日本でもOCWが始まった!
以前から注目してちょくちょくのぞいていたMITの「OpenCourseWare」だが、日本にも日本でもOCW活動が始まったというニュースがCNETに出ていた。
始めたのは大阪大学、京都大学、慶應義塾大学、東京工業大学、東京大学、早稲田大学の6大学。各大学で行われている講義のシラバス、講義ノートなどの講義情報を順次インターネット上に公開する。本家「OCW」と同様、非営利かつ教育目的であれば、誰でも無償でOCW上の教材を使用することができる。全体の事務局になっているのは、慶應義塾大学のデジタルメディア・コンテンツ統合研究機構におかれた日本 OCW 連絡会事務局。「日本OCW連絡会」というサイトが立ち上がっていて、そこから参加各校のOCWのページに飛ぶことだできる。
ぱらぱらと見てみたが、実際の公開の状況は、大学によってかなり異なるようだ。比較的揃っているのが早稲田大学、東京大学と京都大学。科目数、内容ともになかなか。慶応大学は資料が整っている科目がやや少ないように思われる。東京工業大学と大阪大学は見た限り単なる講義概要の公開のみで、このくらいならそこらじゅうの大学でやってるシラバス公開と同じだ。まあ、どの大学も今後拡充していくということで。
というわけだが、いろいろ考えさせられる。今回参加したのはいわゆる偏差値の高い大学なわけだ(MITもそうだ)が、今後さらに広がっていくかどうかというと、なかなかたいへんだろう。公開というのは、教員にとっても(教員のプレッシャーは容易に想像できる)、大学にとっても、それなりに勇気のいることかもしれない。「大学も」というのは、想像だが、偏差値にあれだけ差があることだし、大学での講義内容も、大学によってかなりちがうのではないかと思うのだが、そういうあたりがあからさまになるのはあまり好ましくないと考える大学もあるのではないか、ということだ。教育方法の情報交換だったら、ファカルティ・ディベロップメント(FD)活動みたいなものは既にあるし。とはいえ、実はそういうところこそ公開のプレッシャーが必要なのかもしれない、という気もする。
ともあれ、こういうのはまず動き出すことが肝心。「充分検討して」とか「関係各所の了解を得ながら」とかやってると、実際にはなかなか進まない。6校の小さくて大きな一歩に、まずは拍手!
※追記
一応念のため。CNETの記事の見出しに「受験に合格しなくても学べる?」とあるが、それはおそらく無理だ。公開対象の科目が少ないというだけでなく、これを読んでも学位はとれないというだけでもなく、シラバスと講義ノートだけ見て内容をきちんと理解するのは実際にはかなり難しいからだ。変な話、あれだけ見てわかるのは、もともとわかってる人ぐらいだろう。その意味で、この試みは、「学ぶ人」より「教える人」のメリットが大きいと思う。
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