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March 04, 2005

雑誌目次をみる:「R25」

「雑誌目次をみる」シリーズ。今回は「R25」。

最近よく見かけるようになったフリーマガジンの中でも、一番注目を集めているものの1つではないだろうか。週刊で発行部数55万部(首都圏)、らしい。駅やコンビニなどで配布しているが、よく品切れになっている。団塊ジュニア世代の男性をターゲットにした雑誌らしい。「オトコを刺激する情報マガジン」というのがキャッチフレーズだ。

というわりには、そうでない人々もよく読んでいる。私自身もそうだが、半世紀前の20代の方とか、ちょっとフライング気味の高校生諸君とか。女性も多い。

フリーペーパーは、当然ながらスポンサーからの広告収入でコストを回収する。たくさんの人の目にふれてほしいわけで、「R25」は一般的なフリーペーパーよりもいい紙を使い、きれいに仕上げている。「駅構内や網棚などに放置せず、ご自宅や会社までお持ち帰り」いただきたいからだ。

この「R25」だが、ちがうバージョンがあることを知らなかったのは私だけだろうか。たとえば今ここに、No.33(2005年2月24日号)の「R25」が3冊あるのだが、3つともちがっている。まず気づくのは色だ。それから、裏表紙に出ているキリンの発泡酒のブランドがちがう。そして、記事中のインタビューされている人。それ以外は共通している。つまりこうだ。

青バージョン
表紙の色:青
発泡酒:新・麒麟淡麗<生>

黄緑バージョン
表紙の色:緑
発泡酒:新・淡麗グリーンラベル

水色バージョン
表紙の色:水色
発泡酒:新淡麗アルファ

ちがうバージョンがあることは、ちゃんと目次に書いてある。今回の大口スポンサーはキリンというわけだ。「新・淡麗」シリーズの発売に合わせたキャンペーンの一環なのだろう。前からこういうことをやっていたのかどうか知らないが、なかなか面白いやり方だと思う。

というわけで、「R25」No.33の目次は以下の通り。バージョンによってちがう部分はそれぞれ書いてある。

今週の予言付き!イベントカレンダー

ランキンレビュー
・京都議定書がついに発効。ロシアのしたたかな思惑とは?
・世界一有名なフォーラム「ダボス会議」って何だ?
・ペイオフ解禁まであと1カ月余。預金安全対策、大丈夫?
・ブッシュ大統領も持っているMBAって何の役に立つの?
・いよいよ3月に完成。新「首相官邸」の知られざる内部とは
・mixi(ミクシィ)はビジネスとしても花を咲かせられるのか?
・早くなった山手線。一周60分の壁をついに破る?
・キャッシュカードを狙うスキミング犯罪対策とは?
・出口の見えない不調。中田英寿の雄姿をまた見たい!
・小川vsインリン様!『ハッスル』ってどうなっているの?
・「ポチッとな」といえば…タイムボカン生誕30年!!
・119番は知っているけど、118番って知ってました?
・発泡酒も健康に気を使って選ぶ時代がやって来た!
・80年ぶりに改正を検討中。オフサイドのルールが変わる?
・もうすぐアカデミー賞/ラジー賞発表。今年の注目作品は?
・今回の万博って、どうして「愛知」で開催されるの??
・都が淫行処罰規定を施行予定。性を法で規制する意味とは

いわゆる、「ほんとは大事だけどとっつきにくくてつい遠ざかってしまいがち」的情報をコンパクトにまとめている。話題に出たときに「あああれはね」とコメントできれば「できるオトコ」として株も上がろう、というわけだ。さりげなく発泡酒をとりあげるタイアップ記事が入っていることにも注目したい。

今週の招待状
・コンビニ食材で作れちゃう!大事な人をもてなすオトコの3分クッキング

しっかりイラストにもキリンの発泡酒が入っている。「料理するオレ」をイメージさせるストーリーと「お、これならできそうじゃん」という気にさせる簡単レシピ。読んでいると何か食べたくなってくる。と思いながらページをめくると、しっかりキリン「新・淡麗」シリーズの広告が入っているというわけだ。

ロング・インタビュー
・青バージョン:「仕事以外にも大切な場所が必要」坂口憲二
・黄緑バージョン:「やるべきことは無限にあるんだ」八嶋智人
・水色バージョン:「25歳なんてペーペーなんだからさ」高田純次

さて、問題のインタビュー記事。バージョンごとのちがいは、想定する読者層のちがいだ。
・坂口憲二:1975年生まれ、29歳
・八嶋智人:1970年生まれ、35歳(?)
・高田純次:1947年生まれ、58歳

彼らは、想定読者層にとってのいわばロールモデルだ。これがタイアップした発泡酒に合わせてある。大人ぶりたい20代向けの青バージョンでは坂口憲二がリラックスした「大人」の表情をみせ、「違いのわかるオトコ」が選ぶ「新・麒麟淡麗<生>」を盛り立てる。仕事に追われる30代には八嶋智人が「まだまだこれから!」と元気づけ、「仕事の疲れもスッキリ爽快!」となる「新・淡麗グリーンラベル」へとつながる。健康が気になる40代以上には高田純次が「枯れちゃいないぜ」と若々しさを強調し、そのために「うれしい味方」になるプリン体カットの「新・淡麗アルファ」を飲まなくちゃ、となる。

ギャザリング通販
・強さと優しさを兼ね備えたオトコになれるグッズ

連載
R25的ブックレビュー
今週の『彼女』
・青バージョン:市川円香
・黄緑バージョン:井上訓子
・水色バージョン:黒谷友香

こちらも同じ。対象読者層に合わせて「彼女」の年齢もちゃんと選んでいる。
・市川円香:1983年生まれ、21歳
・井上訓子:1978年生まれ、27歳(?)
・黒谷友香:1975年生まれ、29歳

ただし、男と女では年齢層がちがう。先ほどのロング・インタビューで選ばれた男性たちは、おそらく対象年齢層と同じかちょっと上、それに対し、「彼女」に登場するのは対象年齢層より下の女性たちだ。特に、おそらく40代以上をターゲットにしている水色バージョンでも20代の黒谷友香が選ばれているあたり、うーん、なんとも微妙で味わい深い。このあたり、やはり男性向けの雑誌であることがわかる。女性の方々にはがまんならないことかもしれないが、これがマーケティング、というものだろうか。

・プチ・スマート・モテリーマン講座
・アイマイマン
・コンビニ大学院
・深夜番組表付き!男気テレビ局
・結論はまた来週/高橋秀実
・R25読者アンケート&プレゼントのお知らせ

個人的には、「プチ・スマート・モテリーマン講座」と「コンビニ大学院」がお気に入りだ。前者は「見ちゃいけないものを見せてしまおう」感がいい。後者は情報として楽しめる(もうちょっと突っ込んでくれるといいのに、とは思うが)。

というわけで、あなどれない「R25」。これまで「こんなものが商売になるのか」という新鮮な感動を与えてくれる情報誌をいくつも立ち上げてきたリクルートだけに、さすがよく練られている。ぜひ今後ともがんばっていただきたい。ちなみに「R25」がどこで配布されているかわかるサイトはこちら、だそうだ。今後も出てくるであろう別バージョンゲット!のためのご参考。

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