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July 09, 2005

「競馬は資産運用」なのだそうだ

世の中いろいろなことがあって、なかなか退屈しないものだ。「第12回東京国際ブックフェア2005」を見に行ったら、隣で「デジタルパブリッシングフェア2005」をやっていて、携帯電話向けの小説・マンガ配信がやたらに目立った。普及「元年」になるのだろうか。そのまた隣の「学習書・教育ソフトフェア2005」で携帯電話でeラーニング、というソリューションを見たときはさすがに唖然としたが(企業向け、なのだそうだ)。

そんなことはどうでもいい。今回取り上げたいのは、競馬予想投資ソフト「リーディングジョッキー ネオ」だ。これには驚いた。

実はこれ、すでに2003年から販売している「リーディングジョッキー」の後継製品だ。3月より販売開始している。製作、販売しているのは㈱アーティング。何に驚いたかって、商品自体もさることながら、こういう商品が2年生き永らえて、後継製品までできてしまったことだ。

なんたってこんな感じなのだ。

『競馬予想ソフト Leading Jockey』 は、過去10年間・約30,000レースものデータを分析し開発された独自の予想プログラムにより、「オッズ」を検証し、個々の馬の「実績(能力)」も併せて分析。投資や競馬の玄人の方はもちろん、全くの初心者の方も安心して「投資・資産運用が可能であること、馬券的中を楽しめること、競馬を楽しめること」を基本コンセプトとして開発されました。(同社サイトより)

これ、大真面目なのだ。これに驚かずして何に驚くというのか。私は昨年この商品の存在を知ったときに驚愕したのだが、今年「ネオ」が登場するに至って、書かずにはいられなくなった。いったいこれは何なのだ、と。何せこのソフト、やたらに高額だ。先代の「リーディングジョッキー」が126万円、「ネオ」でも84万円する。しかも、先代は4,000本売れているらしい。それだけで売上50億円を超える計算だ。なぜ人はそう簡単に…と書きかけて、いやまず相手の言い分を聞かねば、と思った。先入観なしに、みてみることにする。

深呼吸してから、手法に関する説明を読む。「馬実績分析」というくだりを読むと、こんな説明がある。

過去10走のレース結果を元に、その馬の能力を数値化(絶対評価点)し、さらに該当レースの適正、ローテーション、馬体重、坂路調教タイム、負担重量などを考慮し、当該レースにおける馬の能力を0~100点で表現しています(相対評価点)。この馬実績分析では、馬同士の相対的な評価が可能となり、能力の均衡や突出の判定ができレース傾向の予測に役立ちます。

ふむデータね。過去のデータによって、将来を予想しようというわけだな。それ自体は確かに手法としてありうる。競馬の市場がどのくらい「効率的」かどうかは知らないが、馬にも得意・不得意があるだろうから、過去をみることで将来を予測できる部分がないとは限らない。馬の評価点を決めるスコアリングルールの詳細はわからない(当然だ企業秘密だろうし)が、パフォーマンスについて「2003~2005年G1レース43戦39勝」と書いてある。自分で確かめたわけではないし、「勝」の意味もよくわからないが、おそらく競馬ファンにはアピールする数字なのだろう。何より、2年間で4,000本売れていて、トラブルの話も聞いていないというのがすごい。なんか本当に「予測」できちゃうのかも、と思いたくなるではないか。

サイトには「ユーザーの声」という欄もある。兵庫県神戸市の「大山様 52才 自営業」の場合はこうだ。

私はリーディングジョッキーに出会うまで全く競馬も知らなかったしパソコンも使った事なかった。知人から、リーディングジョッキーの話を聞き、始めは全く信じていなかったがショールームで無料体験をして本当にすごく的中する事がわかり、操作も簡単なので私でも投資として使えるソフトだと思い購入しました。今ではこのソフトを使ってうまく運用しており、苦しかった会社経営も副収入のおかげで良くなってきました。

なぜかブルワーカーを思い出してしまうが、まあいい。実際この人はこう思ったのだろうから、それにとやかくいう必要はなかろう。でもこの方の会社の社員さん方はたいへんだろうな。

別にこのソフトの「性能」に疑いをいれているわけではない。本当に予測ができるのかもしれない。使わないよりもいい結果が得られるのかもしれない。そのあたりは私にはわからないので、お勧めもしないが否定もしない。ただひとつはっきりいえることは、競馬でもうけたかったら、馬券に「投資」するより予想ソフトを作ったほうがいいらしいってことだ。この㈱アーティング、1997年創業(当初は有限会社)だが、今や資本金4,800万円、名古屋、大阪、福岡、仙台、横浜、神戸、広島に支店を持っている。会社案内をみる限り、商品はこのシリーズだけみたいだから、つまり「リーディングジョッキー」シリーズで稼いだということだろう。競馬の「投資家」でここまで稼いだ人はいないのではないか。そういえば、父の友人にも競馬予想を商売にしている人がいて、馬券を買っている人たちより羽振りがよかったよなぁ。

マーケティングでよく、「口紅を買う女性は、唇につける色を買っているのではなく、それによって得られる希望を買っているのだ」といういい方をする。このソフトも、その最大の機能はこれを使うことによって得られる「希望」とか「安心」とかなのかもしれない。ならば126万円だの84万円だのという価格も高くないということになるのだろう。㈱アーティングはいろいろスポーツイベントに協賛したりスポンサーになったり、社会的にも意義のある活動をされている。ぜひさらなる発展を祈念申し上げたい。

全然関係ないが、ひょっとしてこのソフトをアマゾンで扱っていたらアフィリエイトの手数料も大きいだろうななどとよからぬことを考えた方(私を含む)、残念だがこのソフトには販売加盟店なるものが400店あって、そちらを通して販売している由。あしからず。関心のある方は、ショールームがあるようなのでそちらに行かれては。「この凄さは体験しないと、わからない・・・」のだそうだから。

※追記
本サイトの左サイドバーの下のほうに、「Disclaimer」がある。併せてお読みいただければ。

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Comments

ディック・フランシスの競馬シリーズにも,画期的な予想ソフトが絡むエピソードがありますので,この手の夢のツールは古今東西で人の気を引くものなのでしょう.

しかーーし,競馬も競輪も競艇も宝くじもゼロサムゲームではありません.胴元の取り分だけは確実に運用損が出ます.特に宝くじはほぼ半分がぼったくられる最悪の賭博です.やはり賭博は確実に儲かる胴元をやるのが一番です.JRAは農水省管轄だったかな?さぞおいしいことでしょう.

Posted by: 俊(とし) | July 10, 2005 08:54 AM

俊さん、コメントありがとうございます。
そうですね。やはり賭け事は胴元が一番。私の大学時代の友人が、「JRAに就職したい」とがんばっていたのを思い出します。なんでも仕事がラクで待遇がめちゃめちゃいいんだそうで。他の企業に就職したようなので、競争率も高かったんでしょうね。問題は現行法下では勝手にやると違法だということですね。勝手にやって大丈夫なのは予想ソフトでは。
コンピュータが魔法のような力を持つという発想は、よく知らない人がよくもつ幻想かと思います。よく「garbage-in, garbage-out」といいますが、そういうことかと。

Posted by: 山口 浩 | July 10, 2005 09:38 AM

TB打たせていただきました。
胴元も今は相当つらくて、公営競馬の方は殆どが赤字、ライブドアが委託運営に名乗りを挙げた高崎をはじめとして廃止が相次いでいます。近い将来、大井や川崎を除いては全廃に近い状態になるのでしょう。競輪や競艇も同様。

さて件のソフト、リアルタイムにデータを使うところや基礎データをもとに理論値を出して実値との裁定を狙うところなんかは、ダビスタ世代のデイトレーダーなんかにはかなりウケるつくりだろうなとは思います。コストさえ度外視したら私もやってみたいとちょっと思いましたし。問題は控除率25%の制約下で遊べるのか、しかも100万円近くも初期投資して、という点に尽きますね。手数料+税金で25%も取られながらデイトレやる人は稀でしょうから。

Posted by: よす | July 10, 2005 02:53 PM

よすさん、コメント&トラックバックありがとうございます。
それもそうでした。胴元にも固定費かかってますからねぇ。一部の例外以外は厳しいんでしょうね。
個人的には提案があるんですがね。法律があるから難しいですけど。
ともあれ、デイトレ関係の方々んはおなじみのアプローチなわけですね。なるほど。デイトレやる人ってこういうものの考え方するんですか。へぇ。興味深いですね。

Posted by: 山口 浩 | July 10, 2005 05:20 PM

あ。
「デイトレーダーにウケそう」と書いたのは、リアルタイムで遷移していくところだけで、ファンダメンタルズとの裁定の方ではないので誤解無きようお願いしますね。彼らは「祭り」のあるところで瞬発的に反応する人たちなので、どんなに高値追っていても全体が上げ潮な間はどんどんそこに乗っていくようですよ。(ちなみに私はデイトレーダーではありません)

「個人的には提案」が非常に興味あります。またどこかでエントリ頂ければ。

Posted by: よす | July 11, 2005 05:56 PM

>「デイトレーダーにウケそう」と書いたのは、リアルタイムで遷移していくところだけで、ファンダメンタルズとの裁定の方ではないので誤解無きようお願いしますね。

あ、なんだちがうんですか。デイトレーダーの方は裁定とか気にしないんですかね。確かにデイトレでファンダメンタルズとかいってもはじまらないか。

「提案」の件は、私は大真面目で、仕掛け方を慎重に考えたいので、この場で出すかどうかは微妙、ですね。

Posted by: 山口 浩 | July 12, 2005 12:23 AM

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Tracked on July 10, 2005 06:08 AM

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