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June 20, 2005

キミの選択が日本の未来を変える!というゲーム

先日、財務省のキッズサイト「ゴーゴー!ふぁいなんす☆タウン」にはまった私だが、最近は内閣府の経済財政諮問会議のキッズサイト「日本21世紀ビジョン 21世紀キッズタウン」が面白くて。今回も思い切り深読み、裏読みで遊んでみる。

「21世紀キッズタウン」の主人公は、諮問会議だけあって「シモンくん」という。「小学5年生の男の子。好奇心旺盛で、楽しいことが大好き」だそうだ。フランス系かよ、という気もするが、見た目はもろジャパニーズ。まあそういう名の人もいるだろう。苗字が何だか、やけに気になる。やはり「竹中」なのだろうか。「剛田」とか「骨川」とかだったらちょっとちがった印象になるかも。で、飼い犬がいて、名を「ビ・ジョン」という。諮問会議が出した「日本21世紀ビジョン」にひっかけたのだろうが、これもベタだ。「ジョン」はいいが「ビ」ってのは何だ?いずれにせよ、およそ日本ぽくない名だ。両親のいずれかがフランス人なのかもしれない。片親がフランス人といえば、「リカちゃん」を忘れることはできないだろう。まさかリカちゃんの子供、とか?

本サイト実現に奔走したであろう官僚の皆さんの奮闘を想い、またしても妄想モード。

「田中君!田中君!」
「何ですか審議官」
「例の『日本21世紀ビジョンの児童向け周知策の件』だけどさ、この『シモン』て何?フランス人なの?」
「いえ、『諮問会議』にちなんで名づけたものです」
「これまずいんじゃないの?日本人じゃないんでしょ?内閣法制局見解に抵触しないの?」
「いえ別に公権力の行使にも国家意思の形成にも関わっているわけではありませんから」
「そうかな。じゃあ小学5年生ってのはどうなの?18歳未満じゃない」
「常勤の職員ではありませんから。警察署の1日署長みたいなものです。未成年のタレントがやることもあるじゃないですか」
「そうか。しかしこのフランス風の名というのはなぁ。ホワイトハウスが何かいわないか?MOFAの北米局に確認したのか?」
「しました。犬のほうが『ジョン』で米国風ですからまあ大丈夫だろうと」
「甘いな。『ビ・ジョン』てのは飼い犬だろう?『アメリカがフランスの飼い犬』みたいにとられたらどうするんだ。議会とかUSTRとかが騒ぎ出したらやっかいだぞ」
「おそらく大丈夫です。出番は『ビ・ジョン」のほうが多いですから。有力議員に対してはすでにロビイングを開始してます」
「そういえば、『シモン』は男だよな。犬もオスみたいだし、これじゃ男女共同参画会議がだまってないぞ」
「…そうですね。でも、『諮問会議』にちなんだ名前がなかったんです。『改革くん』とかじゃかわいくないじゃないですか。『少子ちゃん』じゃ逆行してるし」
「…しかたないか。よく根回ししておくように。しかし、本当に大丈夫なのか。大臣の意向はどうなんだ?」
「実は大臣の肝入りなんですよこの名前」
「何だって?」
「ほら大臣て名前が古風じゃないですか。だからここは洋風な名前がいいって」
「!」

おあとがよろしいようで。

さて。

コンテンツはいくつかある。

・未来体験館
・ミニゲーム
・コラム
・キャラクター紹介
・日本21世紀ビジョン
・ご意見募集

今回特に取り上げたいのは「未来体験館」だ。ある意味りっぱなRPG。ここにはシモンくんは出てこない(ビ・ジョンは案内役で出てくる)。プレイヤーが10歳の子供となり、その後の25年間をシミュレートする一種の「官製人生ゲーム」だ。性別や外見はいくつかの選択肢から選べる。なんだかYahoo!のアバターによく似たテイストの絵柄だが、まあおいといて。

ゲームは、出生率とかリサイクルとかそういった類の四択問題に答えながら進む。1問が1年に相当する。正解するとパラメータが上がっていくのだが、なんとそれに合わせて日本の将来も明るくなっていくのだ。正解していけば、少子化問題も解決、介護体制の整備によってお年寄りは幸せになり、高齢者や女性の社会参加が進んで活力ある社会になる。リサイクルが進んでゴミも減り、地球温暖化も防がれると万事バラ色。しかし誤答が多いと少子化が進み、介護もされずに老人は放置され、高齢者や女性の社会参加も進まない。リサイクルが進まないのでゴミがあふれ、地球温暖化が進んで海面が上昇する始末となる。よくRPGでは主人公たるプレーヤーに世界の運命が託されたりするわけだが、このゲームでも同様だ。シチュエーションがリアルなだけにさらに切迫感がある。「地震が起きたらどうするか」と聞かれたとして、自分が正しく答えられないと、地震対策の不備のため、大地震で町が破壊されてしまう。崩れ行くビルはキミの選択のせいなのだ。こみあげる責任感。キミの選択が日本の将来を変える!マウスを握る手が思わず震えてしまう。なんとも恐ろしいゲームではないか。

とまあそこまではよくある官庁ゲームと同じだ。ところがこの「未来体験館」、そのゲームに自分(アバター)の人生が重なってくる。最初の試練は中学卒業時。進学か就職かを選べるのだ。進学なら「私立エリート高校」「私立ひらめき高校」「公立根性高校」「公立ふれあい高校」の4つから、就職なら会社員、職人、料理人などから選べる。
高校のネーミングがある種絶妙ではないか。入試問題も高校によってちがう。エリートなら普通の問題だが、根性ならスポーツ系といった具合だ。職業の選択肢も学歴によってちがっていて、「弁護士」という選択肢は高校卒業後、「医師」という選択しは医学系大学卒業後でないと出てこない。高卒で弁護士になるのはなかなか難しそうだが、まあ実例もあるわけだしよしとするか。ちなみに25歳ごろになると、転職のチャンスがやってくる。「自分さがし」の余裕があるということになろうか。試験があるが、受かりさえすれば弁護士から魚屋への転職も、その逆も可能だ。

で、大人になると、異性が気になってくる。お相手を6人の候補の中から選んで交際を申し込むのだ。「選択のチャンス」は3回ある。20歳、26歳、31歳だ。政府としては、成人するまでは男女のもろもろは好ましくない、ということだろうか。まあ、きっと未成年のうちに異性を登場させるといろいろ苦情をいってくる人がいるのだろうと想像する。この女性陣、プレイヤーが20歳のときは高校生らしい。2~3歳年下、というわけだ。2回目に登場するときには、それぞれ職業についている。さてあなたは誰を選ぶか?
(名前、最初に登場するときの説明、その後つく職業の順)

・れい 学年一の優等生で生徒会長
      →多くの案件を抱えるエリート弁護士
・みさき インターハイにも出場した陸上部員
      →スポーツクラブのインストラクター
・あや 買い物好きのお嬢様
      →ブティックを経営するセレブ
・とも やさしくて花や動物が大好き
      →やさしいお花屋さん
・まい お菓子や料理を作ったりするのが大好き
      →ケーキ屋さんのパティシエ
・もえ マンガやアニメが大好き
      →人気のイラストレーター

この中で特筆すべきはやはり「もえ」だろう。名前からしてアレだが、なんとメイド姿だ。ふだんからコスプレしてるという恐るべきキャラクター。しかもそれが31歳になっても変わらないのだ。人気のイラストレーターで奇抜な服装といえば、なんだか水森亜土みたいだが。書く価値もないことだが、「もえ」やら水森亜土やらが私のタイプだということではない。念のため。

ちなみに、自分の選んだのが女性のアバターであった場合は、当然ながらお相手は男性。チャンスは、18歳、23歳、28歳の3回だ。最初は男性のときと同じ年齢だが、後の2回は3歳ほど若い。次の6人だ。

・ひろ 学年一の優等生で生徒会長
      →大学病院に勤めるお医者さん
・たくや インターハイにも出場したサッカー部員
      →実業団で活躍しているスポーツ選手
・さとる ワイルドでクラス一の男前
      →売り出し中のミュージシャン
・ゆう クールな演劇部員
      →仕事のできる会社員
・けんじ やさしくて花や動物が大好き
      →ペットショップの店員さん
・こう マンガやアニメが大好き
      →マンガやアニメが大好き

ここでも注目すべきは「こう」だ。髪を後ろで結わえていて、Gジャンのベストにアーミーパンツだ。なんだかアキバ系という感じでもないし、何ていうのかねこういうスタイル。で、30代になっても「マンガやアニメが大好き」。つまり職についていないわけだ。同じヲタ系でも「もえ」のほうはちゃんと仕事をしていたのだが、「こう」はニート、なのだろうか。うーんなんだか偏見めいた感じもする。

もちろん、気に入った相手がいなければ、誰も選ばないことができる。しかしプレイヤーに選ぶ権利があるように、相手にも選ぶ権利がある。相手がタイプが合わないと交際を申し込んでも断られるというシビアさ。しかし、ふられたからといって悲観してはいけない。ふられた後(自分からふった場合も)には、必ず異性から交際の申込が来るのだ。希望のタイプかどうかはわからないが、ともあれオファーはある。いまどき古風に封書だ。ハートのシールつき。デジタルデバイドの象徴、なのだろうか。あるいはこのゲームを監修した内閣府の官僚の皆さん、忙しくてお子様方とのコミュニケーションがいまいちなのかも。ともあれ、ここで告白に応じれば、とりあえずお相手はできる。

その後は数年の交際期間を経て結婚、となるわけだ(このあたりも望ましい国民のふるまい、なのだろうか。スピード婚やできちゃった婚は政府のお好みではないらしい)が、ここでもプロポーズするかどうかは任意であり、相手が応じるかどうかも未知数だ。無事結婚となれば、次は子供の数。何人生むか、話し合って決める。いろいろ選択の余地はあるが、「離婚」という選択肢はないようだ。で、25年たったあとに、日本とプレイヤーがどうなったかが最後に示される。問題をクリアしていれば日本は安泰。しかしプレイヤー個人の運命はそれとはまったく関係ない。自分の選択が日本の将来に大きく影響する割には、日本の将来は自分には影響しないわけだ。家族と、あるいは1人で、家の前で写真をパシャっと撮っておしまい。相手の職業とかはなんともstereotypeっぽいが、とりあえず、結婚しろとか子供は何人とか押し付けたりはしない。個人の選択権、というわけだ。

もとよりゲームではあるが、試しにやってみて、なんだか妙に考え込んでしまった。自分がたどってきたのと近い人生、自分とはかけ離れた人生。可能かどうかは別として、自分はいかに多くの「その他の可能性」を捨ててきたことか。微妙にリアルなものだから、ついいろいろな人生を「試して」しまった。「人生ゲーム」は数人でやるが、これは1人だから、何回もいろいろ試せるわけだ。

このほかのコンテンツについてもひとくさり。「ミニゲーム」は国旗と国名のマッチングゲームとか。少なくとも、知ってないと正解はできないから、小さな子供向けではない。小学生以上、だな。「コラム」は地方分権、金融、ASEANといったテーマに関する豆知識。なんだかとってつけたようで中途半端な感じ。もう少し充実させれば面白いのだが。「日本21世紀ビジョン」は経済財政諮問会議が打ち出した「日本21世紀ビジョン」の子供向け解説と、竹中大臣のコラム。最後の「ご意見募集」は、政府機関のサイトによくある「1000字以内」の投稿フォーム。ここまでやるんだから、やはり掲示板とかblogとかにすればいいのにねぇ。ネットでタウンミーティング、というのも悪くないではないか。

全体として、子供たちに課題を理解させようとする意欲はうかがえる。何せ今10歳の子供たちは、2030年に35歳。超高齢化社会を支える担い手だし。この「未来体験館」では、この子供たちの「賢い」選択でバラ色の未来が訪れる。しかし本当に「バラ色」にするために、学ばなければならないのは、子供たちよりもむしろ今の大人たち、老人たちではないか。私たちが今何をするかしないかで、25年後の社会のありようは大きく変わる。子供たちには、ぜひとも現在の状況を学んで、今の大人たちに問うてほしい。「今やらなくていいの?なぜ今やらないの?」と。

※追記2005/6/20
いいんだけど、シモンくん、出番が少ないぞ。せっかくわざわざキャラクター設定されてるのに。

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Comments

やってみました。
好みの子にふられると凹みます。

さて、不正解を出すと、日本が荒れていく様を見て「俺のせいかよ!」と思いましたが、すこし大げさとはいえ、自分の選択が未来に影響を与えるわけですよね。
そのあたり、考えるきっかけとしてはよく出来てると思いました。

なにより、扱う題材やテーマが本来硬くてあまり面白いものでなくても、伝え方の工夫で興味を持たせることが出来非常に参考になりました。
「おもしろそうだな」「ちょっとやってみよう」という仕掛けは重要です。

Posted by: ミズタマのチチ | June 20, 2005 01:01 PM

ミズタマのチチさん、コメントありがとうございます。
私も、なかなか面白いゲームだと思います。社会を変えるには、まず知ることから、というわけですね。
それから、子供が具体的に結婚をイメージする機会ってなかなかないと思う(人生ゲームの棒人間じゃぁねぇ)ので、その点でもいいのではないかと。

Posted by: 山口 浩 | June 20, 2005 03:44 PM

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Tracked on June 29, 2005 12:57 AM

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