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May 21, 2005

「急拡大が見込まれる日本のヨガ市場」

門倉貴史「急拡大が見込まれる日本のヨガ市場~2004年の推定ヨガ人口は23万人、市場規模は139.5億円(関連商品市場を含めると151.1億円)~」、第一生命経済研究所マクロ経済分析レポート、2005年5月18日。

「あの」門倉氏がまたまた放った「衝撃」レポート。

こんどは「ヨガ」だ!!

門倉貴史氏は、第一生命経済研究所の主任エコノミストだ。担当は「アジアを中心とした海外経済」なのだそうだが、世間には「地下経済」の専門家としてのほうが知られているかもしれない。まずは著書のリストをみていただきたい。

著書
・ 『日本の地下経済』講談社、2002年
・ 『日本「地下経済」白書」』祥伝社(2002年度雑学出版大賞受賞)
・ 『日本アングラマネーの全貌』講談社、2003年
・ 『資産デフレで読み解く日本経済』(共著、日本経済新聞社)』 2003年
・ 『図解 誰も知らなかった 日本地下経済白書』(祥伝社) 2003年
・ 『日本「地下経済」入門』(廣済堂出版) 2003年
・ 『偽造・贋作・ニセ札と闇経済』(講談社プラスアルファ新書) 2004年
・ 『少年犯罪と地下経済』(PHP研究所) 2004年
・ 『中国経済 大予測』(日本経済新聞社)2004年

集中豪雨のようなハイペースの出版だ。テーマが似ているのはともかくとして。地下経済は氏が前の職場におられたころからの研究テーマだった。一般的な地下経済の研究がどちらかというとマクロ的なアプローチで推計するものが多いのに対し、特に風俗系の地下経済について、「業態」別にミクロ的な積み上げアプローチを使って市場規模を推計したところに独創性があった(いったい他の誰が、援助交際の相場や1月あたりの「回数」から市場規模を計算しようなどと考えるだろう!)。

以来注目しているこの門倉氏の最新作であるこのヨガのレポートだが、「Asia Trends」というシリーズのレポートらしい。右上には「(業務用参考資料)」とある。まじめなものなんだぞ、というわけだ。ごていねいにレポートの左上にはインドの国旗が。いや確かにヨガはインドだが、レポートは日本の話でしょ?ヨガの講師だってたいてい日本人だろうし。…あっそうか!こうしないと上司に「これは海外経済じゃない」と指摘されてしまうからでは!?なかなかご苦労なことである。

内容はぜひ本文をお読みいただきたいのだが、要はこういうことだ。
・米国でヨガ人口が急速に拡大している。年率28%だとか!
・その影響で日本でもヨガ人口が増え始めた。
・日本のヨガ人口は2004年で23万2,448人(ずいぶん細かいね)と推定される。
・日本でも米国と同様のペースで拡大したら、2015年にはヨガ人口が351.3万人になると予測される。

すごいね。何がすごいって、ヨガ人口が年率28%で10年伸び続けるという仮定がすごい。ちょっと計算してみた。このペースでいけば、2030年には日本のヨガ人口は1億4,249万209人に達する。2050年には198億6,023万6,581人だ。これなら人口減少の懸念など吹っ飛んでしまう(ていうか人口爆発だよ)。確か国連の人口予測では2050年の世界人口がだいたい100億人ぐらいだったはず。世界はすべて日本人になるのだ。何せインドといえばアレがあるもんなぁ。厚生労働省の皆さん!少子化問題の解決にはヨガですよ!!公共事業でヨガ教室を全国に展開しよう!!!

…閑話休題。

上記サイトからは、門倉氏が現在の第一生命総研に移られて以来のレポートが読める。見てみると、確かに「ふつうの」マクロ経済分析なんかもやってる。「その種」のもの以外はあまり目立たないから気づかなかったが。最近だとこんなあたり。

2005/5/13 「中国の高成長持続と日本の対中輸出減速の背景 ~日本の中国向け輸出が再加速するのは05年度後半に~」
2005/4/27 「拡大する日本とロシアの貿易取引 ~ロシアのWTO加盟が実現すれば日露貿易の規模は現在の2.7倍に~」
2005/4/5 「インドで進む金融機関の不良債権処理 ~中国よりも高い金融機関の健全性~」

ふむふむ。ただ、やはりこの人の真骨頂はちがったところにあるはず。今回の日本のヨガ市場以外に、過去のレポートから拾ってみよう。

2005/5/9 「魅惑のインド映画 ~世界にはばたく「ボリウッド」映画~」
2005/4/26 「社会構造の変化が経済統計に及ぼすバイアス① ~夏のボーナス商戦・年末商戦~」
2005/4/12 「中国:「おしゃれ」を追い求める女性たち ~中国のおしゃれ市場の規模は2010年に1388億元~」
2005/4/11 「中国:最近の個人消費を牽引する外食需要 ~外食産業の市場規模は2012年に現在の日本の水準を超える見込み~」
2005/1/20 「ニセ札の氾濫が日本経済に及ぼす影響 ~企業のニセ札対策費用は1兆円を超える可能性も~」
2005/1/12 「インドのカースト制度 ~カースト制を背景とする所得格差の存在が経済成長の阻害要因~」
2004/12/29 「急拡大するロシアのビール市場 ~ウォッカからビールへの代替が進めば2015年の消費量は1081.5万キロリットルに~」
2004/12/10 「日本の「冬ソナ」ブームが韓国・日本のマクロ経済に及ぼす影響 ~韓国への経済波及効果は1兆1906億ウォン、日本への経済波及効果は1225億円~」
2004/10/21 「NEET人口の将来予測とマクロ経済への影響 ~87.3万人のNEETが2000-2005年の潜在成長率を年率▲0.25%p下押し~」
2004/9/1 「本格的な拡大期を迎える中国のビール市場 ~成長市場を狙って海外メーカーの対中進出が加速~」
2004/7/29 「2010年上海万博開催による中国経済への影響 ~中国への経済波及効果は2057億元に達する見込み~」
2004/7/28 「2008年北京オリンピック開催による中国経済への影響 ~中国への経済波及効果は総額1兆8937億元に達する見込み~」
2004/7/20 「中国:「一人っ子政策」の功罪 ~経済が十分な発展を示す前に迎える高齢化社会~」
2004/7/16 「中国が世界の肉を食べ尽くす?! ~急速な肉食化の進展により低下する食肉・飼料の国内自給率~」
2004/6/4 「パラサイト・シングル人口の将来予測とマクロ経済への影響 ~パラサイト・シングルの増加は実質GDP成長率を年平均▲0.2%p下押し~」
2004/5/18 「外国人の不法就労が日本のマクロ経済に及ぼす影響 ~個人消費にマイナス、設備投資にプラス、ネットで実質GDP成長率を▲0.06%押し下げ~」
2003/12/8 「団塊ジュニアのライフステージの変化が国内産業に及ぼす影響(1) ~結婚式場業編~」
2003/10/27 「中長期的に拡大するとみられる外国人不法就労者 ~不法就労者は28.5万人、不正送金額は年間約6000億円~」
2003/6/26 「不況下で増加するサービス残業 ~サービス残業をなくせば160万人の雇用創出、実質GDPは2.5%増加~」
2003/5/30 「データで読み解く北朝鮮のマクロ経済~供給能力不足でハイパー・インフレーション発生の恐れ~」
2003/5/8 「急増するフロンガスの密輸入・密売 ~市場規模は384.1億円~572.0億円~」
2003/3/14 「ハンバーガー値上げが意味すること ~価格が下がるだけでは需要はついてこない~」

なかなか味わい深いレポートがそろっているではないか。ニセ札とか不法就労とかサービス残業とか密輸入とか、さすが地下経済の専門家といったものもあるが、それ以外にも、NEETやらパラサイトシングルやら冬ソナやら、キャッチーな話題をそつなく取り上げている。ロシアと中国でビール市場を取り上げているところからみて、きっとビール好きにちがいない。

しかし最近の、「オタク市場」に関しては、野村総研に遅れをとってしまったようだ。さぞかしくやしかったろう。ここは一番「ヨガ」でリベンジ、なのだろうか。しかしなぁ。「オタク」に対抗するには、ヨガでは若干力不足なような気もする。なんとかインパクトのある次のテーマを発掘してもらいたいものだ。

というわけで、ちょっと考えてみた。門倉氏にぜひ調査していただきたいテーマ一覧!

・「Shall Weダンス?」およびそのリメークが世界のダンス市場をどれだけ押し上げたかの推計
・日本が移民受け入れへ政策転換した場合の成長率予測
・アジア共通通貨が導入された場合の韓流ブームへの影響
・「喜び組」が日本で歌手デビューした場合の日朝貿易への影響
・世界の売春相場を使った購買力平価による均衡為替レートの算出
・インド映画が世界を席巻した場合のハンバーガー業界への影響

だめかなぁ。

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