援助交際に関するちょっとしたデータ
別に特段の興味を持っているわけではないのだが、たまたま見かけたデータで興味深いものがあったので、メモとして書いておく。いわゆる援助交際(未成年者の)について、その補導人数とそのうち「自ら進んで」行った者の割合の推移だ。
データソースは警察庁「平成15年中における少年の補導及び保護の概況」。
年 | 人数 | 自ら |
1994 | 4,715 | 56% |
1995 | 5,481 | 59% |
1996 | 5,378 | 62% |
1997 | 4,912 | 60% |
1998 | 4,510 | 57% |
1999 | 4,475 | 58% |
2000 | 4,130 | 62% |
2001 | 4,354 | 68% |
2002 | 4,615 | 68% |
2003 | 4,412 | 71% |
人数はここ10年であまり変わっていない。補導人数だから実際にやっている人数のトレンドをあらわしているとは限らないが、どんどん増えてという状況ではないらしいことは伝わってくる。自ら進んで行ったとする回答は、フェミニストの皆さんにはうそっぽく見えるだろう。もちろんこれも、本人たちが気づかないところで搾取される構造になってるとかいろいろな解釈が可能だろうから、文字通りに受け取る必要はないのだが、警察の聴取に対して実際にこう答えているのだ。
このデータに出くわしたのは、ヒューマン・トラフィッキングに関する資料を集めていたとき(関連記事)だ。何の根拠もない仮説だが、上記のトレンドと、ヒューマン・トラフィッキングの増加に関係があるかもしれない、と思ったのだ。興行ビザによる日本入国者はここ5年で3万人ほど増えている。この人たちのすべてではないものの、少なからぬ割合の人が上表の「逸脱行為」にコミットしてしまう人たちと「競合」する活動を行っているとすると、この「業界」において、労働供給が増えているのではないかと。もしそうなら援助交際の「相場」は下落しているはずで(事情をご存知の方いたらご教示いただければ。第一生命総研の門倉氏あたりは詳しそうだな)、それが未成年の「労働供給」に歯止めをかける効果を持っているのかもしれない、と。「自ら進んで」の割合が増加しているのも、金銭目的での未成年の労働供給が減っているせいではないか、と。
仮にこの仮説がそれなりに妥当性のあるものだったとすると、いわゆる「防波堤」理論に支持を与えることになるのだろうか。海外からの「エンターテナー」の皆さんのおかげで日本の婦女子が守られて何とやら、というわけだ。この仮説が正しいと主張するものではないし、そもそも正しいとしても正しくないとしてもあまり明るい話ではない。ただ、そんなことを思った、という思いつきの話だ。結論のある話ではないので、今日はここまでにしておく。
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