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February 10, 2005

食品CM禁止の時代が来る!?

Financial Times2005年2月8日付の記事「Junk food giants working up a sweat about obesity」から。最近アメリカで放映されているマクドナルドのCMでは、同社のキャラクターであるドナルド(正式にはRonald McDonaldというらしい)がサッカーやらダンスやらの運動をしているらしい。

いうまでもなく、肥満問題への対応だ。

事実、米国のマクドナルドのサイトのトップページには、犬を散歩させるドナルドの写真が出ている。肥満防止のために運動をしましょう、というわけだが、それだけではなく、どうも同社のCMにはハンバーガーやフライドポテトなどのいわゆるジャンクフードが登場しなくなっているという。2月初旬にマイアミで開かれた業界のカンファレンスでは、ネスレ、クラフト、コカコーラといった企業が、健康によくないとされる食品のCMを止めるよう求める動きがあるとの報告があったらしい。実際EUでは、企業側が真剣に対応しない限り、立法措置まで検討されるかもしれない、と報じられている。ジャンクフードは、いよいよタバコやアルコールと同じような扱いになる可能性が出てきたわけだ。

企業側も危機意識をもっていて、クラフトは既に先月、主力製品であるオレオなどのCMをやめ、シリアルなどのCMに切り替えたとのこと。ただ、業界全体としては、「子どもは『減』なんとかの食品を好まない」として対応を渋る動きがある。甘い、油もたっぷり、といった食品をたらふく食べたい子どもたちに健康的な食品を食べさせるのは難しいというわけだ。で、代わりにスポーツを、となる。

ここまでが記事からの内容。

よく考えると、企業が提供している人気商品がなんらかの悪い側面を持っている、ということはごくふつうにあると思う。それらのCMがすべて禁止される動きになっていったらどうなるだろう。ジャンクフードはいうに及ばないが、車関係なども運動不足との関係ではいかがなものかという気もする。また、環境問題との関係で考えると、食べ物の場合はフカヒレやホンマグロやらは希少種保護の面であまり好ましくないということになるだろう。車はもっとやばくて、ポルシェなんかは一切CMを打てなくなるだろうし、メルセデスベンツやBMWの大型高級車も大半はまずだめだ。

そこまで極端にいかなくとも、社会的関心が高まっていけば、健康に悪いというイメージを払拭するために、CMのあり方も変わってくるかもしれない。食品CMの場合、スポーツのイメージと結び付けるとかしないと苦しくなるのではないか。チョコレートのCMは、マラソンを走り終えたランナーが出てきて、「ひと走りしたあとのチョコレートは最高!」とか。

車の場合、CMだけでは健康に悪いというイメージを変えるのは難しいだろうから、製品自体に工夫をこらしたものが出てくるかもしれない。自転車を簡単に収納できるしくみなんかはすぐに考えられる。いっそ、シートに電気刺激で筋肉を強制的に動かすしくみがついていて、乗るだけで運動できる車なんかもあったらおもしろい。

肥満については前にも書いた記憶があるが、アメリカの場合、問題は何を食べるかよりどれだけ食べるかだ。シリアルだろうとサラダだろうと、ああ量が多かったら、何を食べても太るはずだ。食べ過ぎるのをやめさせないと、問題は解決しないと思う。さてどうするかは難しいところだが、やはり肥満であることに対して不利益を与えるしかないのではないか。どうも最近は、肥満者への差別を問題視する傾向があるようだが、法の下の平等といった要素は別にして、肥満の社会的害悪である経済的なコストについては、きちんと負担させるのがむしろ公平だと思う。あの国で太らずにいられる人々は、一部の例外を除いては、それなりの努力をし、コストを負担しているはずだ。あの社会は、そうした人々の努力やコスト負担をベースにして成り立っている。逆にいえば肥満者は、コストを社会全体に押し付けているフリーライダーといってよいのではないか。税金その他の方法で、それ相応のコスト負担をさせるべきであるような気がする。

ジャンクフードの広告自粛の動きについていえば、正直いって、肥満抑止の効果はあまりないと思う。広告ができなくても、タバコや酒も売れている。ジャンクフードも同じだろう。ならば、社会的に望ましくない食品に対しては、税をかけるなどの方策をとるほうが効果があるのではないだろうか。税率が複雑になるという問題はあるのだが。

運動を奨励する話も同じだ。理屈はもちろんその通りだが、それだけで人を運動させるのは難しいだろう。アメリカのマクドナルドのサイトをみると、チーズバーガー1個で310kcalと出ている。このくらいの量は、おやつに食べてしまう人が多いはずだ。アメリカ人の場合はわからないが、これは日本人の子どもの場合、1日に必要なカロリー量の1/6~1/7にあたるらしい。さて、このカロリーを消費するために必要な運動はどのくらいか。Googleで検索したら「ダイエットの豆知識」というページが見つかったので、その記載内容をもとに計算すると、こうなる。

・エアロビクス 74分
・筋肉トレーニング 43分
・ゴルフ 91分
・サイクリング 84分
・水泳(クロール) 21分
・テニス 53分
・サウナ 100分
・ゆっくり歩く  155分
・せっせと歩く  78分
・階段の上り下り   62分

チーズバーガー1個でここまでする人はいないのではないか。これだけ運動するより、食べるのを我慢するほうがよほど楽だ。運動しないとペナルティがあるというなら話は別だろうが。

他国のことに口をはさんでもしかたがないのだが、何しろ「アメリカ最大の敵」と言う人さえいる肥満については、今後の動向が気になるところではある。日本も多少は似た状況があるわけだし。

※追記
念のため。この記事は、肥満者を差別したり貶めたりする意図はまったくない。肥満にはさまざまな原因があり、本人の生活習慣上の不注意などに起因していない場合もある。また、人がおいしいものをたらふく食べる権利を否定するものでもない。ここでいいたいのは、肥満者を社会に多数抱えることにはコストがかかっていて、それは社会全体として負担すべき場合もあるだろうが、本人が負担すべき場合も少なくないのではないか、ということだ。それはたとえていえば、「山に登る」というようなものだ。趣味が登山という人がいるが、人は基本的に山に登る権利を持っている。しかしそのためのコストは自分が負担すべきであり、安全のための準備も基本的には本人の責任だ。山で遭難した場合、その救援費用は、社会全体で負担すべき場合もあるだろうが、本人が負担すべき場合もあるはずだ。また、非常に危険な山に登る場合には一定の制限が課されることもあるし、登山自体を禁じられることもありうる。肥満にもそれによく似ている場合があると思う。

もし拙い表現等で気分を害された方がいたらお詫び申し上げるが、真意はそういうことなのでご了解いただきたい。

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