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September 25, 2005

雑誌目次をみる:「月刊 下水道」

一部に好評の「雑誌目次をみる」シリーズ。今回は「月刊 下水道」。

このシリーズは、雑誌そのものを読まずに書くというのが基本路線なので、本誌も内容は知らない。だから的外れなところもあると思うが、目次だけ見るとこう見える、というぐらいにとっていただければ。

この雑誌には英文誌名があって、「Journal of Sewerage, Monthly」という。発行しているのは環境新聞社。この「月刊 下水道」のほか、環境新聞、シルバー新報、月刊ケアマネジメントを発行している。ちょっと不思議な取り合わせだが、「月刊 下水道」の編集方針をみると、よくわかる。

1. 『月刊下水道』は、下水道普及を真剣に見つめ、その意義をわかりやすく一般に認識づけるために、官民一体となって編集される総合専門誌です。

おお「官民一体となって」か。ここだなポイントは。環境もシルバーもケアマネジメントも、「官と民」という点で共通だ。「下水道普及を真剣に」っていうが、下水道の普及率はどのくらいだったっけ?と思って調べてみた。「平成17年3月31日現在、全国の下水道普及率は68.1%(下水道利用人口/総人口)」だそうだ。47都道府県のうち、普及率60%以上はわずか17都道府県しかない。39%未満のところも11県ある。東京の視点だけでは語れないのだ。

しかしこの雑誌の視点は微妙だ。なんせ「意義をわかりやすく一般に認識づけるため」だ。普及そのものというより、普及のための広報が目的なのだ。下水道の必要性についての一般の認識を高める、つまりみんなが必要と認めてくれる、だから予算も通してくれる、ということか。だから「官民一体」なんだな。ここは利害一致するし。

2. 『月刊下水道』は、下水道普及のための最も大切な情報を網羅して、中央官庁から地方公共団体、技術者、業界サイドにいたる相互交流、連帯の場となります。

おお「最も大切な情報を網羅」だ。どんな情報か楽しみだ。

3. 『月刊下水道』は、下水道事業にとって必要な技術を育成するため、その現実と未来を追求して、つねに進歩を指向します。

ふむ。技術的なものもあるわけね。「現実と未来を追求」って、一見すっと納得できそうだが、よく考えるといったいどういうことだ?とわからなくなる。「未来を追求」はともかく、「現実を追求」って?

4. 『月刊下水道』は、下水道事業を推進する上で、何が問題となり、どの角度から解決を図らなければならないか、具体的な方策を探り、提示します。

ありがたいではないか。具体的な方策を提示してくれるのだ。

5. 『月刊下水道』は、下水道普及に情熱を傾ける現場サイドの“声"を伝え、また、代弁して、その意志を尊重します。

いちいち意味深なところがいいね。「現場サイドの"声"を伝え、また、代弁して、その意志を尊重」っていうあたり、裏に秘めたもろもろがあるんだろう。

6. 『月刊下水道』は、下水道整備を促進する関連業界の発展に寄与するため、ニュースの公正・中庸を期しつつ、誌面の公開を原則とします。


「誌面の公開を原則」って、書店でも売ってる雑誌なんだから「公開」って当たり前じゃないのか?「関連業界の発展に寄与」するという目的は「ニュースの公正・中庸」とどうつながるんだろう?

というわけで、編集方針だけでかなり楽しめるこの雑誌だが、そろそろ本題の目次に入る。2005年9月号の目次は次のとおり。


2005年9月号「下水道とPR」通巻400号突破記念下水道の日特集

ここ数年、下水道事業は、公共事業の抑制や、全国平均の下水道普及率向上、国および地方財政の逼迫、事業費の減少等によってやや停滞気味だ。下水道界全体の機運も盛り上がりに欠ける。今ほど声を大にして、事業の重要性を訴えていかなければならない時期もない。そこで通巻400号突破記念となる月刊下水道9月号では、「下水道の日」特集として、下水道関連の約50人を対象にした下水道のPR方法とともに、下水道の使命をいかに伝えるか、次代を担う子どもたちには何を伝えていくかなどのテーマについて、下水道界全体を巻き込んだかたちで取り上げる。

だそうだ。ふうん「下水道界」っていうのか。官が入るから「下水道業界」じゃないんだな。「機運も盛り上がりに欠ける」とは深刻だ。で、「事業の重要性を訴えて」というわけだが、「ここ数年」の「全国平均の下水道普及率向上」っていうのは望ましいことなんだよね?企業の人ならともかく、官のほうは「停滞気味」と嘆くより「よかった」と思うべきではないんだろうか?公共事業の抑制とかは、下水道の重要性とはまったく関係なく生じたもので、いくら下水道が重要だからってそう簡単にどうにかなるものでもなさそうだが。予算を増やそうと理解を求めるより、どうやったらコストを削減できるかとか考えたほうが建設的ではないだろうか、などと突っ込みつつ。以下、さまざまな人がさまざまな意見を出している。

私はこう考える How to GESIDOU's PR
・「富栄養化対策こそ大きなアピール材料」
・「素直なディスクロージャーと納得できる施策提示」
・「未来の夢を子どもたちに」
・「下水道を公共事業にしていくべき」
・「地道な子どもたちへの教育を」
・「技術革新のある魅力ある市場に」
・「適正な使用料確保のための世論作りを」
・「『顧客の目線』と下水道PRの最大の目的」
・「下水道『百選』」
・「住民と一緒に下水道を作り上げていく姿勢で」
・「アジア用のカタログ等を準備しよう」
・「みんなで広げよう! メダカの輪」
・「誰に何を訴えるのか、今一度議論すべし」
・「PRは楽しくやろう!」
・「上下水道のアピールで、相乗効果を期待」
・「マンホール蓋は、アイデアを呼び起こす」
・「下水道以外の視点をもってPRを」
・「排水処理以外の役割を訴えるべき」
・「現況を訴える“新たな指標”の策定が有効」
・「まずは、お客さまの生の声を聞くことから」
・「理解深めるには楽しさが必要」
・「クソ真面目に語るな、ウンチで楽しく!」
・「目立つところにポスターを貼って、下水道キャンペーンを」

うーむ。コスト削減を謳う人が1人もいないとは。「適正な使用料確保のための世論作りを」っていうのも、値上げしたいって話だろうしなぁ。ちなみに、(社)日本下水道協会のサイトには下水道の事業投資額の推移のグラフが出ている。ここ数年事業費はだいぶ減っているのはわかるが、直近のピークは1998年度、小渕政権のころだ。例の公共事業大盤振舞いの時期じゃないか。この時期と比較されてもなぁ。ちなみに事業費総額の2005年度見込みは2兆2,852億円、バブル期とほぼ同程度だ。

・下水道の使命をいかに正しく伝えるか
・「下水道展'05東京」、華やかに開催 ─新技術発表が目白押し─
・次代を担う子どもたちに向けて ─水の妖精エアリス─
・PR(?)の達人に聞く
  日本雨水浸透工業会 顧問 田中 芳雄 氏
  「大切なのは市民の“熟度”を高めること」

「市民の"熟度"」だって。今は未熟ってわけだ。下水道の重要性を理解しないなんて、といいたいのだろうか。私も素人なので申し訳ないと思うのだが、どうもカチンとくる部分もないではない。そういう発想だから理解されないのでは?などと毒舌を吐いてみたくなる。

特別連載企画
小規模下水道における圧力管路システム
[技術解説]小規模下水道計画における下水道収集システム その2
真空式下水道収集システム
(社)日本産業機械工業会 真空式下水道システム委員会

連載
・下水道彩事記 その14
   予は風雅の夏炉冬扇の如し
   ─Cheap bargains are dear─
・下水道の挑戦 SPIRIT21 <第13回>
   [評価された合流改善技術(1)]
    浸漬タイプ紫外線吸光度計
・[評価された合流改善技術(2)]
   大腸菌自動測定装置
・アフタヌーンティ ②
   職員提案
・転ばぬ先の下水道危機管理講座 第6回
   クレームへの初期対応
・下水道技術者のための電子納品講座 第5回
   次世代データ交換
・カメラで見る下水管路維持管理 イジ・イズント・イージー
   地元との連携で非常時訓練 の巻(後編)

「大腸菌」の真下の「アフタヌーンティ」というのもなかなか。2ちゃんねるふうにいえば「香ばしい」ってところか。

Report
・テレビ撮影Watching
   マンホール鑑賞会「下向きツアー」
・解説
   汚水処理施設整備交付金を含む地域再生計画の認定結果について
・管材レポート
   下水道用ポリエチレン管(K-14)の付加価値と動向
・大都市の地下トンネル技術
   浸水から地域を守る和田弥生幹線(後編)
・ニューフェース
   日本下水道事業団理事長に就任した 板倉 英則 氏
・評価レポート
   LCCO2を考慮した雨水滞水池による合流式下水道越流水対策の評価〈後編〉

「LCCO2」というのは、ライフサイクルCO2のこと、だそうだ。

・総会フラッシュ
(グッドモール工法研究会/樹脂ライニング工業会/管渠更生工法技術協会/雨水貯留浸透製品工業会/全国Wジョイント管協会/全国エバホール工業会/DKIシステム研究会/管路品質評価システム研究会/コンパクトシールド工法研究会/FFT工法協会/下水道防食協会/日本レジン製品協会/全国上下水道エポキシ工事業協会/日本グラウンドマンホール工業会/高耐圧ポリエチレン管協会/HIT工法研究会/バックス工法研究会/21世紀水倶楽部)

いやいろいろ総会があるものだ。業界団体の数だけ利権が、などと決めつけるつもりはないが、これだけ団体があってまったくダブりはないのか、他人事ながら心配になったりする。

・業界ニュース
・行政ニュース
・既刊紹介
・新製品ニュース
・次号予告
・編集後記
・広告索引

で、つらつら見直したのだが、編集方針にあった「最も大切な情報」ってのはいったいどの部分だったんだろう?やはり下水道のPR方法特集だろうか。それとも「行政ニュース」とか?いずれにせよ、うーん。

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Comments

リクエストにお答え下さりありがとうございます!
今頃の書き込みですみません。

でも、今まで雑誌を読まずに書いているのを知りませんでした。
「雑誌目次をよ��む」ってちゃんとタイトルに書いてあるのにねえ。
そそっかしいです。

ヤマグチ節炸裂でとても楽しく読ませていただきました。
個人的には「下水道『百選』」というのがかなり気になります。
やっぱり水がきれいなのが基準なのでしょうか。。。

下向きツアー(マンホールのふたを見る)みたいなの、はアーチストの赤瀬川源平や南伸坊などもやっていたので、もしかしたら今までに雑誌でコラボレーションなんかしちゃったことあるんだろうか!などと思いました。

Posted by: Hiroette | October 04, 2005 12:14 AM

Hiroetteさん、コメントありがとうございます。
さすがに目のつけどころがちがいますねぇ。確かに気になりますね、「下水道『百選』」「下向きツアー」。「タモリ倶楽部」あたりでもやっていそう。

Posted by: 山口 浩 | October 04, 2005 10:35 AM

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