雑誌目次をみる:「季刊 レジャーホテル」
一部に好評の「雑誌目次をみる」シリーズ。今回は「季刊 レジャーホテル」。
いわずもがなだが、「レジャーホテル」とは、いわゆるそういうホテルだ。日本独自のように思っていたのだが、似た機能のものが香港あたりにはある、と聞いた。今回ちょっと調べてみたら、中国でも寮住まいの大学生の利用で最近大繁盛らしいし、韓国にもあるとか。やはり住宅事情、というか、住宅に関する諸事情によるようだ。欧米的にはめずらしいものらしい。10年以上前になるが「Pink Samurai」という本が出ていて、システムとか使われ方などを詳しく解説していたのを興味深く思った記憶がある。
「季刊 レジャーホテル」は、「レジャーホテルに向けた業界唯一の専門経営情報誌」だ。当然、対象読者層は経営側であって、利用者側ではない。その種の情報をお求めの方は他をあたられたい。で、この雑誌のウリは以下の通り。
季刊 レジャーホテルは、
■レジャーホテルの開発・経営・運営に関する情報を多角的に提供
■ホテルの経営動向やをきめ細かく紹介
■話題の最新施設を写真と記事で徹底フォロー
■新製品情報や話題の企業、製品・システムをキメ細かく掲載
だそうだ。出版しているのは綜合ユニコム。施設系ビジネス関連の雑誌を多く出版しているだけでなく、セミナーからコンサルティングまで何でもござれだ。
というわけで、季刊 レジャーホテル no.68 【2005年2月刊行】 の目次は以下の通り。
巻頭事例
・強固な固定客をつくるCS具現化手法【4】
■HOTEL Mirage(横浜市中区)
■ホテル ペントハウス(名古屋市熱田区)
「強力な固定客」とはこれまた強力だ。事業の性質からいうと、最も重要な要素はやはり「ロケーション、ロケーション、ロケーション」のような気がするのだが、サービス面でもいろいろあるのだろう。CS手法とはどんなものなのだろうか。あまりフレンドリーに応対されてもナンだが。女性にウケるという観点からすれば、アメニティとかなのだろうか。こうしてみると、なんだか普通のホテルと変わらないような気もする。検索してみたら、「ペントハウス」のほうにはこんなページがあった。うーむ、どこらへんがCSのポイントなのか…。
新施設紹介
■HOTEL BALIS(岩手県雫石町)
■HOTEL FAIRY KISS(栃木県宇都宮市)
■HOTEL POPO(栃木県佐野市)
■ホテル ハイビスカス(千葉県松戸市)
■HOTEL SPERANZA(東京都豊島区)
■HOTEL STATION IMPERIAL(東京都台東区)
■ホテル 竹峰(東京都新宿区)
■HOTEL Verace(神奈川県厚木市)
■ホテル ビーナス ガーデン(愛知県名古屋市)
■ミルキースノーマンズ(大阪府阪南市)
■リトルパイレーツ(兵庫県明石市)
■HOTEL CIMAⅤ(香川県丸亀市)
■ホテル迎賓館(神奈川県川崎市)
新施設紹介だが、全国をカバーしているにせよこんなにあるのか、という感じだ。実例を調べたわけではないが、普通のホテルだと建替えのときに同じ名前を踏襲するのに対して、この種のホテルでは名前を変えそうな気がする。新たな立地を探すのが難しい業界だから、これらの多くも実は建替えなのだろう。
雫石の「HOTEL BALIS」はデザイナーホテル、なのだそうだ。曰く「バリのリゾートを思わせる内装。家具・絵画などのインテリアも雰囲気たっぷり。」だとか。新宿の「竹峰」は改装後のオープンらしい。サイトにはメンバーズカードの案内も出ている。固定客重視を前面に押し出している。「全客室20室を全室ご利用になると最後のお部屋の客室基本料金が100%OFF!」だそうな。「ミルキースノーマンズ」はサイトが派手。「本格的な吊りが可能」という部屋もあるらしい。なんだかな。「迎賓館」は2002年TBS系のドラマ「やんパパ」で風見薫子と真淵優作が入った場所、らしい。確かに、ドラマなどでこうした場所が登場することはあるだろう。そういうかたちでプロモーションをかけることができればいいかもしれない。
特別グラビア
■SWEET HOTEL MITSUBACO
■HOTEL DODO
「MITSUBACO」は宮城県のデザイナーホテル。「客室別に様々なコンセプトがありゴージャス&タイトな雰囲気」とのこと。「ゴージャス」はいいが「タイト」とはいったい?「DODO」は茨城県、らしい。ドードーは絶滅した鳥だが、果たしてそこに込めた意図は?
注目の新製品/企業/システム紹介
■東京ガス株式会社「レンタフマルチ」導入店レポート
■テクノ・オーシャン株式会社
■株式会社アイテル
■株式会社タケシタ
■株式会社玄子空間デザイン研究所
■有限会社ジャッジ
■株式会社Re・stay
■菱熱工業株式会社
東京ガスの「レンタフマルチ」が気になる。何しろ東京ガスのサイト内検索をしてもヒットしないのだ。秘密の製品、なのだろうか。「第39回 ホテル旅館フェア」のサイトには、設備機械関係のところに「手間要らずの都市ガスを使った、安心レンタル『レンタフマルチ』」とちゃんと書いてあるのに。「玄子空間デザイン研究所」のサイトはなんだか訳わからん感じ。ここの代表者玄子邦治氏は、「レジャーホテル2003」で「いま求められるアジアンテイストの空間づくり」という講演をしたりしている。有限会社ジャッジは、携帯電話をクーポン&ポイントカードにするシステム「モバイルC」を販売しているらしい。それ以外の会社は、ちょっとみた限りではサイトを持っていないようだ。
新連載
■レジャーホテルの証券化~事業資金の作り方
証券化の基礎 そのメリットと仕組み
(株)新生銀行 キャピタルマーケッツ部 次長 植山時男氏
証券化というが、おそらく実際は匿名組合スキームのものが多いだろう。新生銀行はレジャーホテルに限らず不動産がらみの投資案件に多く関わっている。匿名組合自体は一般事業会社も主体になれるわけで、全額をそこで調達するわけにはいかないから金融機関と組んだりして、一般の投資家を募集したりしている。たとえば㈱イーアイホテルシステムズのサイトには、「レジャーホテルファンド投資友の会」なんていうページがある。先日のNIKKEI BPのサイトにも、グローバル・ファイナンシャル・サポート㈱のことが出ていた。この会社の面白いところは、匿名組合スキームのファンド組成ノウハウを「OEM」的に他社にも提供する、としていることだ。同社のサイトにはファンドの資料があるがこれがなかなか面白い。不動産鑑定士の分析報告書(鑑定書ではない)も出ている。それによると…
都内某所の物件。敷地面積346.59㎡(商業地域、建蔽率80%、容積率400%)。前面道路幅員6m市道。駐車場として隣接地を賃借。建物は鉄骨造コンクリート造陸屋根4階建延床面積751.28㎡、築20年。全25室。1室平均23㎡。1室当り平均月収330千円。平均年間売上99,000千円。同支出54,450千円。同営業利益44,550千円。投資期間5年間として、DCF法による収益価格221,000千円。計算の根拠となる割引率は15%。5年後の転売価格159,000千円。
この計算だと1室当り1日2組前後か。こんなもんなのかね。もっと多いかと思っていたが。場所にもよるのだろうか。しかし、こうして具体的に数字で示されると、なんとも迫力がある。
連載
■レジャーホテル経営者のための<実践・税務講座>[第6回]
~リースか買収か税務上の考慮すべきポイント
■レジャーホテル飲食戦略の構築[第3回]
~飲食のレベルアップに求められる厨房設備・機器の整備のポイント
■レジャーホテル この業界・業界人[第14回]
いやもうなんともビジネス誌らしいではないか。「レジャー」をとったらまるで柴田書店の雑誌かといった感じだ。レジャーホテルの飲食戦略とは、どんなものなのだろう?厨房設備ということは、自前で作るんだよね?シェフの料理が評判の、なんて時代になるんだろうか。
短期集中連載
■新時代のレジャーホテル事業・成功への取組み方[第2回]
~所有と運営の分離が進むなか運営委託・受託による事業成功への取組み方
来た来た。ここでも「所有と経営の分離」だ。都市ホテルやビジネスホテルではもはや常識となった運営委託方式だが、レジャーホテル業界ではまだ新しい動きらしい。上記のグローバルファイナンシャルなども、傘下に運営会社を抱えていて、他から受託したりするらしい。
資料 イベントカレンダー
「イベントカレンダー」?イベント?この業界にどんなイベントがあるのか?業界関連のコンベンションはわかるが、ほかにもあったりするのだろうか?地域の皆様に無料開放!とか、アイドルを呼んでお祭り!とか、ディナーショー!とか。…まさかね。
いやもう、なんとも、本当に「産業」と呼ぶにふさわしい隆盛ぶりではないか。この業界は、江戸時代後期の「出会い茶屋」や「船宿」が起源なのだそうだが、まさにニーズあるところにビジネスあり、だ。
それにしてもこの業界、サイトをもっている企業の何と少ないこと!それに、大手企業でも当該分野の製品をサイトから検索できないようにしているのはいったいどういうことだろう。世間体が悪いというのはわからないでもないのだが、隠すというのもいかがなものか。
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