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February 13, 2005

エンドロールをみる:「High Noon」

「エンドロールをみる」シリーズ。今回は1952年の「High Noon」。

いわずと知れた西部劇の傑作「真昼の決闘」だ。

西部劇にも「まじめ系」と「娯楽系」があるが、これは前者。ほぼリアルタイムに進行するストーリー展開がもたらす緊迫感が画面に眼を引きつける。「真昼の決闘」という題名は、今からすればちょっとストレートすぎる感もあるが、わかりやすくていいタイトルだと思う。少なくとも「Sleepless in Seatle」を「めぐり逢えたら」とする感性よりはいい(いや、作品をどうこういうのではない。原題の雰囲気が伝わってこないのは残念、ということだ)。

ごたくはいいかげんにして、エンドロール。データはIMDBから。IMDBは先日ドリーさんから教えてもらったのだが、たいへん助かっている。個人名が気になる方はそちらをどうぞ。

Director 1
Story 1
Screenplay 1

Cast 15
少ない。当然、これだけのはずがない。IMDBには、クレジットされていないキャストも記載されている。

Cast (uncredited) 25
この時代は、まだクレジットに出されない人たちが大勢いたということだ。キャストは全部で40人。

Producer (uncredited) 1
Associate Producer (uncredited) 1
プロデューサーもクレジットされていない。まだハリウッドが現在のようなプロデューサー・システムになっていなかった時代の作品だ。前面には出ないものだったのだろう。ちなみにAssociate Producerは、実は脚本と同じCarl Foremanだ。

Music 1
Cinematography 1
Film Editing 1
Production Design 1
Art Direction 1
Set Decoration 1
Makeup Department 2 (hair stylist, makeup artist)
Production Management 2 (production supervisor, unit manager)
Second Unit Director or Assistant Director 1
Sound Department 2 (music editor, sound engineer)
Stunts (uncredited) 2

Assistant DirectorがSecond Unit Directorを兼ねていたわけだ。スタントの人たちはクレジットされていない。ここまででスタッフは17人。

Script clerk 1
Editorial supervisor 1
Wardrobe: men 1
Wardrobe: women 1
Singer 1(「Do Not Forsake Me Oh My Darlin'」 )
Head grip 1
Double 1
Musical director 1
Lyricist 1(「Do Not Forsake Me, Oh My Darlin'」)
Gaffer (uncredited) 1

「Double」はDeputy Sheriffを演じたLloyd Bridges の代役のことだ。

ここまででスタッフ27人。キャストと合わせて67人。やはり現在のものと比べて圧倒的に短い。これで「全部」ではないだろう。現在の作品なら当然クレジットされるようなスタッフが、ここでは出されていないはずだ。この差は、作り手側の権利意識のような要素もあるのだろうが、つきつめれば映画というものの社会的地位の向上なのではないだろうか。たとえば私たちのほとんどは、テーマパークに行ってコースターのような乗り物に乗るとき、それを誰が考え出したか、誰が設置工事をしたかなど、気にしないだろう。映画はちがう。同じように時間と金を使う娯楽であるにもかかわらず、誰がどんなふうにして作ったかに興味を持つのだ。それはやはり、映画というものを作り上げるために発揮されたクリエイティビティに対する敬意、のようなものなのではないか、と思う。

ともあれ、こういう昔の名作映画のDVDが500円で買えるというのは、考えることはいろいろないではないが、ともあれありがたいことだと思う。

※追記
洋画の原タイトルと邦題との落差については、やはりこちらを例として挙げるべきであった。
原題:「An Officer and A Gentleman
邦題:「愛と青春の旅立ち
原題とのずれ具合といい、邦題の恥ずかしさ(声に出して読めない!)といい、他の作品を圧倒する落差だ。1980年代の作品だが、当時から充分に恥ずかしかった記憶がある。まあ、内容も見ていてむずむずする恥ずかしさがあるわけで、ある意味邦題のほうがよくできたタイトル、なのかもしれない。

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