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February 06, 2005

アメリカという国は

アメリカという国は、などと大きく出ると、どんな立派なことを書くのか、と思われるかもしれない(思わないか)が、たいしたものではない。個人的なごく限られた経験をもとにふと思いついた感想で、別に目新しいことでもないのだが。

サービス業の企業が提供するサービスの水準というものに関して、アメリカという国は、金がモノをいう度合いが日本とずいぶんちがっている。金を出せる人には、徹底的にハイレベルなサービスが用意されているが、そこまででない普通の人が得られるサービスの水準は、日本などと比べて格段に低い。典型的な例の1つがタクシーだと思う。アメリカのタクシーの汚さ、運転の荒さ、運転手の態度などは、ふつうの日本人の感覚からすれば「サービス」の名に値しないといっていいものが少なくない。ただ、相応のコストを負担できれば、例の長い車体のやつも含めて、高級リムジンによるハイレベルなサービスが得られる。一方、日本のタクシーは、いわゆるハイヤーなどでも、アメリカのリムジンほどのものは期待できないだろう。その代わり、普通のタクシーに乗っても、比較的きれいで、運転手の態度もていねいだ。料金がさして変わるわけでもないのに、なぜこうなるのか。

全部そうだというつもりはもとよりないのだが、別にタクシーに限らず、サービス業に関して、同じような感想を抱くことは多い。日本を持ち上げるわけではなく、何がちがうのだろう、とよく考える。で、毎回思うのは、ごくふつうの労働者のモラール(moraleのほう)の差だ。細かく調べても考えてもいないのだが、どうみても私たちが旅行などでふれるアメリカのサービス業の一般労働者のモラールは低い。信じられないほど低い。きちんとやろうという意識がないのか、それとも「きちんと」の水準がちがうのか。

一方、日本の場合、サービスというものに対する金銭的評価はあまり高くない場合が多い。かたちのないものに金は出したくない、という態度だ。こうなっていると、ハイレベルのサービスで高い料金をとる、というアプローチが有効に働く余地は少なくなる。別に長い車体のリムジンでなくともよい、ということだ。だから、そこそこの値段でそれなりにいいサービスが安定して得られるというよさがあるが、高いコストを負担してもハイレベルのサービスを受けたいというニーズは満たされにくい。

一般論としては、どちらがいいというものでもないだろう。それぞれよさがあり欠点がある。個人的には、主に経済的な理由から、日本型のほうが高い満足度が得られるとは思う。まあ、常識的にいえば、いいとこ取りができないもんかね、というところなのだろうが。少なくとも、2つの国の間で、労働者の「質」というものにはかなりのちがいがある。このことは、企業経営の手法においても、けっこう大きな影響を及ぼすのではないかと思う。

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