「国境なき記者団」というのもあるらしい
「国境なき医師団」についてはよく聞くが、「国境なき記者団」というのもある、というのを最近知った。ネットのニュースに流れていたので、見た人も多いのではないかと思う。
その「国境なき記者団」が、「Handbook for Bloggers and Cyber-Dissidents」なる本を作ったらしい。
「Create your own blog, remain anonymous and get round censorship !」というキャッチコピーがついている。この本がターゲットにしているのは、マスメディアが「ジャーナリズム」としての役割を充分には果たせていない国やら地域やらだ。そういう場所ではブロガーだけが事実を伝える役割を担うことになる。そういう「権力と戦うジャーナリスト」としてのブロガーのためのマニュアル、とでもいったところだろうか。
内容はといえば、ひとことでいえばこんな感じ。
Reporters Without Borders has produced this handbook to help them, with handy tips and technical advice on how to remain anonymous and to get round censorship, by choosing the most suitable method for each situation. It also explains how to set up and make the most of a blog, to publicise it (getting it picked up efficiently by search-engines) and to establish its credibility through observing basic ethical and journalistic principles.
「匿名ブログのすすめ」といったところか。まあこれだけだと具体的なイメージもわかないだろうから、目次をちょっと引用してみる。
BLOGGERS, THE NEW HERALDS OF FREE EXPRESSION
WHAT’S A BLOG ?
THE LANGUAGE OF BLOGGING
CHOOSING THE BEST TOOL
HOW TO SET UP AND RUN A BLOG
WHAT ETHICS SHOULD BLOGGERS HAVE ?
GETTING YOUR BLOG PICKED UP BY SEARCH-ENGINES
WHAT REALLY MAKES A BLOG SHINE ?
PERSONAL ACCOUNTS
• GERMANY: “We promote civil and human rights”
• BAHRAIN: “We’ve broken the government’s news monopoly.”
• USA: “Now I can write what I think”
• HONG KONG: “I kept my promise to those who died”
• IRAN: “We can write freely in blogs”
• NEPAL: “We tell the outside world what’s happening”
HOW TO BLOG ANONYMOUSLY
TECHNICAL WAYS TO GET ROUND CENSORSHIP
ENSURING YOUR E-MAIL IS TRULY PRIVATE
INTERNET-CENSOR WORLD CHAMPIONSHIP
この種のマニュアルが本当に必要とされる国は限られている。ターゲットは、この本がどの言葉で書かれているかをみればわかる。英語、フランス語、中国語、アラビア語、ペルシャ語だ。アメリカやドイツは、国際比較でいえば「そういう状況」ではないだろうが、きっと「要求水準」が高いのだろう。あれ?ハングルがないぞ?と思わないでもないが、かの国ではそもそもパソコンを持つこと自体が困難だからということか。
ちなみに、先にこのブログでもとりあげたダン・ギルモア氏も一部を執筆している。担当しているのは「WHAT ETHICS SHOULD BLOGGERS HAVE ?」だ。そういえば、あのときも「ジャーナリストとしてのブロガーは守るべき行動規範がある」みたいなことを言っていた気がする。
さて、日本ではどうなんだろうか。いっとき、ブログにおける匿名と実名の問題が話題になっていたが、コンセンサスのようなものはできたのだろうか。「それぞれいいところも悪いところもある」というあたりが落ち着き先なんだろうけど。
アメリカやドイツがとりあげられているぐらいだから、日本でもきっと役に立つことはあるにちがいない。読んでないけど。無料でダウンロードできる(有料で紙ベースのものも売るようだが)その気になった方はぜひご一読を。
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