「ニッポンの挑戦 インターネットの夜明け[前編]
ヤフーが、ドキュメンタリー「日本の挑戦 インターネットの夜明け:前編」を無料配信している。6月30日までだそうだ。
友人から教えてもらったのだが、いやもうだめだ。こういうのに弱いのだ。
なんだかつくりが「プロジェクトX」みたいだぞ、と思ったら、実際、制作もNHKエンタープライズだった。最近のものはあまり見ていないが、初期のプロジェクトXはけっこう好きだった。何が起きたかを誰がどう思ったかの歴史として描く手法、とでもいおうか。あざといという形容がぴったりくるが、やはり心を動かされる。それと同じにおいが、このドキュメンタリーにもある。全12本のそれぞれは10分前後だから、合計で2時間ぐらいになるがまったく飽きない。
今公開されているのは「前編」だそうで、主な登場人物は研究者たちだ。いかに研究テーマとして発見し、現実の壁を突破し、かたちにしていくか。参考になどならない立派な方々の話だが、少なくとも精神的にはおおいに参考になる。
米国でインターネットの嚆矢となったARPAnetだが、第1回でこれがDARPA(Defense Advanced Research Program Agency)のプロジェクトであったことが説明される。そうかそうだったのかと初めて気づかされた。確かに「ARPA」は「DARPA」の一部だよなぁ。なんで気づかなかったのだろう。関係ないが予測市場もDARPAの研究プロジェクトとなるはずだった。議会の反対で中止させられるまでは。個人的にはこれもなんだか勇気づけられる話。
こちらはインターネットの「表」の歴史だが、そういえば最近「裏」の歴史に関する本も出版されていたな。
ばるぼら著「教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書」2005年、翔泳社。
こちらは買うだけ買って、まだ読んでいない。周囲で「歴史的名著」との声が高いが、今記録しておかなければ消えてしまうものをとりあげたというだけでなく、ネット世界で何が起きたかをこれだけの執拗さで追っかけたところに真価があるのだろう。
インターネットが、記録しておきたくなるほどのものに成長した、ということだ。
最後に、記録のため、各回の内容をサイトからコピペしておく。
第1回「和製ネットワーク登場」
私たちの生活にかかせないインターネット。そのインターネットを誕生させたきっかけは旧ソ連の有人宇宙飛行だった。ネットワークの誕生から、それが最初に日本へ持ち込まれるまでを追う。
第2回「300mの実験」
人間の役に立つコンピュータ環境を作るために奮闘する研究者たち。しかし、当時それは誰からも理解されず、国際標準化への道も閉ざされてしまう……。
第3回「繋げ! JUNET」
3つの大学間で結ばれたネットワーク「JUNET(ジュネット)」。順調にネットワークの研究が進んでいるかのように思われたのだが、思わぬ落とし穴が存在した……。
第4回「海外接続」
研究に不可欠であった、ネットワーク先進国アメリカとの接続には、当時高額な接続料金が必要であった。その問題を直談判の末に克服、研究がさらに盛んになるかと思われた矢先に……。
第5回「幻のプロバイダー」
海外とのネットワーク接続を維持すべく、苦難の末に構想された幻の団体があった。これが日本で最初のプロバイダーのような役割を果たすことになる。
第6回「JUNETの幸運」
今では重要なコミュニケーションツールになっている電子メール。当時は英語しか使えなかったばかりか、ノイズによる文字化けなどでまともに読めない場合もあった。そんななか、現在の電子メール興隆につながる事件が起こる。
第7回「日本版インターネット誕生」
増え続ける電子メールの利用者。そんななか、ある教授が受け取った1つの請求書から始まった動きが、やがて本格的な日本版インターネット誕生へと結びついていく。
第8回「パソコン通信登場!」
一般の人々が初めて電子メールやオンライン上のコミュニティーを楽しむことができたサービス「パソコン通信」。そのなかでも最も支持を集めたパソコン通信事業者が発足するまでを追う。
第9回「WWWとプロバイダーの誕生」
日本で最初に立ち上がったホームページとは? ワールドワイドウェブ(WWW)の登場により爆発的にインターネットが普及、日本でもプロバイダーが続々と誕生していく。
第10回「プロバイダー競争激化」
日本のインターネットサービスプロバイダー事業に革命をもたらそうとしていた男がいた。彼は先行する2社を相手に価格破壊で奮闘する。しかし……。
第11回「商用IX誕生物語・前編」
複数のプロバイダーの回線を相互に接続させるポイント、インターネットエクスチェンジ(IX)。プロバイダーが急激に増加するなかでこのIXの不備が深刻化していた。ここに勝機を見いだした男たちの物語。
第12回「商用IX誕生物語・後編」
商用IX実現に向けて奔走する男たち。彼らの努力が報われ日本のインターネットインフラは整っていく。そしてブロードバンド時代へと進化を遂げていくことになる。
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