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June 30, 2005

祝 新会社法成立

6月29日、懸案だった新会社法が参議院の賛成多数で可決成立した(記事はこちら)。施行は2006年とのこと。

この法案はかねてからの懸案をいくつも含んだもので、それらすべてが重要な意義を持つものであるが、ここではとりあえず合同会社(日本版LLC)制度の発足に着目する。資本による支配から人、ないしは能力による支配が可能となる会社形態だ。特にコンテンツ分野では、金はないが才能のあるクリエーターにとって、新たなチャンスをもたらす可能性がある。アメリカのLLCのように導管性が認められなかったのは残念だが、有限責任事業組合(日本版LLP)もあることだし、何より内部自治の可能性が大幅に拡大したことをまずは歓迎したい。

その他の面でもいろいろ不満はあるのだろうが、いっちゃ何だが法律は「ハコ」だ。入れ物作りにばかり勢力を注ぐのはいかがなものか。そろそろ中身をどうするかのほうにもっと力を入れるべきときがきていると思う。会社のあり方、会社と資金提供者の関係、会社と社会の関係、企業買収のルールと慣習、それらは法律だけでなく、私たちが社会の中でどうふるまい、何を大事と考えるかによって決まってくる要素が大きい。明らかに法律が制約となっているものはともかく、そうでないものは、たとえ不充分でもできあがった道具をどうやってうまく使うかを考えたほうが生産的だ。ましてや、ただ反対と叫んでいるだけでは何も変わらない。

理想的な「道具」がどんなものであるかはおいおいゆっくりまた考えていくとして、企業としては、具体的に自社の株主との関係をどうしていくか、社会にどう対応していくか、環境への配慮はどうすべきか、利益を誰にどう分配していくかなどをひとつひとつ考えていく必要がある。一見利害は対立しているようだが、実はかなりのところ、私たちは同じ「船」に乗っている。船がどちらの方角へどのくらいのスピードで進むべきか、考えていくときだと思う。

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