのですが、ゼミって一般的には就職に関係するものなんですか?
Posted by: 山口 浩 | January 12, 2005 02:47 AM
おいおい、山口さん(すみません、はじめまして)、何を言っちゃってるんですか!!
「このゼミは……」なんていう注意書きを大学教授がしたら、オモシロいでしょうが。大賞には選ばれないかもですが、入賞くらいはしちゃいそうです。
Posted by: H | January 18, 2006 12:07 PM
Hさん、コメントありがとうございます。
私なら、大学教授はこういう注意書きをするのがいいかと。
この講義は担当教員の個人的意見に基づいたものであり、当該教員が所属する大学およびその他の組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本講義は情報の提供を目的としたものであり、本講義の内容をもとにして投資その他の活動を行い、その結果損失をこうむったとしても、担当教員および大学は責任を負いません。本講義の内容は、予告なく変更ないし撤回することがあります。
しゃれにならないですかね?
Posted by: 山口 浩 | January 18, 2006 12:25 PM
……撤回するのかぁ、、、。
「データ捏造の片棒をかついでもらう場合があります」ってのも付け加えておきますか。
Posted by: H | January 19, 2006 02:55 AM
Hさん
捏造はまずいですね。笑えません。
あたりさわりのない系では、「教室でいびきをかかないこと」なんていうあたりですかね。
Posted by: 山口 浩 | January 19, 2006 09:27 AM