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February 25, 2005

少女マンガ、アメリカへ

2月8日、集英社小学館が出資している出版社ビズは、2005年6月から北米で英語版少女マンガ雑誌「SHOJO BEAT」を創刊すると発表した(ニュースリリースはこちら)。ビズは2005年4月1日付で小学館の米国子会社SPE(ShoPro Entertainment, Inc.)と合併することとなっており、今回の雑誌創刊が新会社の最初の事業となる。

合併後の会社の資本構成は、集英社40%、小学館40%、小学館プロダクションが20%とのこと。ビズは2002年に英語版少年マンガ雑誌として「SHONEN JUMP」を創刊した。現在発行部数は30万部だそうだ。「らんま1/2」「ドラゴンボール」「遊☆戯☆王」の単行本出版や、「ポケットモンスター」「犬夜叉」「花より男子」などのアニメのホームビデオを制作・販売している。一方SPEは、「とっとこハム太郎」や「ロックマンエグゼ」など小学館プロダクションのコンテンツの版権を管理・運用している。今後新会社は、北米で出版やアニメの制作・配給、ビデオの制作・販売、ライセンシングなど、さまざまなコンテンツビジネスを展開していくということらしい。

SHOJO BEAT」はB5版約250~300ページで、月刊誌となる。定価5.99ドルというのは、「SHONEN JUMP」が約300ページで4.95ドルであるのと比べ、やや高い。いい紙を使うのだろうか。年齢層を考慮したものではないかと思う。掲載されるのは、小学館、集英社、白泉社の3社の作品だ。創刊号の掲載作品は次のとおり。

  作者         作品タイトル         出版社
矢沢  あい 「NANA-ナナ-」(NANA)       集英社
高梨 みつば 「紅色HERO」(Crimson Hero)   集英社
渡瀬  悠宇 「絶対彼氏。」(Absolute Boyfriend)小学館
渡辺 多恵子 「風 光る」(Kaze Hikaru)      小学館
由貴 香織里 「ゴッド チャイルド」(Godchild)   白泉社
羅川 真里茂 「赤ちゃんと僕」(Baby and Me)   白泉社

思いっきり直訳のタイトルだが、「絶対彼氏。」の「。」が「.」にならなかったあたりはちょっと笑える。ちなみにだが、「モーニング娘。」はどうなっているか調べてみたら、日本語サイトの英文表記では「MORNING MUSUME。」と無理やり「。」を付けているが、海外のサイト(たとえばこれ)ではやはり「Morning Musume」または「MoMusu」となっていて、「.」はついていない。だから何だといわれればそれまでだが。

それはさておき。

日本発コンテンツが世界から注目されるようになって久しいが、その少なからぬものがマンガなりマンガ発のものであったりするわけで、いわば「王道」ということになる。「SHONEN JUMP」の30万部は、日本での発行部数の1/10程度なわけでもちろん少ないのだが、北米であること、すでに日本で発売されたコンテンツの二次利用(翻訳の問題はあるが)という点でみれば、悪い数字ではないと思う。もし「SHOJO BEAT」も30万部売れたとしたら、単純計算で(定期購読を捨象して)年間売上21百万ドル、約22億円といったところだ。

しかしこの出版の意義はもちろんそれだけではない。むしろ重要なのは、この雑誌によって北米の少女たちが日本の少女マンガにより親しむようになり、やがて米国でも放映されることになるだろう(と想像する)日本の少女アニメを見て、やがてそれがその次の世代に受け継がれ、といった長期的な影響力だ。「SHONEN JUMP」は、北米の少年たちに、マンガというものは右綴じで本の左側から開くものだ、という日本の常識を覚え込ませることに成功した。これにより、日本のマンガを北米向けに仕立て直す作業は、これまでよりはるかに楽になった。これまで日本マンガの英語版はたいてい無理やり左綴じにするため絵が反転されており、登場人物の大半が左利きになっていたのだ。こういう、なんでもないようなことの積み重ねが、実は日本のコンテンツビジネスの今後の発展にはけっこう重要なのではないかと思う。登場人物の日本人的な顔立ち、日本的な表現、日本の社会風俗。こうしたものを自然に受け入れる土壌ができていくことで、マンガ以外のコンテンツの市場価値も長期的には高まっていくのではないか。

SHOJO BEAT」は、創刊に先立ち、4月から現地にて創刊0号が無料配布される予定とのこと。誰かもらったら見せてくれぇ。

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Comments

こんにちは。
いつもブログ楽しみ読ませていただいております。

>「SHOJO BEAT」は、創刊に先立ち、4月から現地に
>て創刊0号が無料配布される予定とのこと。誰かもら>ったら見せてくれぇ。

LA在住なので、もし手に入れることが出来れば、御見せできますが、、どこでくばられるんしょうか。。

日本の漫画を北米で発売する際、「右綴じ左開き」と「コマからはみ出る大きい文字」を英語化するかについて色々悩んだとTokyoPop社のCEOが公演会で言っていました。最終的に日本の漫画のよさをそのままアメリカ人にも見せたいのと、大きな文字は漫画の中のアートとして、手を加えず発行することにしたそうです。

これからドンドン日本コンテンツが売れると良いですね。

Posted by: ドリー | March 02, 2005 04:57 PM

ドリーさん
コメントありがとうございます。LA在住ですか。当サイトもいろいろなところからアクセスいただいていますが、ありがたい限りです。配布場所、どこなんでしょう?もしわかったらお知らせします。
ともあれ、今後ともよろしくお願いします。

Posted by: 山口 浩 | March 02, 2005 09:40 PM

こんにちは。

先日、LAの本屋で「SHOJO BEAT」の創刊0号を手に入れました。
Contentsは
Absolute Boyfriend
Nana(2作)
Crimson Hero
Baby & Me
Godchild
Kaze Hikaru
Editor's latter
広告はCopicペンやJ-PopのCD,DVD
小学生の低中学年向けの化粧品が載っています。
60ページ

その他にコミックの読み方を解説したページと米国で売られてる雑誌には必ずある事ですが、定期購読申し込みの葉書きが3枚(58%オフ、1年間12冊で$29。)とアンケート葉書きが入っています。

Posted by: ドリー | April 18, 2005 07:16 AM

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Tracked on April 23, 2005 11:05 PM

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