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June 24, 2005

「予測投票」とは何か

しばらく前から、このサイトの左のサイドバーに「予測投票」なるコーナーができていることにお気づきの方もいるかもしれない。特に何も説明はしていないのだが、少数ながら試してくださる方もいらっしゃる。

まだ完成形ではないのだが、とりあえず運用できそうなかたちにはなったので、ここらでいったいこれが何なのかをご説明しておきたい。で、できればご協力をいただきたく。

「予測投票」とは、ひとことでいえば、皆さんの投票によって予測を行おうというものである。投票のたぐいは多くのサイトにあるありふれたコンテンツだし、実際ここで使っているのも広く利用されているCreviceVoteというフリーソフトの投票CGIだ(「A-10 CGI Arms Website」で配布されている。多謝)。

では一般のウェブ投票と何がちがうかというと、投票の対象と、意見形成のもととなる情報についての考え方だ。投票のたぐいは通常、参加者の意見を聞くために行われる。たとえば「どのビールが好き?」「どの映画を見たい?」「男と女どっちが得?」「通勤時間は何分?」といったぐあいだ。ここでは、問いに対する自分の「気持ち」を回答する。A社のビールが好きならそう答えればいいし、「B」という映画が見たければそう答えればいい。他人がどう考えるかは問題にならない。そうした回答をたくさん集めて、人々の考え方の傾向を探るわけだ。

予測投票は、参加者が自分の考えではなく、問いに対する「正解」を予測して投票する。たとえば「この夏最も売れるビールは?」という問いなら、自分の好みではなく、「この夏最も売れるビール」に関する自分の「予測」を回答する。一般的なアンケート式の投票では回答者の内心にある回答者自身の気持ちだけが投票行動にあらわれるが、予測投票においては、回答者自身の考えだけでなく、回答者が見聞きしたり推し量ったりする他者の考えも、投票行動に反映する。したがってより幅の広い情報を反映することができるわけだ。マクロ経済学をかじった人なら、株式市場についてケインズが「美人投票」と評したという話を聞いたことがあると思う。あれだ。自分がどう考えるかではなく、皆がどう考えるかをとらえようとしているのだ。

もうひとつ、一般的な投票では、参加者の意見が時系列的に変化していくかもしれない点については考慮されていない。A社のビールが好きな人は、時間がたっても同じビールが好きだし、映画も同じだと考える。通勤時間も変わらない。しかし将来に対する予測を行う場合、時が経過するにつれて新たな情報が入手可能となり、参加者の予測内容も変わっていく可能性がある。こうした変化をとらえるため、予測投票では投票行動の時系列変化を情報として参加者にフィードバックし、それをふまえた上で予測をアップデートできるようにすることを考えた。現在のしくみではいったん投票した後にそれを引っ込めるのは難しいので、1日に1回投票できるようにして、当初の予測とちがった予測をできるようにする。その移動平均を、総平均とともにグラフ化しているわけだ。

予測投票は、市場メカニズムを用いて予測を行う「予測市場」のいわば簡易版として考えられた。仮想の先物市場を運営するためにはそれ相応のソフトウェアと体制が必要だし、参加者の側にもアカウント登録から始まって、継続的なコミットメントを求めなければならない。このサイトには「固定客」の方々もいらっしゃるとは思うが、基本的には一見さんOKのblogだし、こうした考え方にまだなじんでいない人も多いだろうから、いきなりは敷居が高いだろう。ならばより簡易に取り組めるアンケート投票でやってみたらどうか、というわけだ。投票を使うことで、市場メカニズムによって得られる数々のメリット、たとえば利潤動機に基づいた情報の収集およびその反映や効率的な情報交換などを利用できないという問題点はある。しかしこのしくみでも、「自分の好みではなくテーマに対する予測」を表明してもらい、それが参加者相互の「インタラクション」によってアップデートされていくことはできるのではないか。まあそんな考えだ。

ここで選んだテーマは、「北朝鮮の核実験」「中国人民元為替問題」といった政治経済に関する堅いテーマだが、これはまあお試しにやってみたもので、この手法に最適のテーマとは必ずしもいえないかもしれない。実際、もう少し面白そうなテーマもあって、そのうちやろうと思うが、今はまあこれでしばらくやってみる。

とりあえず両問とも2005年いっぱいを念頭においた問題設定だが、状況によりそれより前に終了することもありうる。いずれにせよまだ実験段階なので、途中で多少変えたりするかもしれない。あしからずご了承いただきたい。何がわかったか、何がわからなかったかなどは、追ってこのサイト上でご報告することとしたい。

いつも私が騒いでいる予測「市場」のほうはいったいどうなったのさというご質問については、「もう少し待ってください」というのが当面の答えだ。今いろいろ方向性をさぐっているので。

というわけで、最後にお願い。ここに挙げられた予測テーマについて興味のある方は、予測投票にご参加いただきたい。単に選択肢から一方を選んで投票ボタンを押すだけだ。自分の気持ちではなく、これらの問題がどうなるかについての予測で回答していただきたい。1日1回投票できる(それ以上投票しても結果に反映されない)。そのときのニュースなどを参考にして、その時点でより可能性が高いほうに投票していただきたい。ここでは、当初の考えを変えることは恥ではない。むしろいつどのように予測が変化していくのかをとらえたいのだ。都合により、参加賞や賞品は用意していない。念のため。

選択肢の下にある数字は、その時点までの総平均値、グラフに表示されているのは前日までの7日間移動平均と総平均のトレンドだ。リアルタイムでグラフに反映しているわけではないのでご注意。ログファイルにはIPアドレスも記録されているが、投票は統計的に処理される。またここで得た情報を他の目的で利用しないことはいうまでもない。

それから、投票CGIのログからこうした時系列グラフを自動的に生成するPerlのスクリプトについてアイデアのある方は、ぜひ教えていただければ。こういうところで不勉強のつけが出るというものだ。ああ情けない。

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