ターメリックはアルツハイマー予防に効果があるらしいという話
ターメリックにアルツハイマー病の進行を遅らせる効果があるという話。別に新しい情報でもなんでもないが、カレー好きとしてはやはり一度は書いておきたいテーマなので、この機会に。
カレーの黄色はターメリック(turmeric)の色だ。根から抽出されるクルクミン(curcumin)という物質に効能がある。
ターメリックは強力な抗酸化作用を持っており、関節炎などの炎症を抑える作用、ガン抑制作用などがあるらしい。前立腺ガンの進行を遅らせ、心臓病や結腸がんの原因となる炎症を促すいくつかの遺伝子の働きを抑制する力もあるといわれる。
さらに、アルツハイマー病の進行を遅らせる効果もあるという。UCLAのサリー・フローシー(Sally A. Frautschy)准教授(神経学)は「インドが世界中で最もアルツハイマー発生率が低いのはそのせいだと思われる」と指摘する。ターメリックが炎症の原因となる成分をつくり出す遺伝子Cox-2の働きを抑えるため、長期的にアルツハイマーを予防する効果があるということらしい。
カレー好きとしてはなんともうれしい話ではないか。インド人ぐらい食べてもいいなら、日本人の平均値からみればいくら食べても平気ってことじゃん、などと思ったりする。安心してどんどんカレーを食べまくろう!…と盛り上がった後で、少し考え直した。これは「偏微分の発想」ではないか、と。
偏微分、「へんびぶん」だ。記号では「∂」だがブラウザでうまく表示されるだろうか。@niftyの辞書を引いたら「偏導関数を求めること。」という正しいが説明にならない説明が出ていたが、正確な定義はともかく、ここで使っている意味は、複数の変数を含む関数で、そのうちの1つだけを動かしたときの関数の変化、といったようなことだ。ある変数がその関数にどんな影響を与えるかがわかるわけで、それはそれで便利なのだが、問題はそれが「他のものを一定とすると」という前提条件付きであることを忘れがちになる、ということだ。
インド人はターメリックを多量に消費してアルツハイマー病が少ないと。それは正しいとしても、そのことは、インド人のその他さまざまな属性を前提としてのものだ。日本人が同じようにターメリックを多量に消費したときにどんな効果が出るかは、日本人のその他さまざまな属性が影響する可能性があるし、自分の普段の食生活やら何やらにもよるだろう。自分に専門的な知識があるわけではないし、ターメリックは効かないといっているわけでもないのだが、もうちょっと大局的な見地から教えてもらいたい、と思うわけだ。
議論が遠回りしてるが、要は「局所最適」じゃなくて「全体最適」の解が知りたいのだ、私は。よくテレビで「体にいい食品」の特集をやっているが、私たちが知るべきなのは、個々の「体にいい食品」ではなく、「体にいい食生活」に関する知恵だ。先々週はひじき、先週はターメリック、今週は柿といった具合に番組で紹介するのはいいが、だったら私はこれから1週間何を食べたらいいのだ?ひじきと柿入りのカレーでも食べろというのか?来週は梅干も入れて?
というわけでテレビ局のそういう番組を作ってる皆さん、毎週新たな食べ物を「発掘」してはやしたてるのもたいがいにしていただきたい。
とはいえターメリックの話はいただき!だ。これでカレーを食べる口実ができるというもの。「ほら、最近ちょっと心配でさ」といえばいい。明日は絶対カレーにしよう。
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Comments
「偏微分」、なるほどそうですね。
でも、しかし、考えてみると「身体に悪い食品」なんてないですよね。なんでも少なくともある程度は食物としての価値があるわけで・・・。
と、テレビ局の人も言っていたなぁ。「何でもネタになるんですよ、いいようによってはね」というのを思い出しました。
Posted by: yujim | March 27, 2005 07:36 PM
体に悪い食品は、(1)味ではわからないが毒物を含んでいる食品と、(2)毒物ではないが摂取しすぎると悪影響が強くなる食品と、(3)毒物ではないが他の食品と組み合わせると毒性が出る食品の3種類があるのではないかと。ここで言っているのは主に(3)のケースですね。
「何でもネタになる」はまさにそうですね。自社の買収話ですら特集番組のネタになるんですから。メディアリテラシーって本当に重要だな、と思います。
Posted by: 山口 浩 | March 29, 2005 01:38 AM