Blogってどのくらいもつんだろう
さるところでさる方の話を聞いたと思ってほしい。マーケティングに関連の深い業界の方だ。マーケティング戦略にblogを活用する、みたいな話題になったときに、その方は、1~2年先にはもうblogも終わってるでしょうからそのときには他の手を使うんじゃないですか、という趣旨の発言をされた。
そういえばそうだよな、と改めて思った。Blogにも「寿命」があるんだろうな、と。
いったいどのくらいもつのだろうか。
考えてみれば、blogというツールが普及したのはせいぜいこの2~3年ぐらい、日本では昨年がブレークの年だった。その間にも、ITツールとしてのblog、文化としてのblog、ビジネスとしてのblogはどんどん急速に進化してきている。Blogについてほんの1年ほど前に書かれた文章などを見ると「懐かしい」などと思ったりしてしまうほどだ。ドックイヤーからラットイヤーになって、今度は何だろう。寿命が数週間のハエにならってフライイヤーぐらいになったりするのだろうか。
ともあれ、blogは急速に進化している。進化が進めば衰退を気にするのはむしろ当然といえるかもしれない。個人が趣味でやっているblogでは、「飽きた」という理由で辞める人はもともとたくさんいる。これまでは流入が多かったわけだが、これから流入より流出が多くなれば、全体としてblog人口は減少するというわけだ。紙に書く日記も3日坊主の人はたくさんいる。Web版の日記として書いている人の場合も、飽きて続かなくなる人が多いのは理解に難くない。また、人気のある有名bloggerの場合も、前にアメリカの有名bloggerの「燃え尽き」症候群、なんていう記事を見た記憶がある。本人が飽きなくても、周囲の状況が継続を許さない場合があるだろう。時間がたてば、そういう人が出てくるのはある程度しかたがない。
Blogまわりのビジネスも急速に進化してきている。ビジネスblogについては、少なくとも日本ではこれから本格的に、といったところだろう。シックスアパートやテクノラティの方々ならずとも、ここで終わってもらっちゃ困るという人は少なくないにちがいない。しかし、もし全体としてのblogが一過性のブームとして忘れ去られていくなら、それを利用したビジネスもまた時代遅れになってしまうだろうから、期待したほどにならないという可能性もある。
一方、「簡単に更新できるホームページ」としてのblogは、そういったブームとはちがってある程度持続性があるだろう。自分の経験からいっても、HTMLを書くのはソフトを使ったとしても少々面倒だ。文章とか画像なんかをただ載せたいというだけなら、blogのように簡単に更新できるツールはやはり魅力的だろう。しかしそれが今の「日記」ふうのスタイルでなければならない理由はない。現在のblogに満足の向きはそのままとしても、全体の流れとして、韓国で人気の(最近so-netも始めたが)ホムピみたいなスタイルもありうるだろうし、SNSの公開版みたいなものもありうるだろうし、もっと別のものもありうるだろう。
私としては、現在みられるようなblogがそのままのかたちで幅広く用いられる状況が続くかどうかには、正直なところあまり興味はない。現在のblogソフトの機能に満足な方々はそのまま使い続けるだろうが、それがどのくらいの比率なのかはわからない。またRSSのさまざまな活用は便利だからそれなりに続いていくのだろうが、それがblogではないかもしれない。
むしろ私の関心は、人がウェブ上にプレゼンスを持つということが定着していくかどうかにある。Blogは、人のネットへの「進出」を加速する役割を果たした。実名であれ、ハンドルであれ、これまでよりはるかに多くの人がネット上に自らの「存在」を記録し、そこでコミュニケーションを行うようになった。これは、ネットショッピングのように現実の行為をネット経由で行うのとは本質的にちがう行為だと思う。むしろオンラインゲーム内のキャラクターに感情移入するのとよく似ていて、根は同じものだと思う。ネット上の人格は現実の人格と似ていてもちがっていても「仮想」の人格であり、「別世界」に住む「もう1人の自分」なのだ。これが今後さらに拡大していくとどうなるか。こうした「2つの人生」を生きるライフスタイルが人々の間に定着してくると、現実世界の人々の生活にも無視できない影響が出てくると思う。
The comments to this entry are closed.
Comments