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雑誌目次をみる:「財政金融統計月報」

一部に好評の「雑誌目次をみる」シリーズ。今回は「財政金融統計月報」。

これは雑誌なのか?という疑問はひとまず措かれたい。まあ毎月刊行されてるし、かたちも雑誌みたいだし、いいじゃん。

といって、別に一般の興味をそそる代物ではない。そんなものがあるとは知らなかった、という人のほうが多いだろう。財務省財務総合政策研究所編だ。1冊1,310円だが、当然ながら財務省サイトから無料でダウンロードできる。まあ個人で買っている人はまずいまいが。

サイトからとれば、表形式のものはExcelデータで提供されているので便利だ。っていうか、こういうものを利用したいって人はそのくらいのこと知ってるって。いやしかし、このシリーズの趣旨は「普段みることのない雑誌を、目次を通して紹介する」ことにあるのだ。以下は普段こんなもの見ない、という人向けとお考えいただきたい。

裏表紙にある唯一の広告は、独立行政法人国立印刷局から政府刊行物のお知らせ。「財政統計」やら「国債統計年報」やら「法人企業統計季報」やら。これを広告というのかどうかわからないが。ちなみに初めて発行されたのは1942年らしい。戦争中だし、当時は今よりさらに財政が苦しかっただろうが、そういう理由で発刊されたのだろうか。

「財政金融統計月報」は、毎月なんらかの特集を組むのだが、毎年同じ月は同じ特集になることがけっこうある。毎年2月は国有財産特集。ということで、2005年2月号(第634号)の目次は以下の通り。

国有財産の概要

最初は国有財産制度の概要の解説。一字一句見比べたわけではないが、数字を入れ替えた以外はほとんど昨年と同じ内容だ。その前の年も、そのまた前の年も。きっと何年もこうだったのだろう。いや別にそれでいいのだが。国有財産は、行政財産(国の行う事務などのために保有する財産)と普通財産(特定の行政目的には直接用いられない財産)に分けられる。行政財産の中には、よく話題になる公務員宿舎(これは「公用財産」というサブカテゴリに含まれる)や皇室用財産もある。

2003年度末における国有財産の総額は、102兆2,215億円。うち行政財産は50兆5,022億円、普通財産は51兆7,193億円。ただしここには行政財産の一類型である道路、河川、海浜地等は含まれていない。国有財産法第38条に基づくのだが、なぜなんだろう?たくさんあるから?

2003年度、国有財産の総額は8兆7,023億円減少した。総額が減少したのは現在の国有財産法施行(1948年)以来初、とのこと。この原因は郵政事業庁の公社化、造幣局および印刷局の独立行政法人化なので、別に国が貧乏になったとかそういうことではない。確かに、省庁別にみると、総務省は5兆3,494億円、財務省は4兆1,798億円と大きく財産額が減少している。

国は日本の国土面積377,904km2の約23.6%、89,068km2を保有している。ものすごい大地主だ。ちなみに皇室用財産は、土地24.7km2で4,324億円、建物19.8千㎡で218億円、その他を含めて合計4,777億円で、国有財産全体の0.5%を占めるとのこと。


統計


1 総括統計

1. 年度別・区分別現在額の推移
2. 区分別・分類別・種類別現在額
3. 会計別・分類別・種類別現在額
4. 国有地の会計別・分類別現在額
5. 所管別・会計別・分類別現在額
6. 年度別・会計別・分類別・種類別現在額の推移
7. 年度別・所管別現在額の推移
8. 区分別・分類別・種類別・会計別現在額
9. 財産権種目別・種類別明細
10.財産権会計別・所管別・種類別明細
11.無償貸付用途別・所管別・会計別・区分別現在額
12.無償貸付増減及び年度末現在額
  (1)区分別・会計別
  (2)用途別・会計別
  (3)所管別
13.政府出資法人一覧
  (参考)民間仮定B/S作成対象法人一覧
14.政府出資法人の概要
15.事由別・区分別増減状況
16.主要事由別・所管別・区分別増減状況
17.総括事務(協議及び通知)処理状況

見事なくらい興味を引かない目次だ。中身をみても目次そのままで、まるで愛想というものがない。いやそれでいいんだけど。

で、しかたなく政府出資法人のところなど見てみる。政府出資額の合計は43兆387億円。公社1、金融機関10、公団8、事業団等19、独立行政法人87、特殊会社5、国際機関12、清算法人4で合計146法人ある。うち最大の出資先は国際協力銀行で7兆6,901億円、次に国際開発協会(ワシントンに本部をおく世界銀行の一部門だ)で3兆1,430億円。「意外」にも国際関連だ。第3位が核燃料サイクル開発機構で2兆9,226億円、第4位が中小企業総合事業団で2兆5,477億円、第5位が日本道路公団で2兆2,285億円だ。ちなみに道路系4公団(日本道路公団首都高速道路公団阪神高速道路公団本州四国連絡橋公団)への政府出資合計は3兆5,986億円だ。

民間仮定B/Sが作成されているのは金融機関9、公団8、事業団等16の合計33機関。うち剰余金の額が最も大きい機関は地方公共団体向け融資や地方債の引受なんかを主にやってる公営企業金融公庫で2兆1,364億円だ。一方、欠損金が最も大きい機関は民間金融機関が破綻した際に預金払い戻しに応じる預金保険機構で4兆6,446億円。…あえて詳しくは書かないがなんだか複雑な気分だ。ちなみに、年金資金運用基金は1兆9,621億円の欠損。


2 行政財産統計

18.所管別・会計別・種類別現在額
19.所管別現在額の推移
20.所管別・組織別・会計別・種類別・区分別現在額
21.公共用財産明細
22.皇室用財産明細
23.庁舎等新改築所管別・理由別計画件数及び金額
24.公務員宿舎設置戸数調
25.宿舎戸数(所管別内訳)

ここはちょっと面白そうだ。皇室用財産明細をみてみると、どうもすべて不動産らしい。物件別内訳は次の通り。括弧内は土地の面積と価額だ。
・皇居(1,150千㎡、196,424百万円)
・赤坂御用地(1,150千㎡、196,424百万円)
・常盤松御用邸(508千㎡、146,865百万円)
・須崎御用邸(384千㎡、1,541百万円)
・御料牧場(2,518千㎡、2,674百万円)
・葉山御用邸(95千㎡、4,040百万円)
・新浜鴨場(195千㎡、75百万円)
・埼玉鴨場(116千㎡、300百万円)
・那須御用邸(12,224千㎡、518百万円)
・高輪皇族邸(19千㎡、10,695百万円)
・京都御所(201千㎡、41,477百万円)
・修学院離宮(545千㎡、1,370百万円)
・桂離宮(69千㎡、2,690百万円)
・正倉院(90千㎡、634百万円)
・陵墓(6,517千㎡、12,123百万円)

合計で24,658千㎡、432,441百万円。土地だけでだ。皇室の調度品とか装身具とか、そういうやつは皇室の「私有財産」なのだろうか。ちなみにだが、皇居外苑とか新宿御苑、京都御苑なんかは皇室用財産ではなく公共用財産だ。公園の仲間、というわけ。

それにしてもたくさん「別荘」があるものだ。なかでも、土地面積でみると、那須御用邸の大きさが目立つ。毎年行きたがるのもわかるような気がする。正倉院は東大寺のものかと思ってたら、建物まで皇室用財産だったとは。「陵墓」というのは、昔の「○○天皇陵」みたいなものも含むのだろうか?

次に公務員宿舎。2004年9月1日現在で、合計245,061戸。2005年度末の定員で国家公務員の総数は615千人だそうだから、ほぼ2.5人に1戸の割合だ。いやなかなか恵まれた条件ではないか。最近戸数が減ってきているが、これはほとんどは民営化によって公務員宿舎から社宅に変わったことによるものだ。24万余戸のうち合同宿舎は95,534戸、省庁別宿舎は149,527戸ある。公務員の人数がだんだん減ってくると、省庁別では運用が難しくなって無駄が増えそうだが、宿舎を共同管理にしたりはしないのだろうか。省庁によって運用基準や宿舎の質がちがったりするのかもしれない。ああそういえば昔、某省の宿舎だけ芝生が張ってある、なんていうのがあったよなぁ。今はどうなんだろう?


3 普通財産統計

26.所管別・会計別・区分別現在額
27.年度別・区分別現在額の推移
28.区分別増減及び年度末現在額
29.都道府県別・区分別現在額
30.     〃       (無償貸付)
31.事由別・区分別増減状況
32.貸付増減状況(土地・建物)
33.貸付状況(  〃  )
 (1)相手方別貸付
 (2)用途別減額貸付
 (3)用途別無償貸付
34.売払状況(土地・建物)
 (1)相手方別売払
 (2)契約方式別時価売払
 (3)用途別減額売払
35.相手方別交換(渡)状況(土地・建物)
36.相手方別譲与状況(  〃  )
37.有償無償別所管(減)状況(  〃  )
38.国有財産関係歳入科目別徴収決定額及び収納額
39.国有財産関係歳入科目別・年度別収納状況


参考資料

1. 相手方別大口売払状況
2. 国有財産地方審議会審議経過一覧表(平成15年度)

経済日誌(1月中)
主要経済指標(2月分)

…ふう。
最後までくると、斜め読みでもけっこう疲れる。もともと楽しむための雑誌ではないからいいのだが、まあそれでもなんらか楽しめる内容はあるということだ。もうちょっと突っ込んだデータがあるともっと面白いのだが。たとえば公務員宿舎の省庁別広さとか。皇室用財産なら宮家別財産比較なんてあったらいいかも。ちなみに次号は地域経済特集、その次は租税特集、さらにその次は平成17年度予算特集とか。お楽しみに。ってそんな人いるのか?

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