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May 27, 2005

金融NPOがあるなら監査NPOだって

懸案になっている投資サービス法案に関連して、もし現在の方向性で制定されると、NPOへの資金の流れを阻害するとの懸念が出ているという。単純にいうと、監査費用だの何だのといったコスト負担の問題だ。

という記事が日本経済新聞に出ていた(2005年5月18日)のだが、なんだかちょっとスジがちがうような気がする。

現在この問題について議論しているのは、金融庁の金融審議会金融分科会第一部会(長いね。ちなみに座長は東大神田秀樹教授)だ。ええとどのへんかなと思ってちょっと見てみたら、探し方が悪いのか(きっとそうだろう)よくわからなくて、このへんかなと思うのが第24回会合(2005年1月21日。議事録はこちら)。岩原委員の発言として、

建前からいうと中間法人というのは非営利法人(中略)で利益の分配はないということです(中略)が、実際の使われ方を見ると、配当という形では利益の分配が行われておりませんが、一方でサービス等の形でのリターンを行ったり、場合によると役員報酬等の形で実質的には利益の分配が行われる場合がありますので、これこそ実質を見て包括基準等で拾っていく必要がある場合があるのではないかという感じがしております。

なんていうくだりがある。で、日経の記事では、

…大半が無配当で、出資者も地域に貢献する社会的見返りを求める点。審査・回収などの運営は市民などのボランティアで、収益から監査費用を引くと事業が成り立たない。

としていて、米国の例も引きながら、開示手続きの簡素化が必要と書いている。届出や情報開示についてはどのくらいの話なのかはわからない(それほどでもないと思うのだが)が、監査費用は確かに問題だろう。

で、思うのだが、金融NPOがあるのに、監査サービスを行うNPOというのは存在しないのだろうか。いや別にNPOでなくてもいいのだが、公認会計士には、こういう分野で社会貢献しようという人はいないのだろうか。たとえば日本弁護士連合会だと過疎地対策なんかの活動をやっているし、よく無料相談みたいなものをやっているのを見かける。会計士にはこういう人はいないのだろうか?

監査が必要なのは、資金提供者の保護のためだ。それは可能な限り妥協すべきではない重い価値のある問題であって、他に工夫する余地があるならまずそちらをなんとかすべきだ。もし金融NPOに監査費用が出せないことが問題だとするのであれば、監査を簡略化せよというより、NPOは監査費用を負担しなくていいしくみを考えるほうがスジではないのか。

日経の記事は「市場主義だけでは、資金が偏在し市場の足元が脅かされる」としているが、この批判を受け止めるべきなのは金融庁ではなく公認会計士ではないかと思う。「リスクを厭わない投資」を提唱する山口としては、制度に「魂」を入れるために、この際ぜひ会計士の皆さんの奮起を期待したい。

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